山 形 「愉悦のだだちゃ豆」
訪れたのは某年8月初旬だった。
東北とは言え山形である。暑さは覚悟していたが覚悟以上に暑い。
観光地図によると山形駅から直ぐの所に霞城公園という見どころが有る筈だが地図音痴の悲しさ、地図のとおりに進んでいるつもりだが見当たらない。
汗が後から後から滴り落ちハンカチがびしょ濡れになった頃にやっと巡り当てた。
観光スポットとして掲げている割には案内表示が少ないのにも閉口した。
一見の観光客にも簡単に分かるような親切な表示が欲しいものである。
マァ、それはそれとして山形から帰りの話である。
新幹線に乗るべく山形駅に向かった。新幹線の発着までに時間が有ったので駅コンコースの売店を見て廻った。
そこで目に付いたのが「だだちゃ豆」である。
見た目は緑色がくすんだ少々小振りの枝豆である。
見た目の悪さの割には値段が高い。だが、私の住む神奈川では見たことのない代物である。
何事も物は試しと一袋を購入して帰路についた。
帰宅してから早速に茹でる。普通の枝豆の何倍もの香りが家中に広がった。
茹で上がりを一つ口に放り込む。何という甘さ、何という香ばしさであろう。
そして甘みはくどくなく、香ばしさがどこまでも続く豊かな馥郁。
今まで食べて来た枝豆には申し訳ないが、これぞ本物の感である。
枝豆好きには勿論だが、特に枝豆なんて・・・という方も一度お試しあれ。
ウゥーム成る程と首肯され手を打つこと請け合いである。
多少の値段の高さなど気にならないであろう。それほどの美味である。
最近では神奈川でも見掛けるので山形以外の地でも手に入ると思う。
普通の枝豆の1.5倍から2倍くらいの値段だが、それだけの価値は有る味である。
8月から9月一杯くらいが旬であろうか。
因みに、だだちゃ豆の「だだちゃ」とは山形県庄内地方の方言で「親爺・旦那」の意味だそうだ。
ビールのつまみに親爺さんを一摘み、いいかも知れない。

写真:霞城公園「東大手門」
Roshi 文章:Roshi
 

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