ある朝、セルは回るのに、エンジンが掛からなくなった。
寒い朝ではあったが、1週間前にバッテリーを交換したばかりである。
何度試してもやっぱり掛からず、そのうち、いくら新品とはいえ、バッテリーが心配になったので、別の車とケーブルで繋いで試したが、やっぱり掛からなかった。
これ以上は、どうにもならないので、ディーラーに電話して、いつも何かと相談に乗ってもらっているサービスの人に話すと、「プラグが被った」とのこと。
何度もセルを回して始動を試みるか、プラグを外して清掃する以外方法はないとのこと。
ある車でも同じ症状が出て、5分くらいセルを回した経験があるとのこと。
そこまではしなかったものの、何度か試し、それでもダメなので、プラグを清掃することにした。
カバーを外し、イグニッションコイルを抜き、いよいよプラグというところまで順調に行ったのに、プラグが外れないのだ。
深さから判断すれば、レンチはプラグに当たっているのに、、、
結論は、何と、プラグの径とプラグレンチの径が違うということだった。
所有する最小サイズのプラグレンチは18mmだが、E39のプラグは16mmであった。
プラグが外れなければ、もう打つ手はなく、もう一度助けを求め、ディーラーに電話をした。
そして、親切なサービスの人が工具持参で我が家に来てくれた。
ふたりで、縦置き直6の6本のプラグを、順次外すが、運転席に近いプラグは、エアコンフィルターと室内への空気取り入れ口を外さないと作業ができない。
結局、16mmのプラグレンチがあったとしても、ここで外し方が分からず、お手上げになっていた可能性が高い。
取り出したプラグは、驚くくらい濡れていた。
しかし、天下のBMWがプラグが被ってエンジンが掛からないっていうことは信じられない。
6本のプラグを掃除して、組み上げ、始動したが、やはり掛からなかった。
ところが、プロのサービスの人は、他の原因を疑うことはなく、掛かるはずということで、もう一度、6本のプラグを外し、掃除してみることにした。
掃除というのは、ライターの火で炙り、ウエスを拭き取る作業だ。白金プラグのためワイヤーブラシを掛けることができないので、実に手間の掛かる作業だ。
とにかく、何十年も前のバイクの面倒をみるようなものだ。
そうして、組み上げ、再び始動を試みる。
一発目は失敗、そして、二発目でようやく火が付いた。
サービスの人が言うには、再発の可能性がないだろうとのこと。
今回の始動不良は、バッテリー交換とは関係がなく、たまたま運悪く始動しなかったとのこと。
E39は、吸排気、点火時期、燃料噴射の全てがコンピューターで計算されているので、「どうして?」と聞いたところ、「始動時は何の制御もしていない」とのことであった。
その後数日は、キーを回す度に、掛かるかどうか不安な毎日であるが、今のところ問題なく、一発始動である。
今回も、ディーラーのサービスの方には、我が家まで来てもらい寒空の下で作業していただき、本当に感謝した。
この人がいる限り、暫くはこのE39に乗り続けられそうだ。
今回、写真が少ないのは、流石に、作業してもらっているところを撮るわけにはいかなかったからだ。悪しからず。
費用:何と出張修理だったのにタダ!
作業:2011年12月