2004年07月28日(水) 天気:晴時々曇

 今日はうれしいことが1つありました。大学時代からつき合いのある患者様のお一人が結婚なさったんです。その方は「若年性歯周炎」という歯周病でお悩みの方でした。

 最初にその患者様を診させてもらったのは,自分が徳島に赴任して間がない1996年の冬です。「若年性歯周炎」という歯周病は,その名前の通り若いときから歯周病が急速に進行していく方の総称です。数パーセントの割合でいらっしゃるというデータもありますが,その原因は未だにはっきりしていません。口の中に棲んでいる細菌に特異なものがいる説や体質による説など,いろいろ報告はあります。現在の見解は原因は1つではなく,いろいろな環境因子が合わさって発症するのだろうと何ともわかったようなわからないような感じで解釈されています。

 けれど,「歯周病」や「歯槽膿漏」という言葉には,未だに「老人がかかる病気」というイメージが一般の方にはある様子。その方も高校生の頃から自覚症状が出始め,相当に悩まれていた様子です。はじめの頃お口の中の状態を説明していると,涙が出てきて止まらなくなってしまいました。その後,患者様の必死の努力の甲斐あって今現在は歯周病の進行を止めることができています。しかし,失ってしまった歯を支える骨を完全に回復してあげるには至っていません。炎症がなくなれば歯ぐきは下がります。見た目からいうと歯の根っこがむき出しで・・・満足できる状態ではないと思います(特に若い女性ですから)。私たちにしても「これで患者様に満足してもらえるのだろうか」と葛藤の日々でした。

 しかし,今日明るい声での「結婚報告」をお聞きすることができ,スタッフ一同本当に大喜びでした。Iさん,本当におめでとうございます。どうかお幸せに!

 診療の出来事は出来るだけ避けて来たこの日記ですが,今日はあまりにうれしかったので,書かせてもらいました。

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