「レオン、起きて。朝だよ」
朝に弱い訳でもないのに、レオンはよく寝坊する。
本人曰く「決まった時間に起きるのが嫌い」なのだそうだ。
それゆえフィールより早く起きる日もあれば、昼近くまで寝ていることもあった。
寝かせておいてあげたいのは山々だが、朝食は揃って食べてもらわないと片付かなくて困ってしまう。
レオンの引き締まった肩に手を掛けて、フィールは必死に揺すった。
「朝食の準備が出来たんだ。みんなも待ってるよ」
「・・・・・・」
毛布の隙間から金の双眸が覗く。
起きてくれる気になったのかとフィールが安堵したのも束の間。
突然伸びてきた腕にベッドの中へと引き摺り込まれてしまった。
「うわっ!!レオン、何するんだよ!」
「うるせぇな…」
腕の中に抱き込まれ、フィールは頬を赤く染める。
フィールの反応に気をよくしたレオンは細い首筋に顔を埋め、啄ばむようにキスを落とした。
音を立てキスが降ってくる度にフィールの体がぴくりと跳ねる。
このまま流されてはいけないともがけばもがくほど、レオンの腕の力は強くなった。
「だ、だめだよレオン…みんな待ってるのに…」
「勝手に食い始めてんだろ?」
フィールが何を言ってもレオンは止めるつもりはないようだ。
耳に、額に、頬に、愛しげにキスを降らせた。
レオンの体温を間近に感じ、フィールの瞳もとろりと熱を帯びてくる。
抱き締めてくる腕にそっと自分の腕を絡ませ、体を預けた。
15分程して、食堂に戻ってこないフィールを探しに来たアルミラがレオンの部屋を覗くと、抱き締めあったまま二人は仲良く眠っていた。
「まったく…世話が焼けるな」
そうは言いながらも、アルミラの口元は綻んでいた。
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