自宅の塗装をDIYでお考えの方へ、一通りやった経験者としてノウハウを以下に記します。
 参考と一助になれば幸いです。




■費用と工数

 DIYでやろうと考えている人の一番の関心事は、費用と工数だと思います。
 勧誘に来た塗装業者の見積りはどこも100万円前後でした。100万円の内訳を推測すると、塗料代:5〜15万円、足場代:5〜15万円、資材その他費用:5〜10万円で合計20〜35万円前後。残りは職人の人件費と利益だと思います。もちろん塗装業者によっていろいろで、もっと高価な塗料を使う業者もいるでしょうし、地域によって異なるかも知れません。
 人件費(工数)も業者によってまちまちだと思いますが、工期はおおよそ3人で10日〜2週間(実働30人日)前後といったところだと思います。職人の人件費を抑えてもっと短期間で済ます業者もいるかも知れません。
 ところで、実働30人日は週休2日の会社なら1ヶ月とちょっとになります。私の知る限りでは、電気業界など他の業界で派遣外注を頼むと1人1ヶ月で100万円前後が一般的ですので、塗装業界は大変厳しい世界の様に思います。

 DIYだと人件費が要らないので、塗料と足場と資材の費用になります。せっかく苦労して時間掛けてやるのですから、塗料は良い物を使いたいですし、足場は後記の通りしっかりしたものが必須です。資材はコーキング材やマスキングテープ、刷毛、ローラーなど多種多量の品に加え、高圧洗浄機や電動工具など高価な物もあります。少なくとも40万位は掛かると思っていた方がいいです。もちろんケチろうと思えばいくらでも安く出来ますが、それは何を目的にするかに依ります。
 工数は素人が初めてやる訳ですから最初は効率が悪いので、50人日位は覚悟していた方がいいです。1人で毎週土日の2日間だけなら25週間ですが、雨で出来ない日もあるので35週間だとすると8ヶ月になります。冬は出来ないので、約1年掛かる見込みになります。もちろん、夏休みや五月連休を利用すれば短くなります。




■目的

 おおざっぱに言えば、塗装業者に100万円払って2週間でやって貰うか、40万円掛けて実働50日で自分でやるかです。
 自分でやるのは、物凄く大変です。普段はデスクワークの仕事をしているので、最初は筋肉痛が続きました。夏は多量の汗を掻きますし、日焼けも半端じゃありません。それに基本的に危険です。
 でも、自分でやるのはとても楽しいです。(人にもよると思いますが。) 計画通りに綺麗になっていく過程には喜びがありますし、完成した時の達成感は一言では言えません。やった者しか分からない知識と経験が得られます。大げさに言えば、自分史の1つになります。
 単にお金の節約だけが目的なら、やめた方がいいと思います。一番安い業者を探した方が賢明です。50〜60万円の業者もみつかるはずです。




■足場は必須

 平屋住宅なら足場無しでも何とかなるかも知れませんが、二階建てなら屋根塗装はもちろんのこと、二階部分の外壁塗装でも足場がないと無理です。作業効率性と安全性の両面から足場は必須です。
 塗装では左右の動きを十分に確保しないとかなり作業効率が落ちます。塗装は基本的に屋根から始めて二階外壁、一階外壁と上から下への順番にやっていきますので、家の周りをぐるぐる回りながら進めていきます。よって作業効率を考えると、梯子では現実的に無理と思いますし、簡易足場(巾二間程度の足場)ではかなりの苦労になると思います。
 安全面から、梯子や簡易足場はかなり危険です。塗料や資材を一棟分相当購入すると、間口の狭い簡易足場を無料貸し出しするところもあるようですが、とても危なっかしく思います。安く済ませたい人はそれなりの覚悟を決めて頼むのでしょうが、DIY塗装で死んだり大怪我したら元も子もありません。
 足場は専門業者に発注することをお勧めします。単価と期間は交渉次第と思いますが、単価の相場はu当たり600円〜900円、200uでも12万円〜18万円です。期間は2〜4ヶ月といったところです。週末DIYでも連休を利用して集中してやれば、屋根と二階外壁を3ヶ月前後で済ませることは十分可能です。一階外壁は足場が無い方が効率良いところもあるので、足場を外してから脚立でゆっくりやればいいと思います。
 足場には色々あります。ネットで調べて一番安心できそうなビケ足場を選びました。(左下写真)

 下中央の写真は近所で見かけたものです。この程度の足場で作業する塗装業者もよく見かけます。単管の上に乗って作業するのでしょうが、危険ですし綺麗な仕事が出来るとは思えません。
 おまけ:仕事で台湾出張したとき「竹の足場」を見ました。右下の写真はネットで拾ったものですが、こんな感じでした。日本だと竹を入手する方が難しそう。
DIY外壁塗装 足場 DIY外壁塗装 足場 DIY外壁塗装 足場




■安全対策

 しっかりした足場が必須ですし、「安全ベルト」も必須です。腰から繋がるロープの先のフックを足場の単管に引っ掛けて、落下を防止するために着用します。足場での高所作業は最初はさすがに怖く感じますが、安全ベルトで安心出来ます。安全ベルトは巾が広いので、それに合う作業ズボンも一緒に買いましょう。靴は滑らないゴム底の作業靴がベストです。
DIY外壁塗装 安全対策 DIY外壁塗装 安全対策 DIY外壁塗装 安全対策




■雨対策(天気情報)

DIY外壁塗装 YAHOO天気情報 雨の日に塗装は出来ません。朝から降っていれば諦めますが、途中から降る予報だと悩みます。そういう時は、YAHOOの雨予想を使いました。1時間単位で6時間先までの降雨量を予測しています。これは便利です。

  http://weather.yahoo.co.jp/weather/raincloud/

 曽根さんの話では、雨が降り始める前に携帯電話に知らせるサービスをやっているところ(有料)もあるとのこと。便利な世の中です。




■塗料購入

DIY外壁塗装 塗料 塗料は塗装専門の物を使いましょう。ホームセンターで売っているDIY品を使っては話になりません。 出来ればフッ素系が良いのですが、かなり高価になるのでシリコン系にしました。
 いろいろ調べてから塗料卸店に行き購入しました。塗料卸店は敷居が高い気がしていましたが、行ったらDIYでやる奴が珍しいのか親切にいろいろ教えてくれました。ネットで注文するより安いと思います。
 一度に全部買わず必要な分だけ何回かに分けて買った方が無難です。「塗料は一夏を越さない方が良い」と教えて貰いました。




■塗料仕様は重要

DIY外壁塗装 塗料配合 塗料には、水道水で希釈する水性タイプ、シンナーで希釈する1液タイプ、主剤と硬化剤を調合した後にシンナーで希釈する2液タイプがありますが、いずれでも大事なことは、希釈率、調合率をきちんと確認することです。容量(cc)ではなく重量(g)が基準なので、秤を使います。電卓も必要になります。
 また塗布量値も大事です。塗布量値はu当たりに必要な塗料の量(kg)を示しています。塗布量値から塗る面積に必要な塗料の量を予め計算して、その分だけ調合します。余るか足りないかで塗りが薄いか厚いかが分かります。
 このように、塗料の製品仕様をきちんと守ることが重要です。
 塗料仕様は製品に付いていますが、以下のサイトでも注意事項なども含めて確認することができます。

http://www.mko-kikaku.com/toryougaido/toryou/1/namaedekensaku/index.htm




■コーキング

 サイディング外壁では、つなぎ目のコーキング打ち直し作業が結構大変です。旧コーキング材をカッターナイフでカリカリ剥がす作業に結構時間が掛かります。しかし、必要は発明の母なのか世の中には便利な物があり、「スピンカッター」なるものを知りました。通販で3000円弱で入手できます。電動ドライバーに装着して旧コーキング材と外壁の間を走らせる感覚で手軽に使え、カッターナイフと比較して作業効率アップになるのは間違いありません。ただし、綺麗に仕上げるとなると、この後にカッターの後処理作業は残ります。
DIY外壁塗装 スピンカッター DIY外壁塗装 スピンカッター DIY外壁塗装 スピンカッター




■ 

 <続く>