ピボット、回転軸となる回転

社交ダンス上達の道しるべ(3)


元セレクションダンサーズ所属 元港区立青年館ダンス講師   福頼静致・政子 (フクヨリ セイチ・マサコ)


名前に ピボット とか スピン という言葉が含まれている足型は移動しながら回転するのではなく、
一歩だけステップし、その足の上で コマ のように回転の軸となって行う回転が必要な足型です。

このような回転の技術をピボットと言い、名前にピボットが付く足型もありますが、スピンと名の
付く足型でもその中の一歩はピボットです。

ピボットは回転技術の名前であり、スピンはくるくる回る様子であって技術の名前ではありません。



ピボットには右回転と左回転があり、
通常はロァーを終わった低い位置で、
男子は右回転のものを左足後退で踊り、左回転のものを右足後退で踊ります。

ダブル・リバース・スピンのピボットは
ライズした高い位置で右足を前進してトーだけで踊りますから、
トー・ピボットと呼んで区別しています。

また、
クイックステップに左回転のクォーター・ターンがあって、
これは右足後退してヒールでピボットしますから、ヒール・ピボットと呼びます。

この足型は技術書に追加の足型として記述してありますが、
今では知る人がほとんどいないでしょう。

(リバイズド・テクニック では正規の番号のついた足型であったけれども、
 ザ・ボールルーム・テクニック では番号のついた足型ではなくなったものを、
 「追加の足型」 として記載してあります。)

ちなみに、私が社交ダンスを始めた頃には、クイックステップでまだ踊っていました。

真っすぐで垂直

一般用語のピボットは回転軸のことですが、
ボールルームダンスのピボットもその様子は片開きのドアの回転軸と似たようなもので、
軸はまっすぐで床に垂直でなくてはなりません。

ボールルームダンスの前提条件とも言うべきポイズ が真っすぐに立つ事を要求しているのですが、
回転の軸となるピボットでは特に、真っすぐに立つ事が重要な条件となります。

心棒の曲がっているコマを回したら、よく回らないどころか、どこかへ飛んで行ってしまいます。
コマは傾いても回りますが、
ダンスで ピボット を踊る時に床に垂直でなかったら、自分は回ることができても相手がうまく動けません。


トーで支える

機械のピホットが回転する時には軸受けとの間で摩擦を生じますから、
摩擦を少なくしてよく回るように、ピボットの先端は細くしてあります。

ダンスの場合にはピボットの先端が靴底で、軸受けに相当する部分が床ですから、
その床に触っている靴底の全体に体重が分散していたのでは、
摩擦が大きくなってうまく回りません。

ワルツのナチュラル・スピン・ターン男子の第四歩を例に挙げて説明しますと、
この足型を踊る人には、
足元が全然回らず、ボディーだけをねじるように回した、ポイズの崩れた回転が多く見られます。

フットワーク THT (トー・ヒール・トー)

技術書には次のように示してあります。
< 4.左足 トーを内側に向けて LOD へ後退、CBM、右へ 1/2 回転 (ピボット)、スウェー直、 フットワークTHT (トーヒールトー) >
註) 第4歩のフットワークは「THT」となっているが、実際に回転が行われている間、
ヒールはフロアーにコンタクトしている。

後退した左足のトーで体重を受け取ったら一旦ヒールを床に降ろし、
低い位置で安定した回転軸を作りますけれども、

回転が行われるのはトーですから、
トーの圧力は失わないように注意して、
床と強く接触する部分の面積を小さく保たなければなりません。

親指に体重を集めておく意識が必要です。

回転が終わったらトーで体重を持ち上げながら床を後ろに押して体を前方に送り出しますので、
このフットワークをTHTと言います。

強いCBM - - 床をねじる

片方の足で体重を支えたままの体を回転させる方法が二つあります。

その一つは、体重の無い脚を開き、足で円を描くように振り回して作る回転で
ロンデ・ターン と言いますが、これは ピボット には当てはまりません。

ピボットに必要なのは 「強い CBM」 です。
コマを回す時には心棒をつまんでひねって床に置くのと同様に、
先ず体重を支えている足で体に回転の力を与えてから送り出し、
次の支え足に渡した体を回転させます。

このような回転の力を作り出す動作をCBM と言います。
技術書に示された CBM の意味を復習しておきましょう。
< ボディー・アクションである。前方又は後方へ動いている足の方向に体の反対側が回転すること。
通常、回転を起こす時。>


左足後退の時に、体の右側が後退するように回転するということですが、
この説明で目に見える動きは分かります。

しかしどこにどのような力を使えばそのようになるのか分かりませんので、
強い CBM を作ることができません。

CBM を作るためには、支え足の右足の裏で床を反時計回りの方向に ねじる力をかけます。
床は動きませんから、反作用で体が時計回り、つまり右回転をします。

ボディーに力をかけて変形させることがないように、厳重に注意しなければなりません。
足と脚の力で骨盤の向きを変えるから、その上に乗っている胴体の向きが変わるのです。

ターニング・ロック は右サイド・リーディングで後退、
フォックストロット の フェザー・ステップ では左サイド・リーディングで前進、
いずれも同様で、床にねじりの力をかけて体を回転させます。

このことは極めて重要なフットワークであるのに、
これまではほとんど意識されてこなかったと思われます。

確実にヒールを降ろしてからピボット

安定した回転軸を作るために、男子の通常の ピボット はライズした高い位置ではなく、
ロァーの後に続けて低い位置で踊ります。

しかし、ロァーの動作があいまいで重心が支え足のヒールよりも後ろに出てしまったら、
もう CBM を作ることはできません。

強い CBM を作るためには体重が支え足の上にあって、その足の裏がしっかりと床に触っていなければ
なりませんから、ヒールを降ろしてから ピボット の動作を始めることが重要なポイントとなります。

膝を前に突き出して足首と膝を曲げ、 トーの中にロァーすることが重要です。

後退の際のロァーは、トーの中にロァー。

足がロァーする時、むこうずねの骨が前方へ動くことを感じているなら、
それがトーの中にロァーする感じである。
- - - ビル・アービン
(1962年〜1964年、1966年 全英チャンピオン、元 ISTD 会長)

トーを内側に向けて

【 ワルツのナチュラル・スピン・ターン 】
男子の第四歩を技術書の記述で確認します。
<4.左足 トーを内側に向けてLODへ後退、CBM、右へ1/2回転 (ピボット)、スウェー直、フットワークTHT >
として回転する間ヒールを床に着けておくことと、 コーナーで又は部屋の側面で回転量を
3/8に減らして踊る場合のことが記述してあります。

上級の選手が踊るのを見ると、左足を左斜め後ろにステップしたように見えるでしょうが、
決して足を斜め後ろに動かしたのではありません。


右足が体を後ろの方向LOD に送り出す時には、強い CBMを作りますから、
そのために、LOD に後退する体は右に向きを変えながら後退します。


左脚は体に対して後ろに伸ばしてありますから、体が右に向きを変えて後退することにより
足先が左斜め後ろにステップされる結果となる
のです。
決して足を斜め後ろに動かしてはなりません。

更に、誤解しないよう注意
しなければならないのは、トッププロのその足が回転しないことです。

鍛え抜かれた彼らの足は、ボールの真上に体の軸を保ち、
腰の左右の向きに対して足のインサイドエッジの向きが直角に交わる
という基準の形を強固にした上で、

インサイドエッジの向きを基準として左右に各45度くらい、体の向きを自在にコントロールすることができる
可動域を持っているのです。

ボールルームダンスでは、体を運ぶことが目的で足はそのための道具ですから、

競技レベルの体の動きを作り出すために、
足は回転させずにがっちりと土台を固めて、体だけを回転させているのです。

トッププロには程遠いレベルの人がこれを真似たら、必ずボディーがねじれます。

体の向きが変わったら足の向きもそれと一致して変わる力を備えた、
腰の左右の向きとインサイド・エッジの前後の向きが直角に交わる基準の形を作り上げる

ことが第一に必要です。


「トーを内側に向けて」
が重要な意味を持った要素であるのに、そのように踊る人は
ごく少ないのではないでしょうか。

[右足に体重を置いて立ち、普通に左足で後退してトーで体重を支えた場合と、
トーを内側に向けて後退してトーで体重を支えた場合とを比較してください。]

左足で後退した時に体重を支えるのは左足のトーですから、普通に左足で後退した場合には、
左足のトーは左半身の下にあり、体重を支える軸が体の左半身にあります。
ナチュラル・ターン の後半を踊るときにはこのように後退します。

左足のトーを内側に向けて後退した場合には、トーは左半身の下ではなく体の中心の下にありますから、
体重を支える軸は左半身ではなくて体の中心にあり、
心棒のように引き締まって強くなるのが分かるでしょう。

これによって、体の中心に強固な回転軸を作ることができるのです。
ピボット はコマのように回転しますから、回転軸を体の中心に作らなければならないのです。


CBMP

強い CBM を作り、しかも左足のトーを内側に向けて後退した結果として、
後退した左の脚と前に残された右の脚とは、
太腿の内側が密着して絡みついたような状態になります。

右足のこのような位置を CBMP (コントラリー・ボディー・ムーブメント・ポジション)と言い、
技術書では次のように説明してあります。

< 片足に関連した他方の足の位置である。

ボディー・ラインを保って支え足の線上 又は
アクロス して (前方又は後方に)置かれた足の位置。>


「ボディー・ラインを保って」
足や脚の操作がボディーを変形させることのないように
厳重に注意しなければなりません。


第五歩でこれが必要となります。
<5.右足 LODに面して CBMP に前進、CBM、回転を継続、終わりでライズ、
  フットワークHT、スウェー直 >

足の運びが変わっても、ボディーの形が変化しないように注意が必要です。

回転を継続とありますが、
第六歩の左足を横少し後ろへステップするまでに3/8回転
しなくてはなりません。
<6.左足 中央斜めに背面して横少し後ろへ、5-6の間で 3/8回転、アップ、終わりでロァー、
 フットワークTH、スウェー直>


ナチュラル・ターンのように左足を振り出して横に広げるのではありませんから、
たやすく3/8回転はできそうにもありません。
しかし、
それを可能にしてくれるのが CBMP の効力なのです。

左足の前を横切って保たれていた右足に体重を乗せて床を引き寄せる力をかけたら、
両脚の絡みついた状態を解いて
普通の状態に戻ろうとする力が生まれます。

この力で体が左横に運ばれて、
ナチュラル・ターンと同じように3/8右回転が可能となります。

第五歩の終わりでゆっくりとライズしながら、
外回りで回転した女子が遠心力を利用して上体を後ろに反らせ、
ホバーする感じで美しく回転することができるように支えてから、
第六歩の左足に体重を渡します。

第六歩は、
閉じるのであったら「ライズ継続」となるところですが、
閉じないで離してステップしますから、

第五歩でライズした高さのままで体重を受け取ります。
これをライズ&フォールは「アップ」と言います。

左足はヒールを降ろしてトーの中にロァーし、後退に備えます。

ピボッティング・アクション

女子の踊り方は
<4.右足 LODに面して前進、CBM、右へ 1/2回転 (ピボッティング・アクション)、
  フットワークHT、スウェー直 >

ワルツの前進に付き物のライズが無いことに注意してください。

男子が片開きのドアの回転軸なら、女子は動く部分の扉ですから、
高さを変えないように動いて回転しなければなりません。

<5.左足 LODに背面して後ろ少し横へ、回転を継続、終わりでライズ、フットワークT、スウェー直 >
第四歩で右足を前にステップし、
左足が後ろに残っている形を保ったまま右足で回転してから、
後ろにある左足のトーに体重を渡すのです。

左足はトーで体重を受け取りますがまだライズはしませんので、
受け取った体重を支えるのはボールです。

左足で男子の右足をまたぎ越えて進む日本式とは全く異なった踊り方です。

男子は第四歩で後退した左足に体重を乗せたらもう移動しないで、
回転があるだけのピボットです。

女子の右足は回転軸となる男子の左足の近くにはありますけれども、
回転軸ではありませんので、
左足を後ろに保ったままの体を円周のように運ばなくてはなりません。
この仕事をピボッティング・アクションと言います。

第一に右足で床を下向きに押さえて体を浮かし、一定の高さを保っておかなければなりません。
第二に右足の裏で床を反時計回りにねじって体に右回転の動きを与え、
同時に床を右に押して体を左に運ぶことが必要です。

ブラッシュ

女子の体は右回転を続けながら円周上を左に移動し、
1/2回転したところで移動を終わり左足のトーに渡されますが、
その左足の上でなお回転を続けて3/8回転しますから、
上体と頭は強い遠心力で後方に引っ張られます。

ブラッシュはこの強い遠心力に対抗しながら、
上体と頭で後方に円を描くように回転するために必要な技術です。

右足はボールで床をこすりながら引き寄せ
その足を左足にこすり付けながら(ブラッシュ)
左足でゆっくりライズします。


ふらついて心配な時ほど強くこすっていれば、
安心して上体を後ろに反らせ、頭で円を描きながら、
ホバーして美しく回転することができます。

<6.右足 左足にブラッシュして、中央斜めに面して斜め前へ、5-6の間で3/8回転、アップ、
 終わりでロァー、スウェー直、フットワークTH >

左足でライズした体を右足のトーに渡し、右足でロァーして左足の前進に備えます。

*男子はピボットを正しく身に付け、女子はピボッティング・アクションを正しく身に付け、
更に進めて男子がピボッティング・アクションを女子がピボットを身に付けて、
お互いに二つの動作を交互に踊ったら
上級選手が踊るナチュラル・ピボッツという名の くるくると連続してスピンを踊るような
回転ができるようになります。

リバース・ピボット

いろいろなピボットについても、
踊り方の原則はこれまでに述べたことと同様です。
しかし,
男子と女子がホールドしたら(組んだら)相手が自分の右側にはみ出している関係で、
左回りのピボットでは技術的に異なったことが起こります。

リバース・ピボットの基本の形は、
男子がリバース・ターンの前半を1.2.3とカウントして踊り、LODに背面したところで、
カウント3の後半1/2を「と」とカウントし、1拍の半分の短い時間を使って、
男子も女子も小さな歩幅で踊ります。

ナチュラル・スピン・ターンや クローズド・インピタスの後で中央斜めに面したいと思ったら、
リバース・ターンの 4-6 の三歩を踊らなければなりませんが、
リバース・ピボットなら、一歩だけで目的を果たすことができます。

女子もピボットとなります。

     ワルツ 足型14番 リバース・ピボット
男子:
<右足トーを内側へ向けて、中央斜めへ、CBMPに小さく後退、CBM、スウェーなし、
 フットワークTHT、左へ1/2までピボット、左足をCBMPに保つ、タイミングは"&">


女子:
<左足CBMPに前進(小さく)、中央斜めへ、CBM、スウェーなし、フットワークTH、
 左へ1/2までピボット、右足をCBMPに保つ、タイミングは"&">


女子の左足が前に広がり過ぎてうまく踊れないことが多いので、ほとんど足を前に出さないで、
体の下の床にトーを突き刺すつもりでステップするとうまく踊れます。

フォーラウェー・リバース・アンド・スリップ・ピボット

ファーラウェーと、いう言い方が根強く残っていますが、
もちろん正しい呼び名はフォーラウェーで、
プロムナード・ポジション(PP)で後方に進むという意味です。

男子と女子が向き合っているのではなく、
V字型に開いた形でLODに沿って後退しているところから、
ピボットの一歩だけで

男子がLODの方向を向いて、女子と向き合った形を作るのは、
女子に要求する回転量が大きすぎて無理です。

*女子は一度に回転するのではなく、二回に分けてピボットします。

一回目のピボットはフォーラウェーの第三歩です。

左足の後ろを横切って (CBMP) 右足を小さくトーからステップし、左足をCBMPに保ったまま体が男子と向き合うまでピボットします。

男子は第三歩をLODに背面するようにステップしますが、 体の回転は少なくして 女子と向き合いやすくしておきます。


二回目のピボットはリバース・ピボットです。

男子は右足のトーを内側に向けて 「中央へ」 後退し、左足を CBMP に保ってピボットします。
LOD 又は壁斜めに面して終わります。

女子は左足のトーで 「中央へ」 CBMP に前進し、右足を CBMP に保ってピボットします。

技術書に記載されたカウントは1,2,3,& 又は 1,2,&,3ですが、競技選手は1,&,2,3も使います。

* フォーラウェー・リバース・アンド・スリップ・ピボットがうまく踊れなくて、
悩んでいる人
が多いでしょうが、原因は第三歩にあります。

第二歩をステップしたら、

男子は第三歩で右に動くボディーの動きを止めて左に保ったまま、左足だけステップします。

女子はボディーの動きを止めないで積極的にボディーを左に進めながら、右足を小さく (右足が左足に、触るくらい小さく) ステップ すれば問題は解決されます。

* 初めて取り組む人は、先ず壁斜めに面してウイスクを踊り、
シャッセに続けないで
リバース・ピボットを踊って中央斜めに面する練習をすると、コツがつかめます。

技術書には次のように示してあります。
     ワルツ 足型29番

フォーラウェー・リバース・アンド・スリップ・ピボット


男子:
< スウェー:なし>
<1.左足 中央斜めに面して前進、CBM、左回転を始める、1 の終わりでライズ、フットワークHT>
<2.右足 壁斜めに背面して、右サイド・リーディングで、フォーラウェーに後退、1-2 の間で 1/4 左回転、アップ、フットワークT>

<3.左足 LOD に背面して CBMP に後退、2-3 の間で 1/8 左回転、体の回転を少なく、アップ、3 の終わりでロァー、フットワークTH>

<4.右足 中央へ T を内側に向けて後退、CBM、左足は CBMP に保つ、3-4 の間で 1/4 左回転、4 で 1/4 又は 1/8 左回転 (ピボット)、LOD
又は 壁斜めに面して終わる、フットワーク THT>

女子:
< スウェー:なし>
<1.右足 中央斜めに背面して後退、1 の終わりでライズ、NFR、フットワーク TH>
<2.左足 中央斜めに背面して左サイド・リーディングでフォーラウェーに後退、LOD に動く、アップ、  フットワーク T>

<3.右足 中央斜めに背面してフォーラウェーで、CBMP に後退 (小さく)、CBM、左足は CBMP に保つ、
 3 で 5/8 左回転 (ピボット)、中央に面して終わる、アップ、3 の終わりでロァー、フットワーク T>

<4.左足 中央へ CBMP に前進、CBM、右足は CBMP に保つ、4 で 1/4 又は 1/8 左回転 (ピボット)、
 LOD 又は 壁斜めに背面して終わる、フットワーク TH>


* フォックストロット 23番
 フォーラウェー・リバース・アンド・スリップ・ピボット


* タンゴ 25番
 フォーラウェー・リバース・アンド・スリップ・ピボット



スリップ・ピボット

単にピボットと言わずスリップ・ピボットと言うには理由があります。
この足型は最初フォックスとロットの足型として生まれたものが、
ワルツとタンゴでも使われるようになったものです。

リバイズド・テクニックではフォックストロットにしか記述されていませんでした。

フォックストロットは、一瞬も滞ることなく流れ続けるのが特質ですから、
ピボットで右足後退する時、
実際に床に圧力をかけながらスリップさせて、
流を途切れさせないように踊る必要があります。

技術書には次のように記述されています。
< 第四歩で右足を動かす時、その足はフロアーをしっかりプレスしなければならない。>

スクリブナーは
『左足のヒールと右足のトーで床を引き裂くように力をかける。』
と教えてくれました。

ワルツとタンコ゛で踊る場合には、
単に リバース・ピボットで、フロアーをプレスするスリップではありません
しかし、名前だけは元のままに残されているというわけです。

ダブル・リバース・スピン

ワルツのライズは通常1の終わりに始めて、3までに徐々に高くしていきますが、
ダブル・リバース・スピンを踊りたい時にこのライズをしたら、
女子は第二歩を開くようにリードを受けて
ヒール・ターンを踊ることができませんので、失敗に終わります。

<1の終わりでライズを始める> <1の終わりでライズ>この両者の違いを、
はっきり理解して、身に付けておかなければなりません。

言葉は同じライズですが、
前者は体を高く持ち上げる動作を表すライズで、
後者は体が高い位置に持ち上げられている状態を表すライズです。

ワルツに限らず、
女子にヒール・ターンを踊ってもらいたい時のライズは後者です。
技術書には次のように示してあります。
 ワルツ 足型13番 ダブル・リバース・スピン
男子:
< スウェー:なし>
<1.左足LODに面して前進、CBM、左回転始める、1 の終わりでライズ、フットワークHT>

女子:
< スウェー:なし>
<1.右足LODに背面して後退、CBM、左回転を始める、1 の終わりで少しライズ(ノーフット・ライズ)、 フットワークTH>

男子は1の終わりではライズを殆ど完了しているのですから、
前進してからライズしたのでは間に合いません。

左足を床に置くと同時に床を下向きに押さえて体を持ち上げ始め、
前進し終わった時の体は
トーで支えられた高い位置でなければなりません。

そうすれば、女子は後退し終わって両足を揃え、
ノーフット・ライズしてヒール・ターンの体勢が整います。

**ダブル・リバース・スピン を敬遠する男子が少なくありません。**

日本式で、体重の無い足を前に広げて置き、
その足にのしかかるように体を乗せる歩き方のままでは、
左足の前進と同時にライズを始めることができません。

従って
「第一歩を終わるまでにライズを完了することができない。」
のが、ダブル・リバース・スピン を敬遠する主な原因です。

ダンスのウォークを覚えて スイングすることができるようになったら、
この足形が楽しくなるに違いありません。

第二歩で、
男子は女子の周りを円柱の周りを回るつもりで右に動きます。

円柱の中に入っていくように、ボディーが左足のトーを越えて前に出ると、
女子は両足を揃えて立っていることができません。

左足のトーで床を時計回りにねじって左回転を始めると同時に、
床を左に押して体を右に運びます。

男子:
<2.右足 壁斜めに背面して横へ、1-2の間で3/8左回転、アップ、フットワークT>
<3.左足 壁斜めに面して体重をかけずに右足にクローズ、トー・ピボット、2-3の間で1/2左回転、
 アップ、3 の終わりでロァー、フットワーク T (左足),次いで TH (右足)>

壁斜めに背面は、右足のトーを床に着ける瞬間の方向で、
体重を受け取ったと感じた時には、もう LOD に背面しています。

トー・ピボット がふらついて心配なら、
左足のトーで床を押さえて助けてもらうと良いでしょう。

回転量は 3/4 から1回転までかなり自由ですから、
始める時の方向も終わる時の方向も思うように加減することが可能です。

女子:  男子がトー・ピボットを踊る間に、女子は三歩踊ります。

<2.左足 LOD に面して右足に閉じる (クローズ)、 ヒール・ターン、1-2の間で 1/2左回転、  ライズ継続、フットワークHT>
     体重を受け取った左足でライズを継続し、
     トーに乗せた体を前方に送り出すことが重要です。
    * 回転しようとして失敗するケースが多く見られます。

<3.右足 (カウントは&)、壁に背面して右足横少し後ろへ、2-3の間で1/4左回転、アップ、  フットワークT>

<4.左足 壁斜めに背面して右足の前に交差、3-4の間で1/8回転、アップ、終わりでロァー、  フットワークTH >

<カウントは 「1,2,&,3」だが、 上級者はしばしば 「1,2,3,&」と 取る。>


回転の動きを大きく見せて、フワーッ と浮かんだ感じを表現したいので、 このカウントで踊ることを好みます。


アウトサイド・スピン


基本としてはワルツの足型で、
リバース・コルテやクロス・ヘジテーションの後で

壁斜めに面して始めて壁斜めに面して終わりますが、
回転量を少なくして異なった方向で終わることもできます。

上級の競技選手はフォックストロットのバリエーションとして、
オープン・ナチュラル・ターン -- アウトサイド・スピン -- ナチュラル・ピボッツ
というように、右回転を続けながら長い移動をしたい時などに使っています。

「男子が女子を外側にして CBMP に後退」「男子が女子の外側に CBMP に前進」
この二つの事が楽々とできるようになるまでは、上手に踊るのは難しいでしょう。

 ワルツ 足型23番 アウトサイド・スピン
男子:
< スウェー:なし>
<1.左足 逆中央斜めに、トーを内側に向けて CBMP に小さく後退、CBM、3/8右回転、ピボット、 フットワークTHT>

右足の裏で床を反時計回りにねじって体を右に回しながら、 ヒールで床を
前に押し、左足のトーをしっかり内側に向けて小さく 後退しないと、女子が
アウトサイドに出ないで正面に出てきます。

女子:
< スウェー:なし>
<1.右足 逆中央斜めに面して、男子の外側に CBMP に前進、CBM、右回転を始める、 1 の終わりでライズを始める、フットワークHT>
<2.左足 壁に面して右足にクローズ、1-2の間で5/8右回転、ライズを継続、フットワークT>

第一歩で前進してライズしながら回転し、その足に第二歩を閉じて更に回転を続け、大きく回転するのが重要なポイントです。

男子:
<2.右足 逆LODに面して女子の外側に CBMP に前進、CBM、回転を継続、終わりでライズ、 フットワークHT>
第一歩をステップした結果、両脚は絡みついたようになっていますから、
そのままの状態で前進するのが重要なポイントです。

男子:
<3.左足 2-3の間で3/8回転し、中央斜めに面して横へ、その足で壁斜めに面するまで 1/4回転し、 体重の無い右足を前に保ち、左足が後ろの状態で終わる、アップ、 3 の終わりでロァー、フットワークTH>

女子:
<3.右足 逆LODに面してトーで前進、2-3の間で1/4回転、アップ、その足で壁斜めに 背面するまで 1/8回転し左足を後ろに保った CBMP で終わる、
 3 の終わりでロァー、フットワークTH>

女子を外側にした (OP アウトサイド・バートナー) 前進や後退と CBMP は不可分の関係にあります。
CBMP を知らないで、女子の外側に強引に前進する男子の踊りを少なからず眼にしてきました。
特にタンゴのオープン・プロムナードで多く見られます。
当然、女子のポイズが崩れています。

練習

・右足で一歩前進のウォークをして、いわゆる中間バランスの形を作る。
・右足は少しトーを上げ、左足は少しヒールを上げた状態のまま、体を少し右に回す。
これで CBMP の形ができる。
・体重を全部前の右足ヒールにかけて左足を少し床から離したり、後ろの左足トーに体重を
 移して右足を少し床から離したりして足踏みを繰り返し、CBMP に前進や後退の力を養う。

 リバース・コルテ (リバース・ターンの1-3歩に続けて)

男子:
<1.右足 LODに背面して後退、CBM、左回転を始める、フットワークTH、
スウェー直> <2.左足 逆中央斜めに背面して体重をかけず右足にクローズ、1-2の間で 3/8左回転、 フットワークH(左足)次いで 両足のT、スウェー右>

< 註) 第2歩はフラットで右足のボールで回転することができる。この時のフットワークは 1.THT、2.両足のT、3.TH(右足)>

<3.逆中央斜めに背面してポジションを保つ、アップ、3の終わりでロァー、フットワークTH、 スウェー右>


女子:
<1.左足 LODに面して前進、CBM、左回転を始める、1の終わりでライズを始める、  フットワークHT、スウェー直>
   女子は男子より少し早めにライズを始めることに注意。

<2.右足 中央に面して横へ、1-2の間で 1/4左回転、ライズ継続、フットワークT、スウェー左>
<3.左足 逆中央斜めに面して右足にクローズ、2-3の間で 1/8左回転、3の終わりでロァー、フットワークTH、スウェー左>




「社交ダンス上達の道しるべ」

(4)日本式タンゴと英国式タンゴ



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