リズム感の上達法について、自分なりの考えをまとめてみました。練習 パターン等は(一応)ギター等を想定していますが、とはいえやはりドラ マーとして普段自分が心掛けていること等が基盤になりますので、そち らに偏った表現もあるかと思います。申し訳ありません。
中には理想論じみたことも出て来ます。全てを私が実践しているわけで もありません。こういうのをやると役に立つような気がする、というも のも含まれています。
なにかのお役に立てばとても嬉しいです。一人よがりな思い込みも多々 あると思いますので、御意見、御叱責、文句等遠慮なくお寄せ下さい。
なお基本的に、お笑いはありません(笑)。
(1) >... >... >... >... --o- --o- --o- --o-
この (1) を基本としたい。クリックが鳴り出したら、まずは すぐこう感じるように。
いきなり合わせて弾けない!という場合は、まず 4 分音符の カウントを口で「わん・つー・すりー・ふぉー」等言ってみる、 あるいは馴染みのあるメロディを裏に感じながら歌ってみる、 など、まず頭の中で裏に感じる練習からはじめてみてはどうか。
(2) >... >... >... >... o--- o--- o--- o---
一般的に、クリックの一番基本的な使い方というとこれだと思 うが、なるべく (1) を使いたい。
(2) を使った効果的なトレーニングとして、メカニカル・アッ チェレランドがある。4 分 → 2 拍 3 連 → 8 分 → 3 連 → 16 分 → 6 連符と行くアレである。
ただし、これをやるときは、例えばスティックで何かを叩くと
か、パルシブな音が出るように行い、クリックと自分の打音が
完全に一致してクリックが消えることを目標とすること。
(3) >... >... >... >... ---o ---o ---o ---o
(4) >... >... >... >... -o-- -o-- -o-- -o--
(5) >... >... >... >... -o-o -o-o -o-o -o-o
難しいと感じる時は (1) でも書いたように楽器を持つ前に、 まず声でカウントしてみる、何か歌ってみる、あるいは両手交 互に 16 分音符で膝を叩いてみる、等でクリックのパターンに 慣れよう。特に (5) など、ちょっと気を抜くとすぐに 8 分の 頭打ちになってしまう(んかっか→かんかん)。
逆に、ああ、慣れて来た、となった時、確実にリズム感は上達 している。遅いテンポから始めて確実に。あまり速いテンポで は困難だと思う。
#個人的には (4) が難しいです。
(6) >... >... >... >... ---- o--- ---- o--- (7) >... >... >... >... ---- --o- ---- --o- (8) >... >... >... >... ---- ---- ---- --o-
テンポ感を鍛える非常に良いトレーニングである。(6) → (7)
→ (8) の順に難易度は高くなる。
(9) -3- -3- -3- -3- >.. >.. >.. >.. --o --o --o --o
ブルースやジャズには欠かせない感覚である。重要!
(10) -3- -3- -3- -3- >.. >.. >.. >.. o-o -o- o-o -o-
クリックを 2 拍 3 連に捉えるという もの。クリックを 4 分に感じて自分で 2 拍 3 連を打ち出す というのは比較的ポピュラーだと思うが、これはその逆。
(11) >... >... >... >... | >... >... >... >... | >... >... >... >... --o- -o-- o--o --o- | -o-- o--o --o- -o-- | o--o --o- -o-- o--o
一拍半で感じる(いーだ方式と名付ける)。とんでもないトコロ
で一拍半フレーズを仕掛けて来るような人でなしなドラマーと
セッションすることになってももう慌てる必要はない。
(12) >... >... >... >... A-B- A-B- A-B- A-B-
ちょっと上等なリズムマシンをお持ちなら、これも試してみよ う。
A では、カウベル、リム・クリックのような硬い音、B ではシェ イカーのような柔らかい音を鳴らすようなクリックを作ってみ る。これは「異常にリズム感の良いパーカッショニストとの合 奏」のようでなかなか楽しい。合わせるのは比較的楽(8 個も 音が鳴って、なおかつウラ拍のパルスがぼけるから)。このパ ターン合わせて良いグルーブを出してみよう。
ちなみに個人的なお薦めは (3), (7), (9) です。普段はこれらと (1) を使うことが大半です(あ、ちょっと (2) も使うか)。よほど 16 のタ テの線が気になる時等に (5) を使います。
また、トレーニングではなく、レコーディング等ステディなテンポキー プが必要な際にはよく (12) を使います。これは合わせやすいはずです。
上記クリック・パターンに合わせて何を弾くか。これはもう各自の自由 であります。リズムトレーニングとしては以下のようなものが効果的か もしれません。
まずクリック・パターン (1) から(どうしても難しいという人は (2)) 合わせてみましょう。
拍の頭でしかクリックを聞いたことがない、という人には譜例通りのポ イントにクリックを感じることがまず難しいと思う。楽器を手にする前 に手拍子等で 4 分音符の頭を出して譜例通りに確実に頭の中でクリッ クを把握することができるようにしよう。
例えばこんな手法を試してみよう。クリックパターン (4) を例にとる と、
(4) >... >... >... >... -o-- -o-- -o-- -o--まず、頭に感じて 16 分を両手(あるいは例えばダウン・アップのブラッ シング等、なんでもよい)で叩いてみる。
>... >... >... >... o--- o--- o--- o--- rlrL rlrL rlrL rlrL
ここで、4 つめの“L"(上図で大文字“L"で示した所)を無理矢理 1 番目に感じるよう努力する。これが難しいのだが・・・
頭で (4) の様に聞こえ始めたら一旦手を止める。その後しばらくクリッ クをその位置で聞きつづけ、慣れる。慣れて来たら改めて
>... >... >... >... -o-- -o-- -o-- -o-- rlrl rlrl rlrl rlrlに挑戦する。
(ロ)は若干机上の理論っぽいが、アップとダウンでほんの少しタイミン グがズレている(若干シャッフル気味とか)ことは良くあることで、それ に気付くことが出来るという意味では試してみる価値はあると思う。
カッティングをしながら、身体を自然にゆすったりステップを踏んだり してみよう。この際、ボディ・モーションは 4 分等、大きく取るのが 普通である。あたりまえである。16 で取ったらヒキツケである。
例えば遅めのテンポ設定で、左足は 8 分で刻み、身体は 4 分でゆする (とはいえ、フォームが崩れるほどゆすってはいけない!)等試してみる とよいだろう。細かいサブディビジョンと四分を両方感じることで大き なノリと縦の線のタイトさを兼ね備えたビートを目指す。
また、より身体の各パーツの分離を良くしてコントロールのきいた神経 を身に付ける方法として、手、足、身体 + 口を使うというのがある。 楽器を弾きながら「ワン・ツー・スリー・フォー」とカウントするので ある(もちろん英語である必要はない)。これは例えば 16 分音符カッティ ングからいきなり 3 連符のカッティングへとリズムチェンジする際に ステディなテンポをキープする良いトレーニングとなるかもしれない。
カッティングのパターンであるが、左手のカットによる ON/OFF および タイの使い方で無限に作り出せよう。例としてドラムのパラディドルを 参考にパターンを考えてみる。
まず、ノーマル・パラディドルというのは
>... >... >... >... RLRR LRLL RLRR LRLLである。これを
シングル・パラディドルは
特にシンコペーション、アンティシペーションに気を付けてトレーニン
グしよう。
例えば、16 分と 8 分を行ったり来たりする。このチェンジの際走った
りもたったりといった狂いが生じやすい。正確に四分を感じよう。
スケールトレーニングというと、16 分音符の羅列が多いと思う。ぜひ パターン集の B) や C) を利用して欲しい。ダウン・アップのオルタ ネイトの場合、つい甘くなりがちなアップを意識することが出来る。
また右手(ピッキング)を使わずに、左手(フィンガリング)だけをクリッ
クに合わせてスケールを弾いてみると意外にリズムが甘いことがある。
(これは最近私が気付いて試している手法。効果があるかどうかは全く
保証の限りではない)
自分がコピーした曲をクリックに合わせて弾くのも良いだろう。この場 合は C) のパターンを是非使って頂きたい。慣れ親しんだ曲を、慣れ 親しんでいないテンポで演奏する(例えば 四分 = 120 の曲を 100 ぐら いで、等)のはなかなか難しいはず。これも良い練習であろう。