極私的国民必聴歌 コミックソング編

 コミックソングに対する評価を高めなければいけない、と言うのが私の信念である。日本には誇るべきコミックソングの伝統が存在しているのである。「キワモノ」という扱いしかされていない不幸を託ってみる。

 

アルバム「中毒」

 なぎら健壱「男は馬之助」 なぎら健壱の才能が遺憾なく発揮されているのはやはりコミックソング群である。今も進化し続ける名曲「悲惨な戦い」も良いのだが、ここは敢えて「男は馬之助」を薦めたい。歌はコント赤信号となぎら。悪役に徹しきったプロレスラー上田馬之助の心情を勝手に想像する。ホテルでは凶器の栓抜きに包帯を巻いている。美容院で金髪に染めるときは奥さんの視線をよけて恥ずかしがる。アメリカの奥さんには「今日もまた、俺のこと分かってもらえなかった」と電話をする。そんな自分の役割に徹する馬之助に、男たちは自分を重ね合わせて応援したくなる、と言う内容の曲。サビの「負けるな負けるな馬之助/ついててもしょうがないけど/俺がついている」は、何度聞いても泣けてくる(は大袈裟だが)。「男ってのは○○」と述べる口調は嫌いな私だが、馬之助を応援したくなる気持ちは「男」という共通項を抜きにしても十分通用すると思う。上田馬之助というプロレスラーにこのくらい感情移入することが、プロレスの正しい楽しみ方なのかもしれない。左写真の「中毒」はその他「ラブユー東京スポーツ」「YASUOSAN」「アーパーサーファーギャル」なども楽しい。なお、フォークな曲「下町(まち)」もお薦め。

 

 

 

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