加藤昇の(新)大豆の話

26. 大きく伸びる豆乳の生産量とその内訳

次のグラフは日本の豆乳生産量の推移です。まさに最近の豆乳ブームの様子をよく示していると思われます。豆乳はその成分によって豆乳、調整豆乳、豆乳飲料に区分されていますが、それらを合わせた豆乳全体の消費量は、平成29年(2017)には33.9万㎘と過去最高の生産量を示しており、さらに拡大していく様相を呈しています。さらにその内訳を見てみると、タンパク質含量が最も多く含まれている豆乳が26.6%であり、その消費量を大きく伸ばしているのです。それに続く伸びをしている調整豆乳が52.5%、さらに豆乳飲料が20.9%となっています。このことは消費者が豆乳に健康効果と飲みやすさを求めているると見ることが出来るでしょう。

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 わが国の豆乳は1983年に一度大きなブームを起こしています。そもそも、わが国における豆乳の歴史は長く、昔から各地の豆乳信奉者によって飲まれ続けてきた歴史があります。十分な栄養を確保することが難しかった過去の時代において、妊婦にたいして母体と胎児の健全な成長のために豆乳を飲ませるという風習が各地に見られるなど、豆乳の健康効果はある程度知られていたのです。しかし、長い間大豆製品を食べ続けている日本人でも豆乳の持つ青くさい匂いには抵抗があったので、広く浸透していくことはなかったのです。1983年の豆乳ブームも健康効果は理解できても、この当時の豆乳は匂いが強く、消費者に安定して飲み続けてもらうには、その匂いが邪魔をしているという従来の延長線上にあったように思われます。

しかし、現在起こっているわが国の豆乳ブームは過去と様相を異にしています。それは過去10数年間の大豆の健康機能についての研究が大豆に対する意識を大きく変えていることと、豆乳から大豆臭を除去する技術が格段に発達したことによるものです。

 

   平成30年度 豆乳生産量(キロリットル)

 

生産量

比率

豆乳

71,831

26.6

調整豆乳

141,775

52.5

豆乳飲料・果汁入り

 11,941

 4.4

豆乳飲料・その他

 44,490

16.5

  計

270,037

100

          (日本豆乳協会資料より)

 大豆には不快味成分と呼ばれている成分がいくつか含まれています。その主なものは大豆イソフラボンとサポニン、さらにはリポキシゲナーゼによる酵素の働きです。これらの成分を除去し、分解することによって飲みやすい豆乳が出来るのですが、これらのいくつかは大豆タンパク質と結合していて簡単には除去できず、長い間消費拡大の壁となっていました。しかし、これらの壁を乗り越えることが出来た現在、豆乳の持つ健康機能が大きくクローズアップされ、現在の豆乳ブームにつながっているのです。

 

    掲載日 2019.7

 

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