床をねじる

社交ダンス上達の道しるべ


元セレクションダンサーズ所属・元港区立青年館ダンス講師   福頼静致 (フクヨリ セイチ)


『床をねじる』はダンスの世界で使われたことの無い用語であることを断っておく。



ボールルームダンスは床の上に立って行う運動である。
そして、体を真っすぐに保ち、肩と腰は鉛直線上に位置しなければならないという制約がある。

分かりやすく言えば胴体を真っすぐに保って床に垂直に立ち、移動するにも回転するにも
胴体を曲げたりひねったりしてはならないということである。

重力に支配された空間にあって、このような制約を受けて床に立っている体を移動させたり
回転させたりするには、床と接触する足の裏に何らかの力をかけなくてはならない。

極めて重要な力であるのに、三十年間講読を続けたレター・サービスの中でも、この力を
説明した文章に出会ったことは一度も無かった。


この力を推測することのできる記述が、レン・スクリブナーの遺稿集とも言うべき
JUST ONE IDEA と、レターサービスで配信された、ビル・アービンがISTDコングレスで
行った講義の中にある。

『ウォークは先ず支え足の"押し"(推進)から始動する。--進行歩が伸びきって
着床したところから"引き"の動作に移ってウォークが完結するが--』

『パワーはフロアーの上にある体重を乗せた足から始まる。』

この両者は共に、体を移動させるためには、体重を支えている足の裏になんらかの
力をかけなくてはならない
ことを説いている。

"CBM"と"サイド・リーディング"は、どちらも支え足の上で回転動作をしなくてはならないが、
そのために必要な力を説明したものは皆無であった。

スクリブナーが述べた次の文言から、床にかけているであろう力を推測することはできるが、
直接その力について述べたものではない。
『CBMは先ず支え足の足先と脚部から始まり、大腿部を経て腰部に、更に胴体に伝達される。』


前後左右の方向、又は下の方向に向かってかけた力と、その時の体の動きは分かりやすいが、
回転を生むための力とその結果についてはあまり意識したことが無いと思われるので、
理解するのに少しまごつくかもしれない。
体を右に回転させるためには、支え足のボール又はトーで床を左回りにねじるように力をかける。
ねじっても床は動かないから、反作用で体が右に回転する。
ナチュラル・ターンの第一歩で男子が右足を前進する時には、
右回転のためのCBMが必要だから、
左足のボールで床を左回りにねじる力をかけながら床を後ろに押す。

体は右に向きを変えながら前進する。
ナチュラル・スピン・ターンの第四歩で男子が後退する時には、
左回転のピボットを踊るために強いCBMが必要だから、
右足のボールで床を強く左回りにねじりながら前方に押す。

体はLODに後退しながらも右に向きを変えているから、後ろに伸ばした左足が着床する時には、
左斜め後ろに置かれる結果となる。
ナチュラル・スピン・ターンの第四歩で女子はピボッティング・アクションを踊る。
前進した右足で床を左回りにねじり右回転を続けるのと同時に、ピボット回転をする
男子の周りを左に移動しなければならないから、床を右に押す。
ターニング・ロックの第一歩で、男子は右サイド・リーディングで右足後退だから
左足のボールで床を左回りにねじりながら前に押す。

女子は左サイド・リーディングで左足前進だから、右足のボールで床を左回りにねじりながら
床を後ろに押す。
フェザー・ステップの第二歩では、男子は左サイド・リーディングで左足前進をする。
第一歩右足前進の終わりでライズしているから、右足のトーで床を左回りに
ねじりながら床を後ろに押す。

女子は右サイド・リーディングで右足後退をする。
第一歩左足後退の終わりでノーフット・ライズして左ヒールを床に下ろしているから、
左足の裏全体で床を左回りにねじって前に押す。

社交ダンス上級の目安
床をねじる
ステップ・アンド・スイング
CBM と CBMP


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