『伊達軍結成秘話』



元服を控えた梵天丸に、片倉小十郎が近侍として仕えることとなった。
そんな二人が梵天丸の師である虎哉和尚の元へと向かっていたときのこと。


「片さん!片さんじゃないッスか!」
「お久しぶりッス!」
「うす!」


歌舞いたいでたちの若者が数名、小十郎に頭を下げてきた。
見慣れぬその姿に、梵天丸はぎょっとする。


「お、おめぇら…!なんでこんなとこにいやがる…」
「偶然通りかかったんスよ〜。まさか片さんに会えるとは思いませんでしたけど」


小十郎は盛大に舌打ちした。
若者たちは小十郎に会えたことが嬉しいのか上機嫌である。


「…小十郎、こやつらはお前の友人か何かか?」
「いえ、そうではなく…」
「片さん、このガキ何ですか?あ!もしかして片さんの子…」
「地獄が見てぇか?」


小十郎は問答無用で若者その1をぶっ飛ばした。
見事な蹴りが炸裂して、哀れな若者は頭から地面にめり込む。
スケ●ヨさんの完成だった。


「やっぱ強ぇな、片さんは!」
「鬼の片倉は伊達じゃねぇ!」
「黙ってろ」


鬼をも殺しそうな勢いで、小十郎は若者たちを睨み付けた。
事の成り行きを見守っていた(おいてけぼりを食らっていた)梵天丸は、嘆息しつつ小十郎に再度問う。


「で?何なのだ、こやつらは」
「その…昔馴染みと申しますか何といいますか…」
「俺ら、片さんの舎弟ッス。すんげぇお世話になったんスよ」


歯切れの悪い小十郎に梵天丸が痺れを切らしそうになった頃、若者の一人がそう答えた。
「余計なこと言いやがって!」、と小十郎の憤怒の形相が物語っている。
舎弟という言葉を知らないのか、梵天丸は小首を傾げた。


「舎弟?それは部下か何かか?」
「ま、まぁそんなとこッスね。片さんのお子さんは利発なんスね〜」
「だから俺の子供じゃねぇって言ってるだろ」


今度は左ストレートが決まった。
舎弟その2が後方10メートルの距離を低空飛行する。
その技のキレに、歓声が巻き起こった。


「梵天丸様、こいつらは放っておいて参りましょう」
「部下をそんな風に殴り飛ばすものではないぞ」
「いいんスよ!俺らはいつもこんな感じですし」
「お子さんは優しいなぁ」
「てめぇら…本当の地獄を見せてやるぜ…」


小十郎はブチ切れた。
舎弟たちは全員地獄を見ることとなった。


「…これもある種の人心掌握の方法なのかも知れんな」


極殺モードの近侍を眺めつつ、思案していた梵天丸はぽつりと漏らした。




 ― 数年後 ―


「O-kay!Are you ready?」
「Yheaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」


奥州伊達軍は、暴走族ちっくな集団になったという。


**************************************************************
元メールフォームのお礼文でした。

(2008/03/02)

MENU  /  TOP