第一回:EW&F と私


秋である。めっきり涼しくなってきた。秋になると人間はファンクが欲 しくなる。そういう風に出来ているのだ。人間というのは。

さて。

Earth Wind & Fire というバンドがある。

偉大なバンドだ。

70 年台から 80 年代初期にかけて一世を風靡する。今もバンドは存在 するが、リーダーのモーリス・ホワイトは還暦を迎え引退。残念ながら 全盛期の輝きはもはや、ない。

しかし、ファンクミュージックを志すもの、ぜひ耳を通して欲しい、い や通さなければいけないと言いきって良いかもしれない。

バンドは十数人の大所帯である。ホーンセクション、複数のギターやパ ーカッションが織り成す分厚いサウンドは豪華絢爛。そして複雑なシン コペーションを神業のごとき鮮やかさでこなし、うねるようなグルーヴ でライブ会場を興奮のるつぼへ叩き込む。ヴァーダイン・ホワイトの堅 実かつセクシーなベース、アル・マッケイのバンドを引っ張るようなカ ッティング・プレイ、フィリップ・ベイリーの伸びの在るハイトーン・ ボーカル・・・

Earth Wind & Fire。偉大なバンドだ。

今となっては、大阪名物食い倒れ人形のそばがぴったりマッチしてしま うように思えるコテコテの衣装もあの時代にはマッチしていた。いや、 今だってその輝きは失っていない。まぁギラギラのラメだったりするの でホントに輝いてるというハナシもある。

Earth Wind & Fire。偉大なバンドだ。

そのマジックのようなグルーヴを、カケラでもいい、会得するために、 我々は EW&F のコピーバンド結成を決意する。"September" や "Boogie Wonderland"、"Fantasy"、"In the stone" といった黄金の EW&F ヒッ ト曲集ライブを自分達の手で。それが我々の夢だ。

しかし、壁は厚い。

それぞれの楽器が相当のテクニックを要求され、さらに十数人がピタリ とリズムを合わせて一丸となってグルーブする難しさ。コピーしてみて 難しさが初めてじわりじわりと分かってくる、そんな部分も多々ある。 どこから彼らに近づけば良いのか。

Earth Wind & Fire。偉大なバンドだ。

そして我々が最初に行ったことは、人数分のアフロヘアのかつらの発注 であった。

Earth Wind & Fire。偉大なバンドだ・・・

いや偉大なんだけどさ、そこからアプローチしなくても・・・

(不評につき連載打ち切り)


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