備前牛窓本連寺

経王山と号す。延暦年中最澄の旧跡ともいう。
牛窓の最初の法華宗の道場として、大覚大僧正が法華堂を建てたことに始まる。
 ※大覚大僧正中国弘通のため西下、三備の第一歩を記したのがこの牛窓であろうと推測される。
三備の第一歩を標した大覚大僧正はこの地の石原佐渡守を教化、法華堂を建立する。これが後の本蓮寺に発展する。
 2001/12/29撮影:門  前 題 目 碑
永享年間(1429-40)に本能寺日隆上人が西国に布教し、日暁上人を備前に派遣する。
牛窓の豪族石原道高は日暁上人に帰依し本蓮寺の開基檀越になり、法華堂を本蓮寺(日隆上人が第1世)と改号する。
 ※現在は法華宗(本門流)(八品派・日隆門流)、京都本能寺・尼崎本興寺末。
道高は第2子を出家(日澄上人・第2世)させ、兄石原伊俊と共に本蓮寺本堂(明応元年<1492>、桁行5間・梁間5間、寄棟、本瓦葺、重文)を造立する。 以降西国筋の八品派の拠点の一つとなる。
 2001/12/29撮影:本 連 寺 本 堂:【重文】

かっては寺中6坊があったが、明治15年大蔵坊を除く5坊を本坊に合併する。

2010/12/19追加:
「本能寺史料 西国末寺篇」藤井学・波多野郁夫、思文閣出版、1993 より
 牛窓本蓮寺境内図
 本図では三十番神堂の前に拝殿があり、本堂・番神堂拝殿・帝釈堂(鬼子母神)・祖師堂は廊下で繋がっていたようである。
 現在では番神堂拝殿及び廊下全ては退転し現存せず。

2017/10/23追加:
「第42章 大覺大僧正妙實上人」(「岡山市史 巻2」岡山市役所編、昭和11年 所収) より
○本蓮寺蔵・元禄16年(1703)折本縁起:
開巻第一、備前牛窓、本門法華宗本蓮寺来歴之事の条
一、当寺草創開基者、大覚和尚、是即後醍醐天皇第三宮大覚寺殿御事也、・・・・、大覚寺殿與日像師数在御参会毎度及法論其後日像を屈尊而被仰師範由申伝事。
一、・・・・・(省略)・・・・
○本蓮寺蔵・経王山略志:
東備本蓮寺者、往昔伝教大師之草創而、桓武帝勅願之道場也、・・・然後、中古近衛左府藤公(経忠)之猶子僧正大覚弘通・・・(以下略)・・・・

2001/12/29撮影:
町並みが迫る丘上の中段に伽藍地が造成され、本堂・祖師堂・三重塔などが密集して建つ。更に下段の伽藍地に客殿・庫裏などが建つ。
本堂とともに同時代(室町後期)に建立されたと推定される番神堂(重文)、中門(ニ脚門、重文)が今日に伝えられる。
 番神堂(覆屋)     番 神 堂1     番 神 堂2     番 神 堂3
江戸期・寛文3年(1663)池田光政33石を寄進、続いて祖師堂・三重塔・客殿(朝鮮通信使の宿舎)・庫裏等が建立される。
 祖 師 堂1      祖  師 堂2      祖師堂扁額       客      殿       鬼子母神
三重塔は元禄3年(1690)建立(棟札写し)。
一辺 3.2m、高さ18.1m、小型塔。手法として軸部は粽付きで台輪を用い、花頭窓・唐桟戸・斗栱等唐様が強い。
心柱は二重梁上から建ち、初重には四天柱を建てる。屋根本瓦葺。軒は二軒繁垂木。
 本蓮寺三重塔1       本蓮寺三重塔2(向かって右から祖師堂、三重塔、本堂)
 本蓮寺三重塔3       本蓮寺三重塔4       本蓮寺三重塔5
 本蓮寺三重塔6       本蓮寺三重塔7       本蓮寺三重塔8       本蓮寺三重塔9

2022/05/06撮影:
●三重塔
 

 牛窓本蓮寺三重塔11    牛窓本蓮寺三重塔12    牛窓本蓮寺三重塔13    牛窓本蓮寺三重塔14
 牛窓本蓮寺三重塔15:上図拡大図
 牛窓本蓮寺三重塔16    牛窓本蓮寺三重塔17    牛窓本蓮寺三重塔18    牛窓本蓮寺三重塔19
 牛窓本蓮寺三重塔20    牛窓本蓮寺三重塔21    牛窓本蓮寺三重塔22    牛窓本蓮寺三重塔23
 牛窓本蓮寺三重塔24    牛窓本蓮寺三重塔25    牛窓本蓮寺三重塔26    牛窓本蓮寺三重塔27
 牛窓本蓮寺三重塔28    牛窓本蓮寺三重塔29    牛窓本蓮寺三重塔30    牛窓本蓮寺三重塔31
山門:18世紀中頃の建築と云う。一間一戸の四脚門。
 本蓮寺入口     本蓮寺山門1     本蓮寺山門2     門前題目石:天保11年(1840)の年紀
 本蓮寺石垣・通用石階
 本蓮寺玄関・庫裏     本蓮寺客殿1     本蓮寺客殿2     本蓮寺客殿3     本蓮寺客殿4
 本蓮寺薬医門
中門:【重文】
 本堂と同じ時期・明応元年(1492)頃の建立と伝える。
 形式は棟門で、切妻造・屋根本瓦葺である。創建時の扉は欠失し、今の扉は明治のものである。
 本蓮寺中門1     本蓮寺中門2     本蓮寺中門3     本蓮寺中門4     本蓮寺中門5
本堂:【重文】
 本蓮寺伽藍
 本蓮寺本堂1     本蓮寺本堂2     本蓮寺本堂3     本蓮寺本堂4     本蓮寺本堂5
 本蓮寺本堂6
祖師堂:
 再建時期は元禄4年(1691)か明和6年(1769)という。
 平面は3間×4間で1間の向拝を付設。
 入母屋造、屋根本瓦葺。軒は二軒繁垂木、組物は出組、通肘木と丸桁は軒支輪で化粧する。
 外陣は全て吹抜けで豪壮である。
 本蓮寺祖師堂3     本蓮寺祖師堂4     本蓮寺祖師堂5     本蓮寺祖師堂6
 本蓮寺祖師堂7     本蓮寺祖師堂8     本蓮寺祖師堂9
両師御廟
 本蓮寺両師御廟1     本蓮寺両師御廟2
 両師御廟推定日蓮・日隆石塔     両師御廟推定日蓮石塔     両師御廟推定日隆石塔
 本蓮寺鐘楼
 本蓮寺鬼子母神堂     鬼子母神堂内部     鬼子母神堂厨子
三十番神:【重文】
 東祠・中祠・西祠の三棟からなる。三棟は覆屋に覆われる。建築時期は三棟とも室町後期とされる。
 中祠は入母屋造、屋根杮葺、向拝付設、軒は二軒疎垂木。
 東祠・西祠は一間社流造、屋根杮葺、軒は一軒繁垂木。
 三十番神覆屋1    三十番神覆屋2:覆屋前は中門
 三十番神東祠1    三十番神東祠2    三十番神東祠3    三十番神東祠4    三十番神東祠5
 三十番神中祠1    三十番神中祠2    三十番神中祠3    三十番神中祠4
 三十番神中祠5    三十番神中祠6    三十番神中祠7    三十番神中祠8
 三十番神西祠1    三十番神西祠2    三十番神西祠3    三十番神西祠4
 題目石・法界万霊     題目石・法界:何れも墓地入口にある。
 本蓮寺歴代墓碑1     本蓮寺歴代墓碑2


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