新年度を迎えるにあたって
全国市町村土壌浄化法連絡協議会
事務局長  稲垣 茂
 
 大きな夢と希望を抱く新年度の4月がスタートしました。
多くの企業や自治体で、入社式、辞令交付式を皮切りに、小中学校及び高等学校の入学式が一斉に実施され、日本列島が“気力・活力・ガンバロー”一色に染まる季節がやってきました。
 例年ですと、私の住む福島県では桜の開花宣言を待ち望みながら、それぞれの地域で恒例のイベントが企画され、県民総ぐるみの交流が行われており、花や緑を楽しむ「うつくしま・ふくしま」となり、一年中で最高の季節となるのですが、今春の現実はあまりにも無残です。あのいまいましい3.11 東日本大震災の発生から一年が経過したいまでも、人類が経験したことのない原発事故による複合災害によって、一瞬にして県民の日常を消し去ってしまいました。
 私の人生もよわい70となり、文字どおりのラストランナーとなったいま、手がけている環境保全対策の中でも特に重要な汚水処理事業、下水道の果たす役割について再確認することは当然でありますが、地方分権、地域主権改革の動きが加速度を増している現実を直視し、今日まで(苦節25年)ニイミシステム・土壌浄化法という下水処理システムに惚れ込み、公共下水道・農業集落排水事業をはじめとする各種の補助事業の採択に努力し、今では小規模分散型汚水処理施設として、中国をはじめ諸外国から高い関心が寄せられるところまで、たどり着くことが出来たのであります。
 土壌浄化法は民間が開発した技術の故か、既得権益を守ろうとする勢力や中央官僚の抵抗に遭ってきました。それでも挫折や失敗の危険性をはらみながら、少ない同志先輩と力を合わせながら最大の努力をしてきたのであります。
 時あたかも、地方分権の議論の盛り上がりによって、国・県及び市町村間でラップする行政のムダを解消しながら、より効率的で住民主体の行政を目指すべく地方主権一括法の改正がこの4月から施行される事になったのであります。
 従来から、複雑難解であった下水道法が改正され、例えば「事業認可」の手続きが「許可」から「届出」へと変更されるなど、遅々として進まなかった地域主権のための改革が大きく踏み出す事になったのであります。いままでの国頼み、官頼みの意識をかなぐり捨てて、たとえ多少の痛みを伴う事があろうとも、更に新しいシステムを作り上げる事こそが、いまこそ我々に求められている事だと考え、決意を新たにするものです。