文化へのバロメーターとしてもて囃されてきた下水道事業が、今般の震災によって、多くの下水道施設が壊滅的な被害を被り、過去の阪神淡路大震災には見られなかった津波の被害により、東北地方沿岸部の多くの処理場が想定外の破壊力によって、無残な姿をさらけ出していた。 「百聞は一見にしかず」の諺どおり、仙台市南蒲生浄化センター及び宮城県仙塩浄化センターの屋上に立った時、同じ建物の上に避難した職員が撮影した津波のビデオと重ね合わせながら、下界を見渡すと、一同あまりにもひどいガレキの山を眺め涙することしかできなかった。ここでも尊い命が失われた方々に対し、改めて合掌し、ただただご冥福をお祈り申し上げるのみで、人間の無力さに業を煮やしたのであります。嘆き悲しむばかりが能ではなく、過去のあの世界大戦から見事復興を成し遂げた日本人、この困難を乗り切るため、震災発生直後から国土交通省や全国各地からの復興支援が迅速に実施され、応急処理の状態であったが、本格復旧に向けて現場における最高責任者の適切な指揮のもと、万全なる体制で作戦が展開されている様子を具に見ることができ安心したのであります。 しかし、我々は見たのである、応急処置から本格復旧に向けた取り組みや、その手順の説明を受けた時、従来の下水道施設の復元を念頭に入れたものであり、巨大津波の教訓を生かした下水道施設の復旧のために過去の反省点に立った充分な検証が、あまりにも復旧を急ぐため、なされてなかったように見えたのであります。(未来に向け、より快適で持続可能な下水道施設の実現が絶対に必要と感じた。) 今回の技術研修会のテーマは、「今われわれに何ができるか、何をなすべきか」を掲げ、今こそ、土壌浄化法の知恵と技術をあらためて世に問うため、被災地に設営したのであります。
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