DC-DC 電源 |
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・ | バッテリー動作機器の電源となると、DC-DC
コンバーターが必要なこともあります。 入力電圧 6V、±10V 2.5mA 出力の DC-DC 電源を考えてみました。 (正電源出力は省略して、負電源の負荷を2倍にしてあります。) 構成はフライバック方式です。 ほかの方式も考えたのですが、トランスのインダクタンスがやたらに大きく なったりするので、まずはフライバック方式を選びました。 Q1, R5, D2 からなる回路が出力電圧安定化用の 帰還回路です。 R5 1kΩ は NE555 に合わせてありますので、CMOS タイプの 555 を使う場合は大きくしてもいいでしょう。 74HC04 はインバーター1個で論理を反転させ、残ったゲートを 並列にして FET をドライブします。 74HC04 の電源はシリコンダイオードで 0.6V ドロップさせたつもりです。 (NE555.sub の R1 〜 R3 の値を修正した LMC555.sub とかいうファイルを作り、これを利用すればよいことに後日気 づきました。) シミュレーション結果は次の通りでした。 バッテリー電圧 6V および 5V の場合を示します。 RL Vo (6V) Vo (5V) ───────────── 2.4k -10.1 -9.87 2k -10.0 -9.72 1.5k -9.85 -9.50 負荷開放時にも異常電圧を出力するようなことはありません。 負荷の重いほうの限度は 1.5kΩ 弱です。 出力電圧の負荷変動はともかく、入力電圧への依存性がやや大きくなっています。 各部の波形を示します。(2kΩ負荷) けっこうおとなしくまとまっています。 実際には ±10V のほかに +5V 電源も使うつもりです。 低ドロップ電圧レギュレーターが使える範囲で あれば、LMC555 と 74HC04 の電源を安定化された +5V からとる方法もあります。 製作するとなると、電源投入時の突入電流が心配になります。 LMC555 の発振開始電源電圧が 高くて、それ以前の出力が High であると、MOS FET が ON のままになり、過大電流が流れるかもしれ ません。 コイル (トランス) は、コアを購入して手で巻くしかないでしょう。 この用途では一次・二次間の絶縁分離など に気を使う必要はないので、4本の巻線を一緒に巻いて、そのうちの2巻線を並列にして入力用に、残りを正負の 出力用に使います。 |
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この回路には出力電圧安定化のための帰還ループが
あります。 これの安定性はどうでしょうか。 開始から 1ms 経過した後、負荷を約一割増やしてまた元にもどすことを 500μs ごとにくり 返して、出力電圧 V(vf) と制御電圧 V(vc) の平均値の、変化のようすに注目します。 追加回路 .tran 0 2m 1m V(vf)、V(cv) の平均電圧の過渡応答は、振動的になったりはしていません。 これで電圧安定化 のための負帰還ループは安定であることがわかりました。 実際の用途では、出力リップル電圧を減らすために、もっと大きなコンデンサーを接続するで しょう。 この場合の過渡応答特性も調べておかねばなりませんね。 |
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負電源だけでよければ、コイル1個で済みます。 FET では
なく、バイポーラ TR を使いました。 -10V 2mA 出力です。 最大負荷は 4kΩと、ちょっと余裕が
ありません。 2.2mH を小さくしたい。 バイポーラ TR の場合はドライブ回路のパラメーターが増えるので、シミュレーションは とても役に立ちます。 部品定数を変えたときの動作の変化をあらかじめ把握しておけば、実際の 回路でのカットアンドトライも能率的に進められるでしょう。 |
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安定化された +5V 電源があって、方形波のクロック信号が容易に
得られるのなら、次の構成もいいでしょう。 手抜きかというと、そうでもありません。 ノイズも少
なく、負荷の大小にも問題なく対応できます。 但しトランスの一次二次巻線比が 1 : 2 のときの出力電圧
は ±8.4V ほどになります。 負荷レギュレーションはあまりよくありません。 ドライバーは 74HC04 あたり
を想定しています。 正負の負荷がバランスしているなら、部品を少し節約できます。 トランス一次側の直列インダクターはサイクルごとの突入電流制限用です。 現実のトランスには 漏洩インダクタンスがありますから、実際の部品定数はここに記したより小さなものが最適になるでしょう。 |
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