第13回 全国大会 |
〔平成24年5月29日:東京都〕 |
全国市町村土壌浄化法連絡協議会の今年度の全国大会(第13回)が、5月29日、東京・千代田区永田町の全国町村会館で開催されました。今大会の統一テーマは「第1次一括法施行による下水道事業の推進」。東日本大震災から1年余、いまだに“復興への道遠し”の感がありますが、とりわけ原子力発電所の破壊による放射能汚染は、解決の目処も立たないまま、人々の生活に深刻な影響を及ぼしています。そんな中で人々の日常生活を守る下水道は、ますますその役割を大きくしています。折から「地方主権」の旗印の下、今年4月から「一括法」が施行され、その一環として下水道法の一部改正が行われ、下水道事業における地方自治体の権限が大きく広がりました。というより、下水道は地方の自主性に任される時代が来たのです。
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放射能計測器を手に、
放射能災害について語る西嶋教授 |
西嶋教授は――
東日本大震災の原発事故の影響はその周辺地域にとどまらず、放射性物質の拡散は、東京や東北地方全般にも及んでいる。中でも下水処理施設における汚泥からの放射性セシウムの検出は、汚泥の焼却処分のみならず、既に焼却した汚泥の処分も困難にしている。このような現状をどのように打開するか、あるいは更に大きな視点から放射能汚染に対して下水道の役割はどのようであるべきかを改めて考えてみたい……という趣旨から約1時間たっぷりと講演されました。
まずは「放射能とは何か」を分りやすく解説するところから始まりました。原発事故以来、「ベクレル」とか「シーベルト」とかそれまでは聞いた事も無いような専門用語がマスコミなどで氾濫しましたが、そもそもそうした単位はどういう意味なのか、ということから、今回の事故で特に問題にされている「セシウム」という物質はどういうものかを話され、会場に測定器を持ち込まれて、いくつかのもののセシウムを実際に計測して見せる、といった「実演」まで披露されました。
また、今日最も必要なのは放射能を取り除く「除染フィルター」の開発であるが、これは大至急世界に先駆けて作り上げる事だ。これはまさに「災いを転じて…」ということで日本独自の技術として世界に発信、販売できる事業にもなるはずだ、と結論付けられたところでは拍手さえ起こりました。
続いて講演されたのは、国土交通省・下水道部町村下水道対策官の松原誠氏。松原氏はこの大会で話されるのは3回目のことですが、今年は「一括法」の施行で、情勢が大きく変わったところでもあり、今後の国の下水道行政にどのような影響、変化がもたらされるのか、その発言は大いに注目されるところでした。 松原氏は、町村下水道の現状から話を始められ、町村下水道の整備促進が必要である事を強調されました。一括法で下水道法が改正され、地域主権改革と言われるように、地方自治体の自主性が尊重されるようになり、国や府県はそれを支援する立場になる、と実例を挙げながら、さまざまな例を説明されました。そして「町村下水道のポイント」として
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会場からの質問(木村開発者)に答える松原対策官 |
・速やかな着手と効率的な整備
・身の丈にあったスペック
・関連事業との密接な連携
・住民の合意と協力(接続促進、使用料)
・維持管理の工夫(広域化、民間活用)
・循環型社会への貢献(汚泥有効活用、省エネルギー)
・地域主権→自由度高いが責任も
と、まとめられました。
第二部は「地域主権を生かすためのパネルディスカッション」で、稲垣茂事務局長をコーディネーターとして、当協議会の竹内?俊会長(会津坂下町長)、河津修司副会長(熊本・南小国町長)、平安正盛理事(鹿児島・知名町長)、岩渕憲二福島・金山町地域振興課長、木村弘子土壌浄化システム開発者らがパネラーとして並びました。
当初、出席を予定されていた福島県楢葉町の草野孝前町長が、健康上の理由で急遽欠席されましたが、その代わりというか、いわばハプニングのような形で千葉県浦安市の松崎秀樹市長が駆けつけてくださり、パネラーに加わられました。松崎市長は「浦安は未曾有の液状化の被害を被り、とりわけ下水道施設が麻痺した事で住民は苦難を強いられた。下水道こそが生活の基礎」と生々しい話をされました。
稲垣事務局長の発言にもありましたが本大会は「画期的な全国大会」となりました。
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パネルディスカッション
松崎浦安市長(左端)も加わって、右から竹内・河津・平安各町長、長谷川町長にかわって岩渕地域振興課長、木村開発者 |
くわしい様子はこちらから(PDFファイル454KB)
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