加藤昇の(新)大豆の話

33. 味噌の生産量

味噌の出荷量の推移をみると、味噌の消費量が毎年少しづつ減少しているのが分かります。

 

 

 国内味噌の出荷量は2000年には50.4万トンでしたが徐々に国内消費量が減少傾向をたどりつつあり、2017年度では米味噌・麦味噌・豆味噌・調合味噌の合計出荷量は41.4万トンと17年間で18%の減少となっています。食生活の変化で米食が減少し、味噌汁が食卓に並ぶ機会が少なくなっていることによるものと思われます。我が国が現在、世界一の長寿国であることも、大豆、米、魚を中心とした日本型食生活に支えられたところが大きく、その根幹を支えている柱の一つが味噌です。海外からも注目されている和食ですが、その和食の根幹である味噌の基盤が現在崩れつつあるのです。味噌の健康効果にはさらに新たな知見も加わってきています。なんとかこの優れた日本の食文化の伝統を次世代に続けていきたいものです。

 

 現在わが国の味噌に使われている原料大豆は、その多くがアメリカ・カナダからの輸入に頼っています。2018年度生産の味噌の原料大豆を見ると、その43%がアメリカ大豆であり、41%がカナダから輸入した大豆で、この両国で84%を占めています。国産大豆は8%と中国産大豆8%と並んでいる状態です。そしてこれらの大豆は遺伝子組み換えしていない大豆を農家との契約によって栽培してもらっているのです。

 

味噌の輸出が増加

 国内では味噌の消費量が減少している中で、海外における和食ブームが日本の味噌を求めているのです。海外で和食の人気が高まると、その食材を集めなければなりません。穀物や野菜、魚などは地元で調達することはある程度可能かもしれませんが、味噌・醤油は欧米で作っていません。どうしても日本や中国・韓国などから取り寄せなくてはなりません。

 海外の和食の職人にとって味噌を、どの国から取り寄せるかの選択は自由です。当然品質的に優れた国の味噌を求めてくることでしょう。そして現在は海外への味噌の輸出量が最も多いのが日本なのです。

 

海外の人たちは日本の味噌の品質を高く評価しているのです。平成30年現在、日本の味噌を輸出している国を輸出量の多い順に並べると次のようになります。最も多い国はアメリカで、その後に韓国、台湾、中国、オランダ、オーストラリア、タイ、カナダ、シンガポールとなっています。和食が世界遺産になったころから和食に対する関心が高まり、それにつれて和食の調味料である味噌や醤油にたいする需要が起こってきたものと見ることが出来ます。

 東アジアにある発酵調味料を並べてみても日本の味噌に相当する風味を有する調味料はありません。やはり和食に適当な調味料は日本の味噌をおいて他にないように思われます。そんなことから海外での和食ブームとともに味噌の輸出量が増加していったのだと思われます。

 

     掲載日 2019.7

 

 

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