Good Times Bad Times

2001/01 version

2001/01/31  悲しき合掌村

無計画な旅行、最終日。チェックアウトから電車の時間まで、五時間。 下呂近辺に何かないかと探しますと、あったあったありました。その名も 「下呂温泉合掌村」。合掌造の民家を配し、往時の生活を知ることができるんだ そうです。

でね、合掌造の家屋や、昔の生活器具などの展示。これは、まあ、いいんです。 いや、興奮するほど面白いって類のものじゃありませんが、納得はできる。 問題は同敷地内に存在する「ふるさとの杜」であります。

緑色の小さなパビリオン(?)がぽつぽつと点在し、それぞれに「かえる神社」「龍神館」 「ドリーム館」「森の未来館」などという名前がついてて、もう名前だけで ひざから崩れ落ちるのを必死に耐えなきゃいけない脱力感に包まれてしまいますが、 例えば「かえる館」は若ガエルだの無事カエルだの、ギャグというか駄洒落に 引っ掛けたカエルの置物が展示してあるだけ。「龍神館」はでっかいだけで 何のヒネリもない寂しさの漂う龍が、目の玉に埋め込まれたストロボを ちかちかさせているその横で、毎年夏に行われる「龍神祭」の様子を映した ビデオが流れるだけ。「ドリーム館」はプラネタリウム。 なぜここにプラネタリウムが。しかも休館日。 そして園内を走る、錆び付いたサイクル・モノレールのレール。もちろん 乗る人は誰もいない。

水曜日。寒い冬。思い切りオフシーズンなことは認めます。 しかしこの筆舌尽くしがたい寂れ具合にはもっと根本的な理由があるんじゃないか。

この「ふるさとの杜」も、出来た当初はなんらかの期待みたいなものを 背負っていたんだろう。ほとんど人のいない中、エスカレーター等いくつかの施設の 「故障中」の張り紙。

当時の人々の、その頃熱かったであろう思いの、残骸。

2001/01/30  美味い肉を食う方法

下呂から電車で一時間ほど。ここは飛騨高山であります。 飛騨といえば、飛騨牛。てなわけで昼飯時、我々がいるのは 「キッチン飛騨」であります。ステーキ屋であります。

値は多少張りますが、補って余りある美味さ。 ソース等で味をつけなくても、たまねぎと肉自身のほんのりとした甘味が…

カウンター席に座り美味い美味いと貪り食いながら
「やっぱこーゆーのたまには食べさせてくれないと」
「ばーろー、食わせてやってこの味出してくれるなら食わせてやるわい」
なんてことを話していたら、カウンターの向こうにいたコックさんが
「これね、料理そのものは難しくないのよ」
と話し掛けてきた。

「例えばフランス料理とか、開店前にいろいろと仕込みがあるけれど、 ステーキって刺身みたいなもので、素材が良ければ誰が料理したってそれなりに 美味くなるもんだ。 フランス料理のコックが仕込みだのなんだのに使う時間を我々が何に使うかってーと、 良い肉を探すことと、その肉の食べ時、熟成状態を見極めること」

良い肉ってどーすりゃ手に入るのさ?高いの買えばいいの?

「まず、スーパーで買わない。あれだけ大量の肉をオートメーション的に扱えば 管理なんてできっこない。親父が一人でやってるような小さい店をまず見つける」

はー。確かに家の近所に小さな鶏肉屋があるんだけど、そこ、けっこー美味いっす。

「でしょ」

小さい店で、高い肉を買えばとりあえず良い肉?でもその「食べごろ」は わからないでしょ?

「でね、親父と仲良くなるんだ。ステーキなんてきっと年に数回でしょ? だけど、例えば卵とかカレー粉とか、肉屋で扱ってる品物を時々買って 顔を覚えてもらう。で、ここぞというときに『今日は美味いステーキでも 食ってみたいんだけど』といくわけ。きっとそれなりのものを選んでくれるよ」

な、なるほど。餅は餅屋っすね。

「ちなみにそうやって懇意になった店で、ここ一番の肉を出してくれ、って 頼み込んでみるとね、十軒が十軒そうだと思うけど、ショーケースじゃなくて 店の奥から出して来るんだよね。文字通り『取って置き』ってわけ」

本当に話好きのコックさん(キッチン飛騨のご主人の息子さんとのこと)で、 その後ワインブームの話や料理学校の話、嫁が料理上手になる心得などなど 話が飛びまくり。カウンター席でよかったなあ。

いや、高山の古い町並みとかね、観光的な楽しみもあったんですが、 このキッチン飛騨や、その他造り酒屋や味噌屋など、お店でのちょっとした会話に 旅行の楽しみを見出す私であります。

2001/01/29  下呂温泉

会社が「十年働いてくれてごくろーさん休暇」をくれた。 期間は五日。前後の土日を合わせると九連休ということになる。 休みの予定をいろいろ考えるのは、普通は楽しいものなんだろうけれど、 どーも精神的に煮詰まっている今は、あまり考えずに行き当たりばったり 過ごしてみたい。その結果何もせずぐーたらだったら、まあそれもよし、と。

で、たった一つだけ立てた計画がこの下呂温泉二泊三日の旅。 というか計画は全部嫁が立てたんだけどそれはさておき、2.5 人で出発。 観光に欲張ったりせず、まあ、のんびりと。 昨日買った本を、電車や宿でゆっくり読むとしよう。

と思ってたのに夕飯の前に読み終わっちゃったよ。 「ゆっくりする」のもそれなりの心構えが必要なのか? 人それぞれのテンポみたいなものがあるんだろうなあ。

2001/01/28  ふと思い立って

前日は大雪。なので朝一番の仕事は家の周りの雪かき。

一仕事の後、ふと思い立って街へ。古本屋や本屋をゆっくり回り、本を一冊買う。 気付くと昼時。ふと思い立って Cadet (というお気に入りの喫茶店) に行き、 ホットサンドと美味しいコーヒー。ハードカバーの本を買うのも、 一人喫茶店で本など読みつつ昼飯を楽しむのも本当に久しぶり。 飯の後、ふと思い立ってちょっと遠回りして公園の中を歩いてみる。 いくつもの作品、かまくらや雪だるまを楽しみながら。

ふと思い立って動く、ということはかなり幸せ。

2001/01/25  豚まん

町田にある、とある豚まん屋さんの前を通りかかると、いつもその店の テーマソングが流れている。これが、ソフマップも裸足で逃げるほどの 脱力系。

そっそっそーみらーふぁー ふぁっふぁっふぁーれそーみー
そっそっそーみらーふぁー そーふぁ#−ふぁーれーどー

というやつ。で、このメロディ、嫁が大嫌いなのだ。

昼休み、いつものように散歩していたら、なんとこの店実はチェーン店で、 小杉の駅前にもあるではないですか。メロディをちゃんと覚えて 家に帰って目の前で口笛で吹いて嫌がらせをしてやろうと 思って聴いてた(から上述のようにメロディが書ける)ら、オレまで 嫌になってきてしまった。おそるべし豚まん。

人の嫌がることを進んでやる、というのは難しいものです。

2001/01/24  Who's Next

電車に揺られながら、Who's Next。んー、まだ一回聴いただけ、それも 最後まで聴いてない、という状態なので突っ込んだコメントは出来ませんが、 なかなか面白いんじゃないかなー。曲凝ってるし。

とはいえキース・ムーンのドラムが好きかと言えば相変わらず No ではあるのだが。 やっぱりもっとソリッドなビート感が好きなのかな。そう考えるとどーも ツェッペリンつーのはすごいバンドなのかもしれんなあ。

しかしこの手の「ロックの名盤」的なアルバム、結構聴いてないよなあ。俺。 今聴いても、自分の方向性を変えるようなインパクトを得られる可能性は かなり低いんだろうな。もっと若い頃に聴いていればもちろん違ったんだろうけど、 若い頃にあーゆーのを聴いてたから今のワタシはこーなった、ということで。

帰宅してからさらに Who のビデオ "Thirty Years of Maximum R&B" を 眺めてみたりする。うーむ。うーむ。うーむ。嫁曰く「デリカシーの なさそーなトコロが苦手なんじゃないの?」なるほど。

2001/01/23  Live at the BBC

先週末、若に借りた CD を聴いてみる。モノは Dire Straits の "Live at the BBC" と The Who の "Who's Next"。

まず Dire Straits。ほとんどファーストアルバムの曲ですな。ということは その時代のライブなのでしょう。Mark Knopfler の音は相変わらず素晴らしい。 けどまあ、ちゃんと全部聴かなくてもいいかって感じ。基本的に曲似てるし。

いや、これを除くアルバム全部持ってるし、Dire Straits が嫌いというわけでは 決してないんだけど。自分の身体が今これを欲してないというか。 いくらワタシでも毎日ジェフ・ベックばかり聴いてすごせるワケではないのだ。 許してマーク。

もう一方の Who は冒頭数分を聴いてちょっと面白そうだったので MD にダビング。 明日にでも改めて聴いてみようっと。

2001/01/21  芝居稽古見学

とある演劇に参加することになった。とはいえ、まだ自分がどういう形で 参加するのか皆目見当がつかぬ。あるのは「鼓笛隊」というキーワードだけ。

この日、初めて劇団の稽古を見学した。足をひねるように後ろに歩いたり、 二人でペアを組んでボールを投げあったり、大きな四角を描くように 何周も歩いたり、そういう身体の鍛錬。そして演出家から様々な指示が飛ぶ。 これが本当に面白い。

「例えば本屋に行って筋肉の構造について調べる。それも役者としての仕事だ。 知らないより知っておいた方がいい」
「台本を覚え立ち位置をこなす、それは出来て当たり前だ。その先、自分として 何を表現していくのか」
「舞台に出た瞬間空気を変えろ。温度を変えろ」
「お前一人が空気を止められないから全体が台無しなんだ。うざってえ。消えろ」
「一瞬のダレ、雰囲気の乱れに客は必ず気付く。そして冷徹に『つまらない』と 判断を下す」

そのまま音楽に当てはまりそうじゃありませんか。

2001/01/20  SLAM ライブ@クロコダイル

タイバンのドラマーが上手かった。「そこらへんのアマチュアドラマーにゃ 負けねえぜ」と思ってたりはするんだけど、そこらへんじゃないアマチュアドラマーが 結構多くて参ってしまう。聞けばブレイク前のアイドルのバックを勤めたり、 セミプロ的な活動をしているらしい。

ドラムセットもその彼のものを使わせてもらった。ちょっと珍しい、ラディックの セット。20"のバスドラは、ハイピッチだったこともあると思うけれど、 なかなか難しい。「だぎっ!」っていう、キツい感じの音になっちゃうんだよな。 当然踏み方もあるんだろう。リハで叩いたら、なんだかタムとスネアがだんだん 離れていく。なぜだ?スネアが寄ってきちゃうのか? スネアスタンドがボロいと たまにある現象なのだが…ってバスドラごとどんどん前へ出ちゃってるじゃんかよ! 私以外の二人のドラマーは特に気にならなかったらしい…

前日に思い立って張り替えたスネアヘッド、CS コーテッドはなかなか私の YAMAHA に合うと思う。気持ち良く叩けた。

ま、そんなとこかな。ってバンドの感想はないんかい。

2001/01/18  サラリーマンらしい飲み会

向いてないかもなあ。オレ。

2001/01/17  ウソ

ウソっていうのは嘘じゃなくて、鷽の方。鳥ね。 どんな鳥かっていうと、スズメよりちょっと大きいぐらいで 頭と翼の先が黒、身体は品の良いグレー、それからオスは喉の辺りが 鮮やかな紅色をしていて、くちばしがちまっとしていて…という 外見です。

鳴声がまた良くて「ヒッ フッ」という、そっと口笛を吹いたような声。 「ウソ」というのは口笛の古語にちなんでつけられた名前らしい。

山へ鳥見に行って、この鳥と出会えるとなんだかとても得をした気になる、 そういうヤツなのです。

昼休み、いつものように散歩をしていて、 とあるペットショップの前を通りかかると、なんと此奴が籠の中にぽつりと おるのです。日本で野鳥を捕獲したりそれを販売することは禁じられているワケで、 これは輸入かはたまた違法か。例えばメジロはその辺によく居て、姿も可愛いことが 災いして、よく違法で扱われているらしいのだけれど。

そんなことを考えながらしばし籠の前でウソと対峙している。 他のインコやらナニヤラがあわただしく動く中、此奴だけは止り木にじっとしたまま じーっとこちらを見ている。そして「ヒッ フッ」というあの声で鳴き出した。

なんだかその、可哀相だったなあ。ローレンツというヒトの「ソロモンの指輪」 という本があって、その中では「例えば鳥は自分が籠に囚われていることを 理解しないので別に可哀相じゃない」みたいな記述(記憶に頼って書いているので 違っているかも。少なくともこんな突き放した表現ではなかった)があるんだけれど… 目がなあ。あたしゃその目に弱い。切なく見つめないでちょーだい。

鳥は、やっぱり野生のヤツをそーっと観るのが良いんじゃないかなあ。

2001/01/14  バッテリー

クルマのエンジンをかけるとき、バッテリーの元気が良い時は

きゅるるっ ぼーん

って感じですな。ちょっと弱ってくると、

きゅるるるるるるるぼーん

ぐらいになってくる。ウチのクルマは、まあその「ちょっと弱った」ぐらい だったわけ。

ついこの間車検に出して、その時にも「バッテリー弱ってます。 今すぐダメというワケじゃないけど、交換の時期ではありますねえ」と言われ、 弱気な私は「今交換をお願いすると幾らですか?」「6000 円」「…」いきなり 強気になってばーろーオートバックスかどっかで自分で換えるわい、と タンカを切って帰ってきたワケですね。 とはいえ寒い時期はバッテリー出力がさらに落ちるし、三年使ってるみたいだし、 あまり乗ってないし、とクルマには過酷な条件。早めに換えんといかんなと。

で、この日。イグニッション・キーを回したら

きゅおおわんきゅおおおわんきゅおおわんきゅおおわん ぼ ぼ ぼーん

ってなんぢゃその音わ〜!次にエンジンを止めたら二度とかからんかもしれん、 交差点でエンストでもしようものなら大渋滞を起こしてしまう、踏み切りだったら 大事故になって新聞に出てしまうかもしれぬ、大変ぢゃ大変ぢゃ一大事ぢゃ、 というわけでオートバックスへ。

2980 円のヤツを買って胸をなで下ろしている私であります。 意外と安価に入手できる安心もある、と。ちなみに + 500 円の工賃で 交換もやってもらっちゃいました。自分で換えるんじゃなかったのかよ。俺。


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