加藤昇の(新)大豆の話

34. 味噌の健康効果

味噌には大豆に含まれる健康素材がすべて含まれています。しかし麹菌の働きによって大豆たんぱく質は低分子化されてペプチドの形で含まれており、大豆に含まれていた時のたんぱく質とも違う働きが現れるようになってきます。

大豆ペプチドには体の基礎代謝を促進させる働きがあります。そのために体脂肪の燃焼を促進させる働きがあります。そのために大豆ペプチドの摂取を運動と組み合わせることにより効率的にダイエットすることが出来るようになります。また味噌に含まれるグルコシドセラミドの効果によって肌の基質を活性化してセラミドを増やすことにより肌のバリアー性を高め、きめの細かい美肌を作るとして美容分野で注目を集めています。また、胃がん・食道がん、さらには乳癌・肝臓がんの予防につながるとの発表もあります。また、味噌に含まれる乳酸菌の一種が腸内環境の改善になると同時に免疫力の向上や花粉症などのアレルギー対策にも貢献しているとの報告もあります。このように味噌にはペプチドが含まれているために大豆とは違った健康効果が発揮されるのです。

 最近ではテレビや雑誌などで「みそ汁健康法」という言葉をよく聞くようになってきています。みそ汁を毎日飲んでいると癌による死亡率が低下するとされています。その他に、血圧を下げる効果、抗酸化効果、メラノイジンによる美肌効果などがうたわれています。味噌は私たちが最も身近に摂取できる大豆ペプチド製品なのです。今後、ペプチド研究が進むにしたがって、味噌ペプチドの健康機能がさらに掘り下げられていくことでしょう。

 

ペプチド食品としての味噌

味噌は麹菌の働きによって大豆タンパクが分解されており、一種のペプチド食品となっています。ペプチドの特徴として消化吸収が容易で早くなるので、体力が弱っている人や消化吸収力の衰えている人などにとって有効であるとされています。さらに運動をしている人たちにとってもスポーツドリンクで大豆ペプチドを補給することにより筋肉の疲労や損傷をより早く、効率的に修復することが出来るので効果的とされています。このように運動の効果を高めるためにペプチドを摂取する時には、もちろんペプチドドリンクなどの高含量の飲み物などで対応していきますが、ここでは味噌にも多少含まれるペプチドの働きとして紹介することにしておきます。味噌だけでこれらスポーツドリンクに匹敵した効果を求めることは難しいが、少しづつでも毎日の味噌汁を飲むことによってペプチドによる効果の幾分かは期待できる可能性も考えられます。

 

 味噌の放射能効果

 長崎において原爆投下当時に浦上第一病院(現聖フランシスコ病院)で勤務していた秋月辰一郎医師は、著書「体質と食物」において「昭和20年8月9日の原子爆弾は長崎市内を大半灰燼にし、数万の人々を殺した。爆心地より1.8キロメートルの私の病院は、死の灰の中に廃墟として残った。私と私の病院の仲間は、焼け出された患者を治療しながら働きつづけた。私達の病院は、長崎市内の味噌・醤油の倉庫にもなっていた。玄米と味噌は豊富であった。さらに、わかめもたくさん保存していたのである。その時私といっしょに、患者の救助、付近の人びとの治療に当たっていた従業員に、いわゆる原爆症が出なかった原因の一つは、「わかめの味噌汁」であったと、私は確信している。」この本の英訳が出されたことがきっかけでとなり、1986年4月26日にウクライナで起きたチェルノブイリ原子力発電所事故のときには健康被害を案じる多くのヨーロッパ人がみそ汁を飲んだとされています。

 

 この事故の後処理をしていた労働者たちの中で、原爆症を発症した労働者とまったく元気な労働者に分かれたそうです。元気な人たちは仕事が終わると大量のビールを飲んでいたことが分かりました。

 また、戦時中に広島に原爆が落ちた時に、酒どころ広島の酒屋の従業員たちはもはやこれまでと蔵中にある酒を全部持ち出して大宴会をやったそうです。そしてこの連中からは原爆症患者は一人も出なかったそうです。(「麹のちから」風雲舎)

 

 その後、味噌飼料を使ったねずみによる実験でも対照群にたいして血液、胃、筋肉で放射線の残量が少なかった結果も残っており、X線全身照射による死亡率でも味噌の効果が確認されています。また、広島大学原爆放射能医学研究所での動物研究では、醤油にも放射線に対する防除効果があることが確認されています。

 

ここに共通していることは味噌、ビール、日本酒、醤油とすべて麹菌が関係しているのです。つまり、麹は放射能の体内汚染をかなりの割合で洗い流してくれることを意味していると考えることが出来るのです。

 

     掲載日 2019.7

 

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