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関東ローム層


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千葉市長作の関東ローム層
 関東ローム層は下から、多摩・下末吉・武蔵野・立川の各ローム層に区分されていますが、八千代市周辺ではこのうち、武蔵野ローム層・立川ローム層の二枚の地層が分布しています。また、常総粘土層は、湿地に降灰した、下末吉ローム層と同層準の火山灰層と考えられていますが、花見川流域の千葉市長作周辺では、武蔵野ローム層の下部に、チョコレート色の粘土化の進んだ火山灰層が見られ、常総粘土層は分布しません。この部分が陸成の下末吉ローム層です。下末吉ローム層の下部は、次第に火山灰混じりの無層理の砂層に移り変わり、その中に粘土化した軽石層を挟んでいます。これがSIP(三色アイス軽石層)です。SIPは、武蔵野ローム層下部のTp(東京軽石層)とともに、箱根山の噴出物です。また、立川ローム層中にもAT(姶良-Tn火山灰)が挟まれているのですが、この露頭では見えていません。ATは南九州の鹿児島湾奥、姶良カルデラ起源の火山灰です。
 武蔵野ローム層は立川ローム層に比べて暗色で、縦に細かなひび割れがはいるのが特徴です。同様な現象は立川ローム層の下部1/3でも見られますが、これらの部分は暗色帯と呼ばれています。立川ローム層最上部も暗色帯に似ていますが、ここは表土で、火山灰の降灰が中断し、その間に生えた植物が枯れて腐植化し、立川ローム層の火山灰と混じり合ったものです。暗色帯も同様なでき方をした、化石土壌だと考えられています。
 暗色帯の形成は、その期間中、火山灰の降灰が中断していたこと、つまり武蔵野ローム層堆積後降灰が止んで、その間に植物が茂って、武蔵野ローム層の表面に腐植が集積し、表土ができていたことを意味します。上の写真は習志野市藤崎の、関東ローム層の露頭です。この露頭は、武蔵野ローム層降灰後の中断期間中、その表面に谷状の凹みが刻まれた後に、立川ローム層の降灰が行われたことを示しています。谷の中には吹き溜まった立川ローム層が厚く積もっています。この谷はAT火山灰降灰時も埋め切れずに残っており、周囲から吹き寄せられたATが厚く積もっています。このため通常は薄くて見ることのできないATが、ここでは白く見えています。
 同様な降灰期間の中断は、武蔵野ローム層と下末吉ローム層(常総粘土層)との間にも存在し、常総粘土層上面に化石土壌が形成されていたり、武蔵野ローム層と立川ローム層とが、常総粘土層を切って、段丘崖の斜面を這い下りる現象は、しばしば見ることができます。


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