いつもの朝の通勤時に、対向車線から何かが転がってきて、当たった音がした。
瞬時に、ルームミラーで後方を確認したが、特に路面に転がっているものはなかった。
程なく職場に着き、フロントを確認したが、特に変化はなく、エンジンルームのアンバーカバーにでも何かが当たったんだろうというくらいでそれ以上気に止めなかった。
ドライブレコーダの映像にはその“何か”は映っていなかったが、音は入っていた。
それから何日かして、洗車の時に、異変に気付いた。
バンパー下部(ナンバーの脇)のメッシュ部分が割れている、しかも、その奥のラジエーターの一部がつぶれている。
あの音は間違いなく、ここの“何か”が当たり、メッシュを突き破り、ラジエーターに当たった音だったのだ。
しかし、その正体は見つからず、また、何日かが経過した。
ある日、買い物を終え、車に向かって歩いていると、バンパーのメッシュの奥の方に、“何か”があることに気が付いた。じっと見ると、コンクリートの塊のように見えた。
良く考えれば分かることだが、カバーで覆われているのだから、メッシュを突き破った異物は外に出ることなく、中に留まっていたことは明らかなのに、今まで見つけられなかったのが不思議なくらいである。
毎日こんなものを転がしながら、運転を続けるのは気持ちも悪いもので、早く取り除きたいが、修理記事をネットで検索しても、メッシュ部分の交換記事は見当たらない。おそらく構造上、バンパーの脱着が必要のようであり、かなりの大仕事になる。
暫く、モヤモヤしながら過ごしたある日、良いアイデアが思い浮かんだ。
どうせ、いつかはメッシュの交換をすると思えば、一部が破れたメッシュに未練はない。
この車のフロント部分は、一部のメッシュ部分がナンバープレートに隠れている。だから、その部分のメッシュを破って、そこから取り出すことにした。このアイデアが浮かんでから実行するまでの何日間は実に待ち遠しかった。
2本のネジでナンバーを外し、プレートの4本のネジを外すと、何も付いていないバンパーとなる。異物の大きさギリギリに、穴を開けるために、テープで目印を付けて、金鋸で切るが柔らかな素材なので、すぐに切れた。
ポッカリと穴が開いたところで、異物を取り出した。
強度を保つために、開けた穴はステンレスのワイヤーで縫合しました。コンクリートによって破られた部分は、上手に引きだしたら、ほとんど分からないくらいに元に直り、こちらは目立つので敢えて縫合はしなかった。
ほんの30分くらいの大胆な修理により、異物を取り除き、気分もすっきりした。
それにしても、不幸中の幸いとはこのこと。ヘッドライトやバンパーに当たっていたら、本格的な修理が必要だった。ボンネットに当たっても同様だし、フロントガラスだったら割れていたかもしれない。この狭いストライクゾーンに良く当たってくれたと感謝(?)したいくらいだ。
作業:2016年9月