「西部戦線異常なし」と「きっとどこかで」

「西部戦線異常なし」はレマルクの小説で、不朽の名作と謳われている。映画化もされている。
 これは、第一次世界大戦下のドイツ軍兵士を主人公とした物語だ。地獄の塹壕戦を繰り広げる無名兵士たち(とは言っても、本当は名前がある)の姿を通して、戦争の悲惨さを描いている。
 主人公が戦死した日は「いたって平穏」な日であった。そして、前線の司令部は本国に「西部戦線異常なし」と打電した。「兵士の死」と「西部戦線異常なし」という打電文が、戦争の実体を象徴的に語っている。
 同様に、どなたかが拙著をお買いあげ下さったかも知れないというのに、「進歩無し」などと書くのはえらく失礼なことなのである。だから、「進歩」が無いように見える日は、「きっとどこかで」と書くことにした。

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