「アルミラ」「ヴィティスの」
「「新婚さんいらっしゃ〜い」」
真顔でお馴染の“いらっしゃ〜い”ポーズをする二人。
フィールは我が目を疑った。隣には何故かレオンがいる。
唖然とするフィールをよそに、アルミラがレオンにマイクを向けた。
「それではお名前をどうぞ」
「俺はレオン。こっちはフィールだ」
「お二人は結婚何ヵ月目ですか?」
「えぇっ?!」「先月入籍したばっかだ」
「それはおめでとうございます」
ヴィティスが生真面目に祝いの言葉を口にした。
レオンはでれでれと相好を崩す。
何の冗談なのだろう。
他の皆はどうしたのだと辺りを見回せば、自分達より一段低い位置から聞こえる声にフィールはひっくり返りそうになった。
「おにいちゃーん!頑張ってー!」
「しっかり賞金もらいなさいよ、フィール!」
「リラックスして行け、小僧」
ドロシー、ジュジュ、ガルムが気合い十分に応援している。
その後ろでは村人達に混じって父と母の姿も見えた。
記憶にない筈の二人の姿にこみあげてくる涙も、アルミラとヴィティスによって引っ込んでしまった。
「では早速ゲームに挑戦して頂きましょう」
「今回お二人に挑戦して頂くゲームはこちらです」
ヴィティスの合図で緞帳がするすると上がる。
そこには数百体のヴォロがわらわらしていた。
「『当たって砕けて!?ヴォロ千匹斬り』です」
「えぇえええっ?!」
「おおっ!腕が鳴るな、いくぜフィール!」
「え?あ、あのレオ…」
「制限時間は20分です」
ステージの袖から黒い耳が可愛らしいバニールックのヴォロ二匹が大きなタイマーを運んできた。
左腕のレクスを淡く光らせ、レオンが戦闘態勢に入る。
観客席からは大きな歓声が上がった。
「それではどうぞ」
アルミラの淡々とした声に合わせて、タイマーのカウントダウンが開始される。
レオンは合図と共にヴォロの団体目掛けて走り出してしまった。
「あーもう!こうなりゃ自棄だ!!」
右手に力を籠め、フィールもレオンを追ってヴォロの群れの中へと突入していった。
「う〜ん…ヴォロが一匹、ヴォロが二匹……」
「おにいちゃん?大丈夫?」
「なーに、呑気に夢でも見ておるのでしょう。ほっとけばよろしいですぞ、ご主人」
「トト、おにいちゃんとっても苦しそうだからどいてあげて?」
「ご主人の仰せとあらば」
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