ナチュラル・スピン・ターン、英国式
社交ダンス上達の道しるべ(14)

元セレクションダンサーズ所属・元港区立青年館ダンス講師  福頼静致 (フクヨリセイチ)


* 正しいポイズ正しいウォーク正しいスイングを身に付けたもの同士が踊る場合には、
自分の足をステップする時に、相手の足や体が邪魔で問題となることは全くありません

* 英国式の組み方では、
みぞおちの辺りの小さな面積で接触 (コンタクト・ポイント) しているだけで、
二人の腰は離れたところにありますし、足はもっと離れています。

* 日本式の体重の支え方では、
体の前面のかなり広い面積が接触して足も近いところにありますから、
相手の体や足が邪魔になることが起きるのです。

** 日本式の踊り方では股間節を曲げて足を運びますから、
 自分の前にある相手の足や体が問題となるのです。

*** 日本式で聴くことのある、
男子が 『自分の膝を使って女子の脚に操作を加える』 などは、
到底ありえないことです。

* 正しいポイズを身につけて ボールで体重を支え、体にトーンを保って立っている人は、
フットプレッシャー無し」 にしない限り、
体を回転させるようにゆすると、
靴底の踵を床に着けていても、その踵が床を滑り靴底は体とともにボールを支点として回転します



<> を用いて、ザ・ボールルーム・テクニック の記述を引用します。

    * 男子の第四歩           * 女子の第四歩
    * 男子の第五、六歩        * 女子の第五、六歩

             * 続行する足型
        コーナーで 又は 部屋の側面では


コマなどがくるくる回ることをスピンと言います。

ワルツのナチュラル・スピン・ターンは、
右回りに (ナチュラル) くるくる回転する (スピン) 様子から付けられた 足型の名前 であって
スピンと言う 回転技術 ではありません

ナチュラル・スピン・ターン前半の三歩は、ナチュラル・ターンの前半三歩と全く同じです。
後半の第四歩から第六歩までを踊るためには、特に第四歩で独特の技術を覚えることが必要となります。

その技術は男子が 「ピボット」 で、女子が 「ピボッティング・アクション」 です。

ほかの足型は前後方向のステップに横方向のステップを続けて回転しますが、
「ピボット」 と 「ピボッティング・アクション」 は
前後方向のステップと回転があるだけで 横のステップがありません

男子の第四歩
<4.左足 トーを内側に向けて LOD に後退、CBM、右へ 1/2 回転 (ピボット)、
 フットワークTHT、スウェー直>
<註:フットワークは 「THT」 となっているが、実際に回転が行われている間
 ヒールはフロアーにコンタクトしている

 コーナーで又は部屋の側面に沿って、回転の少ないスピン・ターンを行う時は、
 ピボットで 3/8 回転、5-6の間で 1/4 回転となる。>


 この第四歩が 「ピボット」 で、
後退した 「左足の上でコマのように回転」 しなくてはならないのですが、
うまく回転しなくて悩む人の多いステップです。

回転しない最大の原因は、靴底が全部床に着いている時、
土踏まずのあたりで体重を支えているから、靴底全部に体重が分散してかかり、
摩擦が大きくて回転しない
のです。

コマはよく回るように心棒の先端を細くしてあります。

ダンスをするための姿勢 (ポイズ) は、
真っすぐに立って 「体重をボール (拇指球から指先まで) に置く」 と示してあります。
そのボールの中でも中心になって働くのは親指でなければなりません、

* 体重を親指のあたりに集中させていたら、そこが支点になって
コマの心棒の先端のように働き、靴底は床を滑って簡単に回ります。

* 支点の真上に回転の軸があります。
その回転軸が体の中心であるように、左足のトーを内側に向けて後退します。

* 回転するためには回転力が必要です。
その回転力を生み出す動作が CBM です。

第三歩の右足が体を後方へ送り出す時、足の裏に床を反時計回りにねじる力をかけ
体の向きを右に向くように変えながら送り出します。

* この動作が確実にできるためには
第三歩のロァーを、トーの中にロァーしておかなければなりません。

体は LOD に後退しますが、その体が右に向いているので
体の後ろに広げた左足は、左斜め後ろに着床する結果となります。

足を左斜め後ろに動かしたのでは、回転軸を作ることができません

トーで体重を受け取った左足はヒールも床に降ろして、
低い姿勢で、安定した回転軸を作ります。

** 足首と膝を曲げて股関節は真っすぐに伸ばし、
  親指の圧力が途切れないように注意して、
  右足を前に残した姿勢を保ったままで回転します。**

回転すると、右足は左足の前を横切って絡みついたような形になります。
この右足のような足の位置を CBMP と言って、これが第五歩で重要な働きをします。

**ピボットで回転中の正しい姿勢や正しい力の使い方を身に付けるために、
 ペアで練習する時にはパートナーに手伝ってもらうのが良いと思います。**

・回転中の姿勢を作り、両腕もホールドした時の形に整えます。

・パートナーに、腕をつかんで円形に歩いたり走ったりして回してもらいます。
・左足の踵を少し浮かしてみたり、親指の圧力を変えてみたりして、
 らくらくと回れるような正しい姿勢と力を覚えます。



女子の第四歩
<4.右足 LOD に面して前進、CBM、右へ 1/2 回転 (ピボッティング・アクション)
 フットワークHT、スウェー直>
*
ワルツではカウント1 のステップにつき物の 「終わりでライズを始める」 が無いことに注意

うまく回転することができない最大の原因は、体重を右足の土踏まずの辺りで支えていることです。
足の裏全面に体重が分散して摩擦が強いので回転しません。

ライズしないので、足首と膝は曲がっています
そのために股関節まで曲げる間違いが多く現れます。

右足のヒールで体重を受け取っても、
体重の支えが土踏まずの辺りまで進んだところで止まり、腰の前進が止まって
頭が男子に接近する間違いがとても多く見られます。

左足は後ろに残したままで、右足で床を後方に掻き抜くように力を使い、
そっくり返って股間節を伸ばし、自分のボディーで男子を押しのけるつもりで前進します。

前進の力と CBM によって回転力を与えられた体がトーまで進み、
ホールドしている男子の回転にも助けられて らくらくと回転します。

** しかし、回転するだけでは足りないのです。**

男子は回転の軸ですから、全く移動せずに、左足の上で回転するだけで良いのですが、
女子の右足は、男子の左足の近くではありますが回転の軸ではありません。

* 回転しながら円周上を左に移動しなければなりません。
この動作を 「ピボッティング・アクション」 と言います。

** 右足のボールに床を反時計回りにねじる力をかけて回転を強め、
 同時に、床を右に押して体を左に運びます。**

女子の姿勢は上体を少し後ろにそらせてあるのですから、
回転すれば頭と上体に遠心力が働いてそりが大きくなり、
男子の右手を引っ張るようになるのが正しい踊り方です。
* 第四歩の練習
 先ずピボットの回転ができるようになることが必要です。

1.左足に体重を置き、LOD に面して立ちます。
2.左足で床を反時計回りに強くねじり (CBM) ながら体を前方へ送り出し、
 同時に右脚をヒップから振り出し、ヒールに床を押さえる力をかけて体重を受け取ります。
 動作が正しければ、右足は右斜め前に着床します。

3.左足は後ろに残したままで右足に床を後方へ掻き抜く力をかけ、足首と膝を曲げ、
 股間節を伸ばして、つんのめりそうになるまで体を前に進めます。
4.正しい姿勢で体重をボールまで進めたら、ボールを軸にして回転が始まるはずです。

5.楽に回転してLOD に背面することができるまで練習します。
 これが 「ピボット」です。

6.「ピボット」 で回転しただけでは、お互いが左にずれてホールドしている位置関係を
 保つことができませんので、回転しながら床を右に押して体を左に運びます
 これが 「ピボッティング・アクション」 です。


男子の第五、六歩
<5.右足 LOD に面して CBMP に前進、CBM、右回転を継続、5 の終わりでライズ、
 フットワークHT、スウェー直>
<6.左足 中央斜めに背面して横少し後ろへ、5-6 の間で 3/8 右回転、アップ、6 の終わりでロァー、
 フットワークTH、スウェー直>


第四歩の回転によって右足は CBMPになっていますから、
それを壊さないように保って、第五歩でその右足をステップします。

* 第四歩にも第五歩にも CBM があります。
第四歩で始めた回転を第六歩まで滑らかに継続するために必要な CBM です。

第四歩の左足が体を前方に送り出す時に、 反時計回りにねじりの力を加えて
体に右回りの回転力を与えなければなりません。

第四歩をステップした時には、ホールドした体と調和して置かれた女子の足の位置が、
ホールドしたまま足の位置を変えずに回転したことによって、調和を失います。

男子の左足の前よりも少し右にずれて置かれていた女子の右足が、
回転の終わりでは左に大きくずれています。

* 男子は第五歩の右足を CBMP に、女子は左足を少し左にステップして
調和を回復します。

第五歩で回転するとまた、似たようなずれを生じますから、
そのための備えとしても重要な意味のあるステップの位置です。

* CBMP はまた、男子の回転を助けて効力を発揮します。
絡みついた状態でステップした右足に引く力をかけたら、両脚は普通の状態に戻ろうとして、
腰を右に回転させながら左へ運んでくれます。

これによって、ナチュラル・ターンのように左足を横に振り出さなくても、
右に 3/8 回転することが可能となります。

* 第五歩では、右手に、女子の強い引張りの力がかかることを
予測しておかなければなりません。
少しオーバーに言うと、ハンマー投げのような動作をしたわけです。

女子が上体と頭を後ろにそらせて上手に表現すればするほど、
その引張りが強くなることを覚悟して備えをする必要があります。

第五歩の終わりでライズしながらも、トーでしっかり床を抑え、
左足は右足に近づけないで後ろに保って、女子に取られないように注意することが必要です。

それでも力が不足する場合には、上体を少し後ろにそらせて
女子の力と均衡を図ります。これを 「カウンター・バランス 」と言います。

* 第六歩では左足のトーを横少し後ろにステップして、
トーの圧力で右回転の惰力を完全に無くし、
ロァーして、右足を自由にステップすることが可能な 平静な状態を作ります。


女子の第五、六歩
<5.左足 LOD に背面して後ろ少し横へ、回転を継続、5 の終わりでライズ、
 フットワークT、スウェー直>
<6.右足 中央斜めに面して、右足にブラッシュして斜め前へ、5-6の間で 3/8 右回転、
 アップ、6 の終わりでロァー、フットワークTH、スウェー直>

<註:第五歩のライズは左足のボールで行われる。大切なことは、
 右足が左足へブラッシュするために動き始める時、フロアーに接しているのは
 ヒールではなくボール
である。>


男女がお互いに 右にずれてホールドしているボディーと調和して、
第四歩の右足をステップした時には、女子の右足の前より少し右に男子の左足がありました。

男子がその足を軸にして回転した結果、
女子の右足の左に男子の左足があるように不調和となっています。

第五歩で、女子が左足を軸にして回転すると、
同じように男子の右足との関係が不調和となります。

* 第四歩で生じた足の位置の不調和を修正し、また、
第五歩で不調和を生じさせないために、男子は右足を CBMP にステップし、
女子は左足を 「後ろ少し横へ」 ステップしなければなりません。

左足トーが着床し、急停止して体重を受け取るのは大きな円運動をした後で、
上体と頭は後ろにそらせてありますから、もっと大きく動いています、

しかも、左足は停止しても回転は続いていますから当然、
強い遠心力が働いて振り飛ばされそうになります

* それに対抗するために 「ブラッシュ」 と言う技術を使います

左足に渡すまで体重を支えていた右足のボールは、体重を渡した瞬間から
「体重を支える力 を 床を押さえる力 に変えて」
床をこすりながら引き寄せて右足にこすり付け (ブラッシュ) ます。

左足は体重を受け取ってもライズはせずにボールで体重を支えて、
低い姿勢で安定した回転軸を作ります。

右足のブラッシュと男子の右手のホールドに助けられながら、上体と頭を後ろに反らせて
円を描くように美しく回転し、回転の終わりでホバーするようにゆっくりとライズします。

ライズした体を右足のトーに渡し、右足でロァーして左足の前進に備えます。

ナチュラル・スピン・ターンはクイックステップでも使います。
カウントは、ワルツでは前半も後半も 「1,2,3」、クイックステップでは 「S,Q,Q,S,S,S」です。

クイックステップでは、ライズ・アンド・フォールがワルツとは異なりますから注意してください。

ワルツでは <1 の終わりでライズを始める、 2 ライズ継続、 3 ライズ継続,3 の終わりでロァー>
クイックステップは<1 の終わりでライズ、 2 アップ、 3 アップ,3 の終わりでロァー> となります。

フォックストロットは、一瞬も滞ることなく流動するのが特質ですから、この足型は使いません。

続行する足型
ザ・ボールルーム・テクニックに示された続行の足型は次のとおりです。
* ワルツの場合
リバース・ターンの 4-6 歩。  リバース・コルテ。  リバース・ピボット。  ターニング・ロック。
コーナーに近づいた時は、ベーシック・ウイーブ。   右足後退から レフト・ウイスク。
回転の多いナチュラル・スピン・ターンから ターニング・ロック・ツー・ライト。  ホバー・コルテ。

* クイックステップの場合
プログレッシブ・シャッセ。  リバース・ピボット。  フォア・クイック・ラン。
V6 の 2-12 歩。  シックス・クイック・ラン。  ホバー・コルテ。
註:V6の 2-12 歩 又は シックス・クイック・ラン に続ける時は、
先行歩の左ヒールは ロァーしていなければならない。


コーナーで 又は 部屋の側面では
コーナーて゜又は 部屋の側面に沿って踊る場合に、回転量を少なく踊ることができます。
< 註) コーナーで又は、部屋の側面に沿って、回転の少ないスピン・ターンを行う時は、
  ピボットで 3/8 回転、5-6 の間で 1/4 回転となる。>





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