第六十回:一年の計と私


世紀末に、とあるジャズ・サークルの忘年セッション(?)に参加してきた。 うちの嫁が参加しているサークルなのだが、私は部外者。というわけで 地味に参加してきた。ほとんどの曲でドラム・ソロがあったのは ジャズという音楽の形態がそうだということであって、決して私が 目立ちたがり屋だとかでしゃばりだとか俺が俺が俺がはいはいはい皆さん こっち注目注目注目、なのではない。 ほんとだよ。そういうものなんだってば。

で、まあ、ジャズを演った後は毎回、嗚呼俺ってジャズが出来ないなあ。 演れるようになりたいなあ。よしっ練習するぞっ、と思うのだが、 なかなかどうも捗々しい進歩がない。演る機会がないとか時間がないとか 年を取ったとか黒人じゃないからとか色々言い訳もあるが、最後の一つ以外は 本人のやる気一つで解決できるはずだ。

今まさに新世紀の夜明け。目標を定め、決意新たに望むには これほど適した時期はあるまい。一年の計は元旦にあり。と書いている今が 既に元旦を随分過ぎている辺り、かなり情けないが、 めげずに「今年の標語」を掲げておきたいと思う。今年はこれだ。

じゃずをがんばる

くう。今時小学生だってこんな子供っぽい目標を立てないぞ。 大体抽象的すぎる。ある程度具体性のない目標は実現するのが難しいものだ。 ではこれでどうだっ。

ジャズを演った時
「あ、ロックの人だ」とバレないようになる

全然具体的になっていない上に、なんだか妙に後ろ向きだ。いいのかこれで。 まあいいか。あのトニー・ウィリアムスも語っている。

「ロックを演ろうと試みているジャズ・ドラマー、ジャズをやろうと努力する ロック・ドラマー…これではスタイルには程遠い。プレイしようと試みるのではなく、 ともかくそのスタイルでプレイするんだ。もっと没頭しなきゃ」

まあロックのイディオムをジャズというフィールドで活かす面白さもあるんじゃ ないかなあと思うのだけれど、あ、いやその、決して反対だとかそういうわけでは、 とととトニー先生には逆らえません。はい。

要は上手くなればいいのだ。上手く。かっこいい言葉を思いつかずに 開き直る私であった。

さて、目標を立てたら実行だ。やはりまずは聴かねばなるまい。 最近音楽との距離が離れている気がするし、ここは一発 CD 屋にでも行って 発奮してみよう。 ジャズなんてマイルスだけ聴いていればよい、と中山康樹氏も語っているし、 取り敢えずマイルスを探してみよう。有名だけれど LP でしか持っていない、 割とオーソドックスなジャズ…という定義がまた難しくて、こういうことを書くと 猛然と反撃するコアなマイルスファンの方も居そうな気がするが… を演っている時代のもの、 "Round About Midnight" や "Someday My Prince Will Come"、"In Berlin" あたりを買い直してみるか。

マイルス・デイビス。マイルス・デイビス。買い直す。買い直す。

マイルス。マイルス。買い直す。買い直す。

マイ…マイ…買い直す…

…そういや、マイケル・シェンカー・グループの四枚目、"Built To Destroy"、 そのうち買い直そうと思ってたんだよなあ。高校生の頃、よく聴いたなあ。 一曲目の Rock My Nights Away とかバンドでコピーしたよなあ。懐かしい…

…はっ。俺は何を考えているんだ。ジャズだ。ジャズをがんばるのであった。 そもそもなんでハードロックのコーナーにいるのだ。ジャズのコーナーは 向こうじゃないか。危ない危ない。をを。あったぞ。マイルス。 どりゃーまとめ買いぢゃあ。

さてどれから聴くかのぅ。なんとなく手に取ったこれから聴くか。 いやあ結構聴いたアルバムですなこれなんか。何気ないフレーズもよく覚えていたり する。懐かしいなあ。外連味のないギターは参考になる。コピーもしたなあ。 しかしドラム、今聴くとなんかテンポが揺れてないか? 昔は気にならなかったけどなあ。こちらの耳も進歩したということか。 えーとドラマーの名前はなになにテッド・マッケンナ…

…ってこれはマイケル・シェンカー・グループではないかっ。結局買ったんかい!

やる気出そうと思ってつい手が出ちゃうのがこういう音楽だというのは どういうことなのだ。とほほ。

いいや、初志貫徹だ。男に二言はないぞ。今年はジャズだ。ジャズの年だ。 本気です。これを書いている今もマイルス聴いてます。って BGM にしちゃってる ではないか。だいたい聴いてるのパンゲアだし。本気なのか。ええい自分で 突っ込んでる場合か。しっかりせんかい。

というわけで、一年の計をもう一度掲げておこう。

じゃずを (自分なりに) (まぁぼちぼちと) (多分) がんばる

やるぞっ。二十一世紀。


▲ 音楽と私 に戻る

▲ INDEX Page に戻る