公的年金の課題

2009年度の公的年金の支給総額が、初めて50兆円を超えたことが厚労省の調査でわかった。2011年01月25日

 会社員とその家族が加入する厚生年金や自営業者らが加入する国民年金、遺族年金など全ての年金の支給総額は08年度比で約1兆4000億円(2.8%)増え、50兆3000億円だった。内訳は基礎年金18兆円、厚生年金25兆5千億円、共済年金6兆6千億円だった。景気の悪化で名目GDP(国内総生産)が下がる中、初めてGDPの1割を超えたことになる。ちなみにOECD平均は7.2%。

 また、年金を受給する人は08年度比で3.1%増えて3703万人となり、年金を支払う側の加入者は0.9%減って6874万人だった。現役1.86人で1人の受給者を支える形。

 今後、団塊の世代が年金を受けとる65歳になり、支給に必要な額が増える一方で、少子化や経済状況の悪化で保険料の支払総額は減るとみられ、制度維持が難しい状況が予測されている。

 1月中旬、与謝野経財相が年金支給開始年齢の引き上げに言及したが、細川厚労相は25日朝の会見で「中長期的なことについては別途協議する」と述べ、政府が11年6月までに結論を出すとしている社会保障と税の一体改革の中では議論しないという見方を示した。

年金を受給者3703万人の一人あたり年間受給額は135万円になる。
受給階級別の受給額は下図のとおりとなっており、250万の20%、300万の30%、400万の40%、500万クラスの50%を打ち切り削減額とすれば、8兆円からの財源確保ができることとなる。公務員の給与削減と一体化して、行財政改革の一環として取り組む必要があると思う。特に公務員の共済年金については、民間との給付格差が同じ掛け金で20%以上の給付格差となっており、この格差の是正も同時に行わなければ、不公平不公正であることは論を待たない。

出所データ:http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001016011&cycode=0
出所データ:http://www.nhk.or.jp/news/html/20110125/t10013611551000.html
公的年金制度は基本的に、自営業者・サラリーマン・公務員を問わず全員が入る「国民年金(基礎年金)」部分が土台(一階部分)にあり、それに加えてサラリーマンは「厚生年金(保険)」、公務員は「共済年金」が二階部分として積み上げられる仕組み(年金制度を「二階建て」と呼んでいるのはこのため)。さらに自営業者は「付加年金」や「国民年金基金」、サラリーマンは「厚生年金基金」などを積み増すことができる(民間の個人年金は、さらにその上の階層に積み増すイメージ)。今回発表されたのは、この「一階部分」と「二階部分」について。受給者が「実受給権者数」と「のべ」に分かれているのは、サラリーマンや公務員が「基礎年金」と「厚生年金」で別々にカウントされているため(のべ)などによるもの。年金を受け取る「人の数」という意味では「実受給権者数」を見るのが正しい(「のべ」の部分は保険の口数のようなものだと思えば良い)。日本は高齢化が進んでいるため、今後さらに加入者の減少・受給者の増加傾向が継続する可能性は高い。「正しい情報の公知」をはじめ、さまざな手立てを模索する必要が求められよう。