平出基金
2002年1月16日、長らくスポンサーとして私たち、RASA−アジアの農村と連帯する会(Rural Asia Solidarity
Association: 以下、RASA)を財政的に支援し、また自ら活動に参加くださっていた平出園子さんが他界なさいました。平出さんは、若いRASAメンバーの母親的存在でもあり、われわれの活動の精神的支えでもありました。平出さんの励ましは、RASAの活動をより積極的かつ前向きなものとしました。生前、平出さんと親交のあったすべてのRASAメンバーが、いまもなお平出さんのご逝去を悼んでいます。
1939年11月17日生まれの平出さんは、1991年から毎年RASA主催の「在日アジア人留学生への研究補助」に10万円の資金援助を続けてくださいました。また平出さんは、留学生との交流の場を楽しみにし、積極的に留学生との懇親会にもご参加いただきました。研究補助を受けた留学生たちは、平出さんが自分たちの母親と同世代であり、働きながら社会貢献活動を続けるその献身的な姿に感銘を受けるのが常でありました。
平出さんの突然の訃報は、われわれRASAメンバーに、たとえようもなく大きな衝撃をもたらしました。しかし、平出さんは亡き後のRASAの活動についても配慮してくださっていました。平出さんのご息女、脇尾庸子さんから、平出さんのご遺言により、RASAに300万円を寄付いただける旨を伝えられ、われわれはそのご遺志に新たに大きな感銘を受けました。生前のみならず、ご逝去の後も、ご自身と面識のないアジアの発展途上国の若人のために金銭的支援を惜しまなかったことに、われわれは深い尊敬の念を寄せます。
われわれは平出さんのご遺志を引き継ぐことに、大きな責任を感じています。そこで平出さんのご遺志を永く広く心に記しておくべく、平出さんの名を冠す基金(「平出基金」)を2005年に設立いたしました。今後私たちは同基金の維持・拡充に努め、アジアの発展途上国の若人が、知識を得たり能力を高めたりするために用いる考えでおります。同基金の設立の趣旨を明らかにし、また多くの皆様に知っていただくため、この文書をまとめました。
私たちRASAは、故平出園子さんの意志を継ぎ、発展途上国の若者の人的資源開発のために同基金を運営して参ります。
2005年12月18日
RASA−アジアの農村と連帯する会
代表 山形辰史
これまでの支出実績
2002年 留学生1人に対して、研究補助金授与
2005年 華東理工大学日本語学科への寄付(中国・上海市)
2006年 クラビ県トイレ建設(タイ)
2010年 カンチャナブリ県トイレ建設(タイ)報告その1(Saiyok
District) 報告その2(Thongpapoom
District)
2014年 留学生2人に対して、研究補助金授与
2015年 留学生4人に対して、研究補助金授与
2016年 留学生7人に対して、研究補助金授与
2017年 留学生9人に対して、研究補助金授与
2017年度を持ちまして、平出基金を全て使い切りました。改めて、平出園子さんに深甚な感謝の意を表します。(山形辰史)