※『numb』の幸村視点。大阪夏の陣ネタです



一つだけ、願うなら



   『scream of blade』



最期にこの切っ先に映るのが貴公であればよいと願っていた。


「最期、か…」


そう思った時点でそこがてめぇの限界だ、と薄い唇を三日月に歪めて笑うだろうか。
見上げる崖の上、陣幕の中にいるであろう人物に思いをはせる。

刃こぼれした紅槍は血脂に汚れていた。
鈍く光るそれはあと幾人狩り獲れるか分からない。
けれどまだ終らぬと、刃鳴りする得物を握り締めた。

己の信じるままに生きた。
悔いはない。
もし一つだけあるとすれば―


「そなたとの、決着をつけていない事だけだ」


(2008/11/18)


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