加藤昇の(新)大豆の話

38. 大豆に含まれる成分

食品の栄養成分として注目されるのはまず、蛋白質・脂質・炭水化物であり、これらを「三大栄養素」といいます。これに有機化合物のビタミンと無機質のミネラルを入れて「五大栄養素」と呼ばれています。これらの栄養素で私たちの体は作られ、新陳代謝を繰り返しています。これらの栄養成分について大豆に含まれているものを見てみたいと思います。

 

 大豆の栄養比較

まず大豆とその他の食品用豆類の成分を比較してみました。

 

主な豆類100g中の栄養比較 (日本食品標準成分表、七訂) 

 

蛋白質

脂質

炭水化物

カルシウム

鉄分

ビタミンE

大豆

33.8g

 19.7g

 19.7g

 180mg

 6.8mg

  2.3mg

あずき

20.3

  2.2

 58.7

  75

  5.4

  0.1

ささげ

23.9

  2.0

 55.0

  75

  5.6

   Tr

インゲン豆

19.9

  2.2

 57.8

 130 

  6.0

  0.1

えんどう

21.7

  2.3

 60.4

  65

  5.0

  0.1

そらまめ

26.0

  2.0

 55.9

 100

  5.7

  0.7

 

 この表から大豆の栄養的な特徴を読み取ることが出来ます。それらをまとめると

@      たんぱく質が豊富に含まれています。このたんぱく質を構成しているアミノ酸バランスも必須アミノ酸が多く、バランスが優れていて「アミノ酸100」と評価されています。

A      油分を多く含んでいる。ここには表されていませんが含まれている油脂は必須脂肪酸が多く、体内の脂肪酸バランスを保つ働きが優れています。

B      炭水化物、すなわちでんぷん質が少ないのも大豆の特徴です。

C      カルシウムを多く含んでいます。ここに示していませんがカリウムやマグネシウムも他の豆に比べて多く含んでいます。

D      大豆は鉄分も多い豆です。

E      ビタミンEを多く含んでいるのが大豆の特徴です。このほかにもビタミンKも他の豆に比べて多く含んでいます。

  

 大豆は栄養的に見てあらゆる面でバランスのとれた食品です。

大豆は他の豆類に比べてタンパク含量が多いだけでなく、大豆の蛋白質は私たちの陥りやすい生活習慣病を調整する働きをいくつか兼ね備えています。詳しくは「3-2-1大豆食品の健康機能」を見てください。また、大豆は蛋白質が多い反面、炭水化物や糖質の少ない豆類というのも特徴です。そのことではアズキやえんどう豆のように澱粉が多く、蛋白質が少ない豆に対して対極にあるということが出来ます。

 油脂の含量も多く、しかもその油脂を構成しているのが必須脂肪酸であり、欠乏すると体調に影響する貴重な多価不飽和脂肪酸を多く含んでいるのです。魚離れが進んでいる現代にあって魚油の不足分を補って体内の脂肪酸組成のバランスを保つ働きをすることが期待されています。

このように優れたたんぱく質と優れた油脂を豊富に含んでおり、またエネルギー源としても優れていることから昔から「畑の肉」と呼ばれています。

 掲載日 2019.7

 

大豆の話の目次に戻る