12 アタック25体験記 その5 本番その1

 本番に入り、いつもの児玉さんのオープニングトークがあり、人物問題。

 昭和46年かぁ、4歳上だなぁ、自然体? いまさらキムタクとか中居くんでもないだろうしなぁ(注:この2人は昭和47年生まれ)、などと考えているうちにデビュー曲が出てきた。クイズィーな(=クイズ的な)キーワードだなぁ、と思ったところに緑の佐藤さんが押して正解。芸能の中では一番苦手な分野だった。13番は緑がともってスタート。

 放送を見ていると、このあと青から赤まで4人とも映るようなショットが入る。それを意識して澄ました顔をしていたが、放送を見る限り他の人は気合充分の顔をしているようだった。で、次の問題。

 「原敬」と聞いた途端、絶対に東京駅が答えだと思ったが、ボタンを押していない。他の人の早押しの感覚を見ておきたかったからだ。白の中田先生が誤答。ちょっと意外な感じがした。クイズに出る「暗殺される駅」は「東京駅(浜口雄幸も)」か「ハルビン駅(伊藤博文)」に決まっているから。ま、ご愛嬌ということで。

 これも同じ理由。「イタリア」のところではっきりと答えは分かったが、遅めに押した。たぶん緑の佐藤さんも押すのを躊躇したと思うのだが、結局正解。ボタンを押し負けると1カット写されるのは分かっていたから、やや悔しそうな顔をしている。既にテレビ映りを意識しているところが嫌らしい。緑が18番に入る。下に伸びるのはやや珍しい。次の問題はできれば正解したいのだが。

 「ペソですが、では……」と続くような気がして、一瞬ボタンが遅くなった。リハーサルの「秋刀魚」が一瞬頭をよぎった。基本的にアタック25の問題は、出題するに足ると判断できる難易度のネタを、前フリに使うことは少ない。「アメリカの通貨の単位は…」だったら前フリに決まっているが、「メキシコ」→「ペソ」は前フリにしにくい難易度だろう。そういう勝負どころを押さえる点はテレビ的にベテランである落合さんが圧倒的に強いのだろうか。23番に青。

 この辺で様子見はオシマイ。正直なところ、押しの早さでは負けてない気がしたから、後はひたすら分かる問題を正解していくだけである。

 NHKのニュースを比較的良く見るわたしには簡単な問題、なのだが、思い出すまでちょっと時間がかかっている。いささか自信が無かったからだろうか。大学の頃だったら、「では」のところくらいで押し、出題者が勢いで「民」と読むのを待つような押し方(「読ませ押し」と呼ばれる技法)をするところだ。もっとも、パネルだけ考えればこの問題は正解してもしなくてもいい問題である。でもこれを正解できたことはかなり嬉しいことなのだ。だってわたししかボタンを押していないから。やや精神的に優位に立つことができた。赤は12番。

 「数多く並んでいる」という言葉と「綺羅星」が結び付かなかった。中田先生が正解し11番。

 5枚パネルが埋まったところで解答者の紹介となる。リハーサルどおり順調に進んだのだが、わたしだけ撮り直しとなった。理由は自分でも分かっていた。軽くガッツポーズをするとき、マイクに拳が当たってしまったのだ。放送を良く聞くと、わたしの紹介だけ無理にはめ込んだようになっていることが分かる。撮り直しのときにはマイクに当たらないことだけを気をつけてポーズをとった。なお、放送を見たら落合さんの挙げていた右手が、テレビ画面に映っていなかったため、ひとりだけ動きの乏しい紹介となっていた。

 放送ではここでCMに入るが、わたしの撮りなおしが終わるとすぐ次の問題が出題される。このペースの速さに巻きこまれてはいけない。この辺は充分イメージトレーニングをしたところだ。次は漢字問題。自信満々。

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 特徴的な形が現れたから簡単だったが、やはり「どうしても正解したい」という気持ちがあったため、いささか緊張していた。正解して14番に赤。次は5つのヒントの問題。次に正解すると角を取る戦いが始まり、且つ自分だけが角に入れないという状況になるから、あまり正解したくなかった。が、普通の早押し以外の問題をたくさん正解したい、という東大クイズ研的な気持ちが自分を支配していたのも確かだ。さて、運命はどちらに微笑むのか。自分以外の人が正解することである。何かパラドキシカルな状況におかれてしまった。

 こんなときに限って分かる問題が出てきやがる。3つ目のヒントまで来たとき、「まわす、きれい」から第一勘「万華鏡」が思い浮かんでしまった。しかも「イギリスで発明」、発明者が「イギリスのブルースターさん」であることは水谷先輩や本藤同輩が問題にしたことがある。他の人よ押してくれぇ、と思っているときに岩崎宏美のレコードジャケットが映ってしまった。ダウンタウンの「ガキの使い」のトークの中で「何処の世界にレコーディングに笑いが入んねん? 岩崎宏美の『万華鏡』きゃー?」という一節があるのを思い出してしまい、仕方なく押す。他の人より早く押せたことで、嬉しい気持ちが半分あったことは確かであるが、やはり「角を取る戦いを始めさせてしまった」という不快が先に立っていた。このとき映った顔も、ロコツに嫌そうだ。

 しかし「万華鏡といえば?」というアンケートをして、2位が「不思議」というのも納得がいかない。本当にそんな答えが多くなるものだろうか? 別に不思議じゃないし。

 22番に赤が入り、緑と青が角のチャンス。しかも、いったん角に入れば24か25に入れることがほぼ約束されている。わたしはひたすら連答し、場を荒らすことに徹しなければならなくなった。次は得意な音楽の問題。

 1曲目が全く分からない。基本的には中年大会だと思っていたから、新しめの曲が来たのは誤算だった。2曲目を聞いて、「ブルー」か「シャトウ」の2択になった。本命「ブルー」対抗「シャトウ」くらいの気持ちでいたら、緑の佐藤さんが「ブルー」と力強く正解。これは悔やんだ。何故勝負に行けなかったのか。誰がどう考えても、「シャトウ」のつく曲が3曲もあるわけ無いだろうが。緑が21番に入って、俄然押したくなくなった。押したって入れるのは24だけだし、そうすれば緑に下のラインを作れといわんばかりになってしまうから。

 佐藤さんは正解してかなり嬉しそう。と同時にほっとした表情をした。わたしだったら勝利を確信し、もっと露骨に喜ぶだろう。気は乗らないが次の問題。

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  • バドミントンで打ち合う羽のことを→緑「シャトルコック」正解

 わたし以外の3人がダダダッと押した。もちろん白か青に答えてほしかったのだが、こういうときは勢いのある人が押し勝つ。24番に入り、下の強烈なラインを作ってしまった。もっとも、これで勝負所が一段落したといえよう。わたしは正解したら次は6番に入るつもりだった。16に入って緑にもうひとつラインを作らせるのはあまりにつまらないから。

 この2週間くらい前、河合塾から講師がやってきて、保護者会で講話をした。そのとき「ロースクール構想」についての話題が出てきた際、資料を使い「弁護士の数は○○人」と言っていたのを思い出そうとしていた。が、「多分18000人なんだろうなぁ」と思うだけで、確信は持てなかった。中田先生が時間いっぱいの所で勝負をかけ誤答。2回目のお立ち。

 「マウンティング」かな、とも一瞬思って押せなかった。もっとも、マウンティングは興奮しているときにするものではない。こういうところでクイズ基本問題に弱いことが露呈する。緑が6番へ。普通は8番として様子を見るところだが、白の中田先生が立っている間に6から21のラインを完成させようということなのだろう。

 これは緑にとってかなり危険な勝負である。赤(わたし)も緑も角を取るチャンスになるから。次の問題が勝負を分けてしまう、はずだった。

 去年修学旅行のときに見たのだが、すっかり忘れてしまった。必死で思い出そうとする姿は放送でも見て取れる。何としても正解したかったが、「何寺だっけ」ではなく「何院だっけ?」と違う方向から思い出そうとしてしまい、結局時間切れ。白の中田先生に解答権が戻り、緑以外が角に入れるチャンス。

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  • 大相撲9月場所で平幕優勝した琴光喜の出身大学は→青「日本大学」正解

 最近相撲をめっきり見なくなってしまったため、全く反応もできなかった。9月場所のことを11月放送の番組で出題するか?という気持ちばかりが先に立ってしまい、自分の予想した時事問題は全く無駄かもしれない、という嫌な予感がするようになってきた。青が1番。とはいえ、ここはわたしにとって勝負所である。なんとしても16番に入りたいからだ。青か緑が16に入るのは避けたい。かと言って白は当分16に入れない。分かる問題出てくれよ。

 よりによってこういうときに一番嫌いなサッカー問題が出るとは。しかもアフリカって……。何となくサッカーの強そうな雰囲気の国を言ってみたが果たして不正解だった。あーあ、押さなくても良かったのかなぁ、という後悔だけが残る押しだった。これで2問お立ち。

 ほらね、これだったら押し勝てたかもしれないのに。などというマイナス意識ばかりがあった。社会の先生の面目を躍如した中田先生の勝ち。15に入ってくれたおかげで赤が消えた。あと1問持ちこたえれば16に入るチャンスは残る。

 青の落合さんも勝負所を迎えているのである。誰もが16に入りたいのだ。多分「決心」という言葉に反応したのだと思うが、「歌えなかったLoveSong」まで聞いてわたしも答えが分かった。もっとも、渡辺徹の曲名だけで文章が作れるかは疑問であるが。で、わたしと入れ替わりのお立ち。

 クイズに出る「刀に関する言葉」は「鎬(しのぎ)を削る」か「つばぜり合い」ぐらいである(刀鍛冶に関する「打ち合わせ」「焼き入れ」などもあるが)。「ある部分で受け止めたまま」を聞いて、多分「つばぜり合いだろうなあ」と思ってちょっと遅いタイミングで押したら白が早かった。白ならまあいいか、と思っていたら出た答えが「鎬」の方だったので、まラッキーかな、という気持ち。でも勝負は続く。

 最初「三焦」という言葉が思い浮かんだ。次に「肺臓」かと思った。が、これが五臓に含まれるか自信が無かった。答えは「すい臓」。後で調べたら「肺臓」は五臓に入っているとのことだった。これもクイズバリバリの人なら正解するんだろうなぁ。

 落合さんがいるから経済問題は絶対出題されると思っていたが、小難しい言葉に惑わされ、反応が遅くなってしまった。これも「不況下で」ぐらいで勝負をかけてもいいところだ。この種の語で出るのは「スタグフレーション」に決まっているから(理由は省略)。角を取る戦いだったら行っていたかもしれない。青が16に入る。

 「バロウズ」が出れば(テレビ的には)1択だ。ったが、押し負けた。白の中田先生が17番。

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  • 1636年、アメリカで最古の伝統を誇る大学の創立法案→白「ハーバード大学」正解

 なかなかボタンがつかない。また微妙に押し負けている。白が19。中田先生が好調モードに入ってきたから、この辺で潰さないとまずい。しかもついにめぐった角を取るチャンス。何としてもものにしなければならない。今角には入れるのは赤か白。頼む、早く押せるような問題出てくれ。

 一番恐れていたことが、一番嫌なタイミングで起こってしまった。クイズプレーヤーの「超早押しができるポイント」で押されてしまったのだ。これは白の中田先生の勝負強さである。わたしは、ボタンが押されたとき、すぐ誰が押したか確認した。それが一番嫌な白であることを確認し、一遍に嫌になってしまった。はっきり嫌な顔をしている。わたしにはあの押しはできない。ま、考えてみれば野依良治博士のノーベル賞に絡んでいる問題と、とれなくもない。白が25に入った。これで、後はアタックチャンスで取るしかなくなった。

 ここで得意の料理問題(社会人になってから得意になった)が来るとは。かようにタイミングの悪さだけが際立つ。この問題のほうが先だったら……などという詮無いことを考えないように気を付けながら、ここはひたすら我慢我慢。20に赤。この赤はアタックチャンス後の橋頭堡になるから、絶対に大切にしたい。

 どうも気持ちが「触媒」のペースに巻きこまれてしまっていて、大学1年の頃の、何も考えずに超早押しをしまくっていた頃を思い出してしまった。で、つい押してしまったが、「あ」と言ったのははっきり言って演技である。「うーん、何だろう?」みたいな困った顔をしているのは、「視聴者を置いていってしまう早押し合戦をしてしまった」という一瞬の「悔い」の表情である。どうせ答えは「末娘」で「ひとりだけリア王の味方だった」コーデリアに決まっている。ま、そういう早押し合戦をさせるような問題を出題するほうに責任があるのだ。とりあえず正解し、間違っても10番には入ってはならないから、斜めに走るように8番を指定。わたしは、次の問題は絶対に押してはならない。10しか入れないから。

 テレビだから「トロンプ=ルイユ」は無いよなぁ、と思いながら待っていたら中田先生が「エッシャー」。どうやってもエッシャーに持っていくのは無理な問題文だと思ったが、じゃあ答えは何なんだ? と思ったら果たして「トロンプ=ルイユ」だった。テレビ的なのかなあ? なお、放送ではカットになったが、このとき「誰か分かる方いらっしゃる?」と児玉さんが振ったのに対し、佐藤さんが答えを言っていた場面が見られた。後で見たら佐藤さんも押しているではないか。ま、クイズバリバリの人には常識、ってことで。

 押したい気持ちは山々だが押さない。落合さんが久々に正解し、4番へ。ここで白の方がお戻り、と児玉さんが勘違いしたナレーションをしてしまう。

 押そうかどうしようか悩んでいるうちに落合さんが押し正解。こういうのは本来TQCの専売特許だから、答えはすぐわかったのだけど。結局4つ目の角も持っていかれてしまった。あーあ。これで鐘の音が聞こえてきて、アタックチャンスまでしばし休憩となる。

 

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