金　沢　「ガイドおじさん」

相棒のTakaさんと越前から加賀、金沢と回ったのは某年２月中旬の雪の多い時季であった。
我々が乗った北陸鉄道（076-239-0123）の定期観光バスには女性ガイドは居ない。
二十数年前から採用していないそうである。その理由は覚えていないが、ガイド嬢ならぬガイドおじさんである。
このガイドおじさん、ガイド嬢特有の愛嬌や色気は無いが話術が頗る楽しい。
通り一遍の観光案内だけでなくエピソードや裏話が沢山出てきて飽きることがない。
これから金沢に行く方もあると思うので余り詳しくは書けないが一つだけご披露しよう。
観光バスのコースに「忍者寺」がある。そこへ向かう車中で聞かされた裏話である。
『この寺は大きくはありませんが名前のとおり寺の各所に色々な仕掛けが施されていることで有名です。それ故に大勢の観光客が訪れ莫大な入場料収入が上がります。だからと言う訳ではないでしょうが、寺の職員さんの慰安旅行はいつも豪勢で、去年はハワイに行きました。税金対策などはどうしているのでしょう。私ら（ガイドおじさんのこと）はお寺に皆さんをご案内しますが、そんな美味しい思いはしたことありません』等々とユーモアと皮肉たっぷりで車内を笑いの渦に巻き込む。
下手なお笑い芸人や司会者より、よっぽど達者である。
各地を旅し観光バスにも乗るが、ガイドおじさんは後にも先にもこの北陸鉄道の定期観光バスだけである。
金沢に行かれたらこの“ガイドおじさん”を味わってみるのも面白いと思う。
但し、ガイドおじさんの全部が全部とも話術が上手いのか、我々が運良く話術に長けたガイドおじさんに当たったのかは不明なので外れたらゴメンなさい、である。

写真：北陸鉄道定期観光バス Taka　文章：Roshi