黒川 宮座における用語辞典

神殿 しんでん しん‐でん【神殿】・・・広辞苑第五版より
1.神を祀る殿舎。
2.宮中三殿の一。賢所かしこどころの東にあって、旧八神殿の祭神並びに天神地祇を鎮祭する殿舎。
渡殿 わたどの わた‐どの【渡殿】・・・広辞苑第五版より
寝殿造の二つの建物をつなぐ廊下。ほそどの。わたりどの。渡り廊下。
拝殿 はいでん はい‐でん【拝殿】・・・広辞苑第五版より
礼拝をおこなうために本殿の前に設けた神社の前殿。
御当 みとう 御当子(みとご)=神当子ともいう。
両親持ちの数え年7歳から10歳程度までの男子。いうまでもなく尸童(よりまし)であり宮座では中心的な存在となる。相当と共にいずれも座元引き受け地区から選ばれる

より‐まし【憑坐】・・・広辞苑第五版より
神霊が取り付く人間。特に、祈祷師が神霊を招き寄せて乗り移らせたり託宣を告げさせたりするために伴う霊媒としての女性や童子。ものつき。よりびと。尸童。
相当 あいとう 両親持ちの数え年16歳から二十歳ぐらいまでの青年。御当の介添え役となる。
神課 じんが 各地区から選ばれ、御当・相当と共に宮座に列席するするもの。もとは10〜11名であったが現在の地区数から8名である。
見届神課 みとどけじんが 翌年の座元を引き受ける地区の神課のこと。隣り神課ともいう。
当年の準備に出席し、宮座の準備に進行などをにとどけ予備的な知識を得る。
給仕 きゅうじ 拝殿下座左右に各1名います。扇を配ったり杯に御神酒をついだりといったことをします。
取り御供米 とりみくま 丁半組みともいわれ、神官に取り分けれられた米粒が偶数になるまで繰り返しやり直す。
御当渡し みとうわたし 当年と新年の御当が役目を交代する儀式。三三九度の杯が交わされる。
来当送り らいとうおくり 現在は行われていない。祭元・当年の神課・御当・相当・贈り物運搬人によって行われ、翌年の座元へ様々なものが目録と共に送られる。
御当入り みとういり 現在は行われていない。翌年の座元宅では、門締めを張り竈払いの供物に準備をしておく。当年の祭元・神課・御当・相当が来ると受け方御当・相当がマイムシロに座し竈払いが行われる。
御供屋 みくや 境内神殿の左にあり、神饌を置く棚が備え付けてある。神課はここで神饌の盛りつけなどをする。
天狗どり てんぐどり 御供屋から神殿側面入り口まで、互い違いに向かいい合って並び(これを伝供道(でんくみち)につくという)、榊に葉を口にくわえ神饌を手渡しで運んでゆく。この伝供が訛って天狗どりとなった。
御供下げ おそなえさげ 撤饌(てっせん)。献饌と逆順で神課が神殿からお供えを御供屋(みくや)迄はこぶ。
直会 なおらい なおらい【直会】・・・広辞苑第五版より
(ナオリアイの約。斎いみが直って平常にかえる意) 神事が終って後、神酒・神饌をおろしていただく酒宴。また、そのおろした神酒・神饌。
御ホシ おほし 今年取れたお米。一升四合用意される。
御ホシ包み おほしつつみ 御ホシを土器一杯に取り、中折紙三枚で包み藁スボで十文字に結ぶ。これをカナカケ二つにはさみ入れ隙間無く白紙を詰め込む。カナカケがずれないように小縄で十文字に結び藁苞に入れる。この藁苞を作るのは両親持ちの青年とされている。50センチを隙間がないよう小縄で両端から巻き中心部で結ぶ。両サイドの小縄が巻かれていない部分は、それぞれ20センチになるようにしておく。更に藁で巻、上部は水が漏れ込まないように編み上げておく。
御ホシ上げ おほしあげ 出来上がった御ホシ包みをご神木の上部、地上から約7〜8メートルのところに括り付ける。
マイムシロ 御当が座す筵(ムシロ)
幟倒し のぼりたおし 神社の幟を降ろし、鳥居の御幣・足幣等も取り除かれ焼却する。いわゆる注連あげ。
椎のヘギ板 しいのへぎいた 直径20〜25センチほどの椎の木の丸太を切り出し、一尺の長さに切りその丸太を五分ほどの暑さに鉈(なた)で割る。お供え物を載せるものなどとしてつかう。
餅つき杵 もちつききね 直径一寸五分・長さ四尺の樫の棒で、すべての皮を剥く。八本作り六本は餅つき用に使用する。後に本社と岩屋権現の鳥居に八本とも括り付ける。
カケノコウリ 小縄で2個の竹筒を繋いだもの。御神酒を入れ、鳥居柱や杉木に竹・御幣などと共に供え飾る。
カナカケ 御ホシを入れる升のようなもの。これも毎年新たに作る。2個一対。
栗箸 くりばし 栗の枝で造った箸。直径八ミリ程度・長さ一尺三寸。皮が付いたままだが、両端だけ細く削る。御神饌に付けて供える。御当が食べるとき相当がこの橋で口に入れてあげる。
藁苞 わらつと ワラで作り粢(しとぎ)を入れてお供え物とする。
別に宮座のあと神課がお供え物を入れ手みやげに持ち帰るためのものもいう、こちらは大きい。
紙垂 かみしで かみ‐しで【紙垂・紙四手】・・・広辞苑第五版より
紙で作ったしで。
しで【垂・四手】・・・広辞苑第五版より
神前に供する玉串・注連縄などに垂れ下げるもの。昔は木綿ゆうを用い、後には紙を用いる。紙垂しで。
玉串 たまぐし たま‐ぐし【玉串】・・・広辞苑第五版より
1.榊さかきの枝に木綿ゆうまたは紙をつけて神前に捧げるのに用いるもの。
2.榊の異称。新古今和歌集神祇「神風や―の葉を取りかざし」
奉奠 ほうてん ほう‐てん【奉奠】・・・広辞苑第五版より
つつしんで供えること。  用例=玉串奉奠(たまぐしほうてん)
神饌 しんせん しん‐せん【神饌】・・・広辞苑第五版より
神に供える飲食物。稲・米・酒・鳥獣・魚介・蔬菜そさい・塩・水など。供物くもつ。みけ。
献饌 けんせん 神饌を神殿に供える。反対語(献饌←→撤饌)
撤饌 てっせん 神饌を宣伝から下げる。反対語(献饌←→撤饌)
沓形餅 くつがたもち 長径三寸・短径二寸・厚さ一センチ弱のいわゆる小判型の餅。三つを藁で十文字に括り御神饌とする。
しとぎ 一晩水につけた粳米(うるちまい=普通のお米)を潰したもの。藁苞(わらつと)に入れて柱飾りの一部として供えたり、椎ヘギ板の上に盛りお供えする。
しとぎ【粢】・・・広辞苑第五版より
神前に供える餅の名。古くは米粉を清水でこねて長卵形としたものを称したが、後世は、糯米もちごめを蒸し、少しついて餅とし、楕円形にして供えた。しとぎ餅。