多田浩一さんの発言
前仙台市都市整備局建築部長
元仙台市都市計画局次長
まず、今回の震災がどのようなものであったのか、データをもって説明されました。そして今回の震災では「想定外」ということがよく言われたが、その想定とは果たして一番弱いところを基準にして想定していたのか。建物でもなんでもその強さというのは最も弱いところの強さのことをいうのだ。最弱点を越えた強度というのは絶対に出ない。そのことを忘れていた。これからの復興ではそこを十分考えなくてはならない、と強調されました。
浅野弘一さんの発言
前財団法人福島県区画整理協会理事長

「東京原発事故60キロ地点被害報告」と題した発言でしたが、なによりも自らが撮影した原発から60キロ付近の写真が、多くのことを物語っていました。放射能汚染、人の住めなくなった地域、避難した人々の生活・・・。一つ一つが胸に迫ります。またタイトルに「東京原発」という言葉を敢えて使っていますが、今回の福島原発は、その作った電力のすべては東京に送られているのでそう呼ぶことにした。被害を受けたのは福島県、恩恵を受けている東京は避難騒ぎも起こっていない。この地元の怒りを伝えたい、と発言されました。

日本土壌浄化法ネットワーク 理事
鎌田浩さんの発言
元埼玉県大宮市下水道部長・元蓮田市議
(現在仙台市在住)
鎌田さんは大宮市で、下水道を専門に扱って多くの処理場を建設した経験を持たれた方で、退職の時に30年以上稼動を継続していたのは土壌浄化法だけですと言われて、次のように発言されました。

「仙台に移住して1年足らずで今回の地震を体験しました。地震の大きさにも驚きましたが、その後の災害の大きさには、ともかく身もすくみました。人間の生活をどうするか、ライフラインをどう確保するか、課題は山ほどありますが、大規模施設を作れば解決するという今までの考えを根本から変える必要を感じました」

◇規模の分散化について(研修会で配布された資料の一部)
改善を進めるには、大規模下水道・小規模下水道相互のメリットを活用する必要が考えられる。災害に強い形を求めるなら、地域に合った多くのルートを持つ多角的対応が可能(ライフライン整備として重要)とする小規模下水道化が考えられ、部分的に大規模のデメリットを補完し得ると言える。そのためには、まずは実際の現場の特性を十分に理解し将来の安全性を確立しつつ最小の経費で最大の効果を得られるよう計画することが必要になる。今回の地震と津波による被災は、地形をも変化させ施設もほとんど全壊の状態となった。現地では、地面が部分的に削られ防波堤が倒れるなど破壊度の強さを見せ付けられ、改めて現地での処理施設再構築の課題を痛感し、地形等を考えた中継処理的分散型の整備方法も検討してみる必要を感じた。
国土交通省 水管理・国土保全局下水道部
流域管理官 高島英二郎さんの発言

技術研修会では国土交通省の下水道から、当初加藤裕之調整官が発表していただける事になっていましたが、当日は高島英二郎流域管理官が仙台まできて下さいました。

自己紹介の中で、平成10年から11年の頃、京都府の下水道課長で園部の件に関与していただいた事があるとの事で、当時の野中一二三町長と土壌浄化法のことを話した事があり、今回の研修会への出席も何かの縁を感じますといわれていました。「東日本大震災における下水道施設の被害と復旧・復興への取組」という表題で、パワーポイントによる説明がされました。今回の地震や津波によって、下水道関係の施設が大打撃を蒙ったことが良くわかるパワーポイントになっていました。これからの本復旧は、本当に大変なことと感じました。

福島県県議会議員 小澤隆さんの発言
11月に県議会議員選挙がある中、飛んできてくださった小澤さんは独自で新聞記者も入れない、原発の近くまで2度行かれたそうです。人っ子ひとりいなくなった村を歩かれたそうで、当然強い放射能を浴びる危険がありますが病院での検査は異常なかったと、自ら体を張った経験を話してくださいました。

また、今でも原発の中では多くの人が働いていますが、原発から20キロ以内に設置が法律で義務付けられているオフサイトセンターを訪れた時は、書類も何も出しっぱなしでもぬけの殻となっていたことに驚くとともに失望を感じ、こういうことを糾弾していかなければいけないと思われたそうです。原発被災地を巡りながら、劣悪な生活環境の様子を目の当りにすると、こういう所にこそ土壌浄化法のような小規模施設が必要だ。坂下方式を普及させなければ。。。と熱く語られていました。