1 はじめに

 世の中にクイズに関する著書やホームページは山ほどあるが、問題作成について真剣に考察したものはほとんどない。これはなぜなんだろうか。

 実はわたしにはクイズ屋の世界に友達がいないので、彼らがどのような方法でクイズ問題を作っているのか、皆目見当がつかない。ただ彼らの問題を拝見すると、いわゆる「ネタ本」からガンガン作りまくっているような印象を受ける。また、図書館で一冊一問に搾って作りまくっている人もいるかもしれない。

 彼らのクイズに対する努力や価値観を否定する気は毛頭ないが、わたしが一番怖いのは、ああいう方法だけがクイズ問題を作る唯一の方法だ、と思われてしまうことである。

 また、せっかく問題を作ったとしても、強豪と呼ばれる人たちが「そんなのベタじゃん」「簡単過ぎる」「○○オープンで出た問題だな」などとひとこと言えば、その問題はコケにされてしまう。

 かくして、初心者が問題を作りづらい雰囲気が、クイズプレーヤーの間に蔓延してしまう。初心者が問題を作りづらい雰囲気は、わたしの忌避するところである。

 むしろ「何だ、問題作りって、簡単なんじゃん」と思ってもらいたいのである。少なくとも、入り口の段階では。

 

 少しでもクイズに興味があるという人、とにかく問題を作ってください。それがこの講座の最初のメッセージです。誰が文句を言おうが、全然気にしないでほしいのです。特に強豪の意見など、聞く必要はありません。とにかく、自分勝手に問題を作る期間が必要なのです。わたしは大学1〜2年のとき、本当に自分勝手な問題を作っていました。難易度なんか気にしない。自分が良ければそれで良い。そういう問題を出題してみて、自分の問題についてかえりみる期間があるかどうか、長い目で見ればとても大切なことです。はじめから強豪の文法を真似た問題を作ったり、ベタ問題を少しずらす、というような問題つくりしかしたことがない、そういうひとは、今風のクイズに強くなれるかもしれませんが、クイズ問題作りがうまくはならないでしょう。

 本当の初心者の人が問題を作るとなれば、「CM問題」「漫画問題」などが楽だと思います。ジャンルの偏りなど気にせず、とにかく問題を作りましょう。 

 

 さて、このページの趣旨は「中級以上の作り手を目指すプレーヤーに向けて記す、クイズ作成講座」というものである。ただ、純粋なクイズ問題作成講座、というよりは、クイズ問題というものを様々な角度から考察することで、問題作成に役立つような形の文章をいくつかしたためることにするつもりである。当初は「ページ上問題添削講座」という形も考えていたが、わたしのクイズ問題作成にあたってのコンセプトを押し付けることは嫌いだし、それはクイズという遊びにはなじまないものだと思ってやめた。

 では、問題作成を意識したクイズ問題の考察を、次の項から見ていくことにしよう。

 

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