加藤昇の(新)大豆の話

39. 大豆に含まれる健康成分

 大豆には生活習慣病を補正することが出来るいくつかの優れた成分を持っています。その健康効果が科学的にも証明されており「特定保健用食品」として大豆成分が現在、7項目認められています。それは「大豆たんぱく」、「大豆ペプチド」、「大豆ステロール」、「大豆オリゴ糖」、「大豆イソフラボン」、「納豆・ビタミンK」、「豆鼓エキス」の7項目です。一つの食品でこのように多くの健康機能が認められているものは他にはありません。

 

 大豆の特定保健用食品表示認可・承認項目

大豆たんぱく

血中コレステロール濃度低下効果

大豆ペプチド

コレステロール代謝改善、高血圧患者血圧降下効果

大豆ステロール

血中コレステロール濃度低下効果

大豆オリゴ糖

ビフィズス菌増殖促進効果

大豆イソフラボン

骨粗鬆症抑制効果

納豆・ビタミンK

骨粗鬆症予防効果

豆鼓エキス

糖尿病予防、血中コレステロール濃度低下効果

 

 これら特保認定の健康効果以外にも大豆に含まれる健康機能はいくつか挙げられます。

ビタミンE: 抗酸化効果による動脈硬化・生活習慣病の予防、老化予防、生殖機能の正常化、月経不順・生理痛の改善、更年期障害の緩和

大豆イソフラボン: 特定保健機能として認められている項目以外にも、がんリスクの低減、脂質代謝の改善、糖尿病予防にも効果が認められています。

大豆レシチン: 脳神経細胞の活性化、学習・記憶機能の維持、コレステロール・中性脂肪の低下、肝臓機能の維持・回復

葉酸: 貧血予防

 

以上にみられるように大豆には私たちの健康を維持してくれるいろいろな機能が含まれている稀有な食品といえます。

 

大豆は減塩食品

さらに大豆にはナトリウムが少なくて、体内から余分なナトリウムを排出してくれるカリウムを多く含んでいる減塩型食品でもあります。

よく、味噌汁は体にいいから毎日食べた方がいいが、塩分が多くなるので具沢山の味噌汁にすると良い、と言われています。でも味噌汁に入れる具にナトリウムを追い出すカリウムがどのくらい入っているかを比較してみると大豆のすばらしさが再び浮き彫りになってきます。ふだん私たちが味噌汁の具に使う野菜の中身を見てください。次に示す表は素材100g中に含まれるナトリウムとカリウムの含量を示したものですが、大豆と比べて他の食材はひと桁くらいカリウムの含量が少ないのです。逆にカリウムの多いひじきなどはナトリウムも多いのです。いかに大豆が減塩効果を持っているか分かると思います。

 

素材100gあたりのNaKの含量 (mg)  (日本食品標準成分表 7訂)

ナトリウム

カリウム

ナトリウム

カリウム

だいさつまいも

13

460

大豆

  1

1,900

じゃがいも

  2

450

ねぎ

  1

180

ほうれんそう

21

740

玉ねぎ

  2

160

にんじん

26

400

ひじき()

1,400

4,400

ごぼう

  6

330

わかめ()

610

780

大根

14

240

なめこ

  6

90

白菜

  5

230

ひらたけ

  2

360

キャベツ

  6

210

しめじ

  9

300

 

 

 

 

 

 

                     

 大豆の栄養効果はこの程度では収まりません。マグネシウム、リン、鉄分などその他のミネラルやビタミン群にも優れた食品です。さらに大豆に含まれる油脂も健康機能のある多価不飽和脂肪酸を豊富に含んでおり、余分な悪玉コレステロールを下げる働きもしてくれます。大豆の栄養面での欠点を挙げれば、それはビタミンDが少ないことです。やはりビタミンDだけは大豆以外から摂取するように心掛けておかなければならないでしょう。これらの大豆の持つ栄養的長所は高齢者の栄養バランスを補正するだけでなく、おなかの赤ちゃん共々妊婦にとってもバランスの良い優れた食品でもあるのです。特にビタミンKは胎児にとって重要な成分であり、欠乏すると頭蓋内出血を起こして死亡する危険性もあります。これらは母親が大豆を食べることによって補われているのです。

 

それでも大豆の摂取量は不足気味

しかし、厚生労働省の国民栄養調査によると、大豆の持つ健康機能を最も取り入れなければならない15歳から50歳までの年齢層での大豆摂取量が少ないことが明らかにされています。外食や調理済み食品に偏り易いこの年齢層が陥る体調の不具合は、肥満、高血圧、動脈硬化、骨密度低下などが挙げられますが、これらは大豆食品を適度に摂取していればある程度防ぐことが出来るものです。しかし、特に家庭内での子供たちの大豆摂取が少ないことが指摘されており、今後家庭食の中にいかに大豆を上手に取り入れていくか、みんなで考えていく必要があるようです。難しく考える必要はありません、朝食に家族皆んなで豆腐の味噌汁をお椀1杯、毎朝食べるだけでも違ってきます。

 

 掲載日 2019.7

 

 

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