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ゲーム 帰り道、菅原と影山の二人は公園のベンチに並んで腰掛けていた。辺りは暗く、人通りもまばらである。街頭の影になっているのでこうしてくっついていても人影くらいしか見えず、よほど近くまでこない限り男女のカップルがいちゃついてるくらいにしか思われないはずだ。この辺りは住宅街になっているためこの時間になるとほとんど人が通らなくなるのだ。
並んで座ったまま菅原が影山に問い掛ける。 「な、俺のこと好き?」 訊かれた影山は困ったように眉尻を下げ、暫く考えた後に口を開いた。 「嫌いじゃないです」 「素直になれって」 影山の答えに菅原が意地悪く楽しそうに笑う。そんな菅原の様子に影山がむっと唇を尖らせた。そして仕返しと言わんばかりに菅原の手を取ると指を絡ませる。触れた菅原の手のその熱さに影山が驚いたように声を上げる。 「手が熱い」 菅原がばつが悪そうな表情をする。 「いいだろ。緊張してるんだよ、俺も」 照れたようにぷいと横を向くと、拗ねるように頬を膨らませた。そんな菅原が可愛くて、影山が甘えるように菅原に擦り寄る。 「もっと、ぎゅってしてください」 手だけでは我慢できなくなり、影山が強請るように言うと菅原はまだ頬を膨らませたまま、それでも素直に影山に応えた。 「いいよ」 未だ片手を繋いだまま、開いている方の手を影山の背に回し向かい合い抱き合う形になる。ぎゅうっと抱き締め、影山の頭をぽんぽんと撫でると影山の口から吐息が漏れた。 「よかった。菅原さんとこうしてると、安心します」 すりすりと肩に頬を擦り寄せる影山の頭を撫でた後、一度影山と距離を取り真正面から影山の目を見つめる。影山も不思議そうに菅原を見つめた。 「少しの間、目を瞑ってくれるか?」 菅原の言う通り静かに目を閉じる。すると唇に温かいものが触れた。少しの間そこにあったそれがゆっくり離れると影山が目を開ける。目の前には照れた様子の菅原がいる。 「可愛いことしますね」 思わず笑みを浮かべながら言うと、菅原は一度迷う顔をして影山の耳に口を近付ける。そして秘密の告白をするように小さく囁いた。 「寝てるときとか、実はたまにこういう事しちゃってるんだ」 悪戯の告白をして怒られるのを待つように上目遣いで影山の様子を窺う。小さい子どものような仕草に影山が困ったように眉尻を下げた。 「だって、菅原さん、ずるい。今言われても許すしかないじゃないですか」 「影山が可愛いからしょうがないだろー。我慢できなくなるし」 開き直った態度の菅原に、しょうがないなあと笑って影山が頬を染める。 「仕方ないから許します。でも、出来れば起きてるときにしてほしいです」 後半は照れて目を見られなかった。しかし恥ずかしいのは言われた菅原も同じで、思わず口元を手で押さえる。 「すごいこと平然と言うね、お前」 お互い照れて仕方ないのだが、しかし影山は更に畳みかける。 「エッチな俺は嫌いですか?」 真っ直ぐ菅原の目を見つめながら首を傾げる。菅原はぴしりと固まったあと、参ったというように手を上げた。 「影山、頼むから……それは反則だって」 影山はその上げた手を掴むと再び指を絡める。そして今度は影山が菅原の背に手を回した。 「手、また熱くなりましたね」 繋いだ手から伝わる体温が心地良いと感じながら指を軽く動かす。照れからか興奮からか、菅原の手は先程より熱を感じさせている。それが嬉しくなり、影山は目の前にある菅原の首筋をぺろりと舐め上げた。 「猫か!」 くすぐったさに思わず声を上げる。ぺろぺろと、猫のように舐める影山の頭を押さえると、影山は真面目な顔で口を開く。 「可愛いですよ」 影山のすごいところは、こういうセリフを照れもせずさらりと言いのけるところだと思う。 「よく言うよ、ホント……お前ずるすぎる」 顔を真っ赤にさせて菅原が悔しそうに吐き出す。影山はきょとんとして言った。 「ルールは守ってますよ」 「よく分かってるよ。だからずるいんだって」 真っ赤な顔のまま菅原が上目遣いで見つめると、影山がごくりと喉を鳴らした。 「ていうか、菅原さんも相当ずるいですよ。分かってますか?」 そう言うと菅原の頬に口付ける。一度触れると我慢できなくなり、唇にも触れるだけのキスをする。 顔を離すと、菅原が真剣な顔で見つめていた。 「影山、好きだ」 その言葉に影山も思わず笑い、伝える。 「大好きです、菅原さん」 言葉とともに影山が菅原を抱き締める。菅原も影山の背に腕を回すと、しばらくそのまま互いの体温を感じていた。 暫くして影山が悔しそうに呟く。 「あーあ、俺の負けですね」 「でも、なんか俺の方が負けた気分だ」 勝ったはずの菅原が真っ赤になってぼやく。しかし結局勝ち負けなんてものはどうでも良く、お互い顔を見合わせるとどちらともなく笑い出した。 Text top |