リストマークはじめに
 盆栽には、大別すると樹木の盆栽と草物盆栽の二つがあります。松柏や雑木などの盆栽を正式に飾ることを「席飾り」といいますが、そのとき下草(草物盆栽)は欠かすことのできない存在となります。席飾りの中心となる樹木盆栽に添うようにして、下草(草物盆栽)が飾られます。
 中心になる樹木の盆栽を「主木」とよんでいます。
 下草とその役目は席飾りにおいて、主木に添えられた下草主木の風情を盛り立て、席飾りの場を季節感溢れるものにするという、非常に大切な役割を担っています。
 主木と下草の強弱によって、主木は益々雄大に、下草はその優しさがより一層感じられるようになります。下草はこのように季節の情緒溢れる優しいものであることが大切です。
 ここでは、草物盆栽(根洗い)が樹木盆栽のように主木としてあるいは一鉢単品で飾れるよう目指して、作り方と管理方法などを、自分なりに経験した内容を記しています
 長年持ち込んだ草物盆栽は樹木の盆栽のように年輪を刻み、表面はコケむして落ち着いた気品と風格が備わってきます、草物盆栽(根洗い)は鉢土の中で山野草の根と根が縦横に絡み合い、根土が崩れにくくなります。そのまま陶板や水盤などの上に置いて飾り楽しむ盆栽を「根洗い」といいます。
 また、宿根草や球根草のような多年草は、冬季に地上部は枯れても毎年新しい芽が再生してくるので、長い年月の持ち込みを味わうのに適しています。
 ここでは、根洗い盆栽を三十数年作り経験した方法から「根洗い」盆栽の作り方を載せております。参考にしていただければ幸いです。

リストマーク長年持ち込むとこんな作品が楽しめます(H27年現在)
             
リストマーク作り方
 一般の鉢を使わずにケト土を練って鉢型を作り、鉢型の中に用土を入れ、その中に植え込む方法で「ケト土づくり」と自分では、そう称しています。植える方法には、単植と寄せ植えで作っています。

 単植
 一種類の山野草を一鉢に植えこむことをいい、単埴はその草の持つ美しさを十二分に活かすことにあります。例えば笹やツワブキ、ススキなど葉に観賞価値のあるものは、一年中飾って楽しめます。
 一般的な植え方のポイントは、根がある程度乾き、土がほぐれる状態にし、根に付いていた古い土はきれいに落とし、長過ぎる根は腐る原因になるので切り落とし、伸び過ぎた葉も切り取ります。植え付けは、根を四方に万遍なく張って植え、新しい土を隙間なく詰め込み、植え終わったら鉢底から水が流れ出るまで十分に散水します。

 寄せ植え
 いろいろな山野草や低小木を数種組み合わせて植えることを言います、一年を通して季節感豊かな情景を味わうことができます。春の芽出しの美しい草木や初夏に咲く花もの、夏に涼しげな葉を見せる草、秋に紅葉や実が美しい草木、冬の枯れ姿に風情のある草などと数種類組み合わせて植えると、その鉢から季節ごとの異なった情感を味わうことができます。
 寄せ植えでは、組み合わせを避けたほうがよいものと、観賞時期や草丈の高低、つる性、這うものなどを考慮するとよいです。
@日当たりを好む草と日蔭を好む草  A水を好む草とそうでない草  B高山性と平地性など  できるだけ同じ環境を好む草木がよいです。

 山野草・低小木苗の入手は園芸店等でポットなどに入った苗を購入する方法が一番よい。さらに殖やし方には、実生法、挿し芽などがあります。長年持ち込むこと(植え替えない)を基本に、宿根草(球根を含む)で強健、耐寒性などを考慮することが重要です。
 品種については際限なく数がありますので省略します。

リストマーク用意する用具類
 回転台・ノコギリガマ・ピンセット・切り出しナイフ・竹バシ・土入れ・各種ハサミ・土フルイ・麻ヒモ・麻布・土入れ用具・手袋など。ほか活着促進にメネデール100〜200倍液

リストマーク用土
イ、植えこんだら植え替えないことを考慮して、硬質赤玉土を使用し丁寧にミジン粉を抜く(大・中・小粒)・桐生砂(大・中・小粒)の混合土 
 ◎混合の割合は、各粒とも赤玉土約60%:桐生砂40%くらい(植え込む山野草の種類にもよる)
ロ、ケト土:水ゴケなど(各種コケ類及びコガネシダの胞子)細かく刻み込んだもをケト土に練り込み使う。

リストマーク作り方の写真説明
NO1

回転台の上に麻ヒモたてよこそれぞれ2本置き、その上に麻布(鉢のサイズにより、形、大きさは自由)を置く
NO2

麻布の上に底土用ケト土を厚さ約1pくらい乗せる、凹凸があってよい
NO3

麻布に乗せたケト土の外周に鉢型となるよう側面用のケト土を重ねる(厚さ約1pくらい)凹凸があってよい、付けたほうがコケの付き方もよく見栄えもよくなる
NO4

鉢型ができたら、底のほうには大きめの粒を、中間は中粒又は小粒で一般の鉢植えと同様に山野草、樹木苗を植え込む
NO5

背丈の伸びる種は中央付近、縁際は背丈の低いものなど、将来の配置を考慮して植え込む
NO6

側面が崩れないよう麻ひもで結わえる
NO

植え込んで土入れができたら縁際にコケを張る
NO8

麻ひもでタテ、ヨコと側面に結んでケト土が崩れないようにする、底部に排水口を空け
NO9

崩れないようさらに、対角線にも麻ひもを結わえる
NO10

タテ、ヨコ、対角に麻ひもを結わえた状態
NO11

四隅の底部に排水口を開け完成
濁り水が出なくなるまで水をやる
No12

作って5ヶ月
野草によっては早くも側面から芽が出る、コケも着生する
NO13

側面の麻ひもが朽ちて崩れそうな場合は新たに麻ひもを結わえて補強する
NO14

途中で樹木など追加した場合や崩れそうになった時、又は隙間ができたときはケト土を詰めて、新たな麻ひもで補強することが重要です、中の芯はダンボール
NO15

役一年後、側面にコケが着生
こうなると、水を強めにかけても土は流失しない
NO16 

縦型の鉢
イワガラミ、作10年(H26年現在)
中の芯はダンボール
 NO17

縦型の鉢はダンボール(紙筒)を利用、排水性を考え側面に穴を空け、ケト土を貼り付けるので、麻ヒモを粗めに巻いて、巻いたらケト土を貼り付け、貼ったケト土が剥がれないよう、麻ヒモでさらに巻き付ける。
 NO18

縦型の鉢
中の芯はダンボール
ツルコケモモの花が咲いています
作10年(H26現在)
NO19
 
縦型の鉢を作る場合はダンボール(紙筒)を利用。
 NO20

底の部分は排水など考慮し、麻布をしっかり取り付ける。
 NO21

側面にケト土を貼り付けるので、麻ヒモを粗めに結わいて、結わいたら側面にケト土を貼り付ける。
 NO22


ダンボールの中の底部にケト土を約一cm前後入れる、側面にケト土を貼り付ける。この場合厚さ約1cm前後に貼り付ける。
NO23

縦側面にケト土を貼り付けたら、はがれないよう麻ヒモを粗めに結わく、
NO24 

ダンボールの底部にケト土を入れたら、その上に粗めの用土を約2〜3cmくらい入れる。更に上から植え付け用の土を入れ植え付ける。
 NO25

側面の植え付けは根が小さめの素材を植え付ける、側面のケト土が厚みが足りない場合はケト土を足し厚みを付けながら植え付ける。
 NO26

側面の全体に種類など数年後(大きさ、花の時期)を考慮して植え付ける。
 NO27

植え付け後数ヶ月にはコケが張り出す、更にあらかじめ用意しておいたコケの種を播いて(貼り付け)コケを増やす。
 NO28

直径10cm以下の草物盆栽を作る。
NO29以下が作り方です。
 NO29

麻布を直径10cm以下に切る、麻ホモを置いてその上にケト土を厚さ約1cmを張り周りを鉢形にする
 NO30

鉢形にできたら、その中に種類を考慮して植え込む(用土は赤玉+桐生砂)
用土を入れずにケト土だけでもよい
 NO31

植え込んだら崩れない程度に麻ひもで結わえる。
 NO32

全体を軽く結わえて出来上がり、経験から排水溝なくても大丈夫
 NO33

手のひらサイズの草物盆栽
 
平成28年6月25日〜7月3日
 草物盆栽展の一コマ
 
作って15年、イワチドリを2球入れたが年々増えてきた。
 
植え替えをしなければ、時代が載って格調高くなり草物盆栽の主木として席飾りにもなってくる。

リストマーク作った鉢の置き場所は、
@
 植えた山草にもよるが半日陰(午後は日陰)がよい、作った年は置き場を変えず動かさない管理がよい、また乾かすとケト土が崩れやすくなり(ケト土は乾くとポロポロになり粘着性が失われる)、コケの着生も遅れる。

A
 冬の管理は、耐寒性の多年草なら霜よけ程度で充分、過保護は軟弱になって徒長する。ただし時々水を与えて乾燥はさせないこと。

B
 鉢数が少ない場合は、発砲スチール箱又は網目のネット袋に入れそのまま土中三分の一鉢が隠れる程度に土を入れ春に掘り出す。

C
 コケが着生するまでは常に土が崩れないような補強や養生(切れている麻ヒモを結わえ直すなど)が重要、ケト土が剥がれたり、側面が崩れそうな場合、ケト土を隙間に入れ、新たな麻ヒモで結わえ補強するとよい。

D
 表面にコケは貼らない方がよい、貼っても活着は難しい、自然に発生するコケが着生するまで我慢。

E
 肥料は植え込んだ山草が活着してから、出来るだけ少なめに与える。

F
 速く根洗いとして飾るには、コケの着生が促進される管理や環境で育てることが一番です。
時々ハイポネックス溶液を薄く希釈したものや、米のとぎ汁などを散布するとよい。

リストマーク肥料:農薬について
 肥料や農薬基準の希釈倍数を守ること。
速効性・遅効性やほかに農薬では接触型・浸透性などを理解して使用するとよい。
ぼけの系統(ぼけ、長寿梅など)にはオルトラン粒剤を置いておくと気勢(木勢)がなぜか落ちる。?

リストマークほかの種類を追加する方法
 出来ている鉢に他の山野草を追加する場合は、切り出しナイフ等を使って追加する苗が入る程度に適宜、大きさ広さ・深さを考慮して穴を開ける。植え付ける。側面に植え付けも同じです。


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        草物盆栽(根洗い)の作り方