加藤昇の(新)大豆の話

25. 豆乳の健康効果と牛乳との比較

 豆乳の中には、大豆の持つ健康要素のほとんど全てを含んでいます。肝臓に蓄積された脂肪を効率よく燃焼させて脂肪肝を予防するとされる大豆タンパクのβ-コングルシニンや血管のコレステロールを適正値に戻し、善玉コレステロールを増やすリノール酸やα-リノレン酸などの不飽和脂肪酸、肝臓細胞や脳細胞を守るレシチン、癌や骨粗鬆症を防ぐイソフラボン、抗酸化効果や活性酸素の作用を抑えるサポニン、体内の余分なナトリウムを排泄するマグネシウム、その他老化を防ぐビタミンEや脳機能を維持改善し、エネルギー産生の補助をするビタミンB群など、高齢化社会にとってなくてはならない働きの多くを含んでおり、今後さらなる消費の拡大が見込まれます。

さらに、豆乳には食物繊維としてのオリゴ糖が含まれています。オリゴ糖には腸内細菌のビフィズス菌の餌となる成分であり、ビフィズス菌を増やして腸内環境を改善する効果があります。ただ、豆乳には大豆にあるイソフラボンには女性に起こる更年期障害の緩和に効果を発揮してくれますが、イソフラボンは過剰摂取によるホルモンバランスの悪影響もありますから栄養補助食品などでの過剰摂取には注意が必要になります。

 

豆乳と牛乳の比較

豆乳と牛乳の成分の比較を示しましたが、これにもみられるように豆乳の特徴は、まず、タンパク質が豊富であることです。そして牛乳が動物性食品であり、豆乳が植物性食品ですから当然のこととして豆乳にはコレステロールが含まれていません。これらが豆乳の優れたところと言えるでしょう。さらに付け加えるならば、豆乳に含まれる油脂は不飽和脂肪酸が豊富な血液サラサラになる油脂ですが、牛乳に含まれる油脂は動物性油脂であり、飽和脂肪酸が多く、動脈硬化などの健康に注意を払う必要があります。

また、豆乳にはあえてオカラ分を取り除いていない丸大豆成分のままで調整している製品も見られ、これらには食物繊維も多く含まれています。これら食物繊維には腸内細菌にたいするエサとして、あるいは便通の改善などに通常の調整豆乳を越える健康効果が期待できるでしょう。

 

 豆乳と普通牛乳、100グラム当たりの成分比較

 

豆乳

普通牛乳

エネルギー

46

67

たんぱく質

3.6

3.3

脂質

2.0

3.8

炭水化物

3.1

4.8

コレステロール(mg)

0

12.0

食物繊維

0.2

0

カリウム

190

150

カルシウム(mg)

15

110

1.2

0.02

亜鉛

0.3

0.4

ビタミンA(μg)

0

38

ビタミンB1(mg)

0.03

0.04

ビタミンB2(mg)

0.02

0.15

ビタミンK(μg)

4.0

2.0

葉酸(μg)

28

5

 

こうして豆乳と牛乳の二つを並べてみるとそれぞれに素晴らしい特徴を持つ優れたたんぱく質飲料と言えます。豆乳は植物性としての特徴を、牛乳には動物性の特徴をそれぞれ持ちながら人の健康に大きく貢献をしているというところでは同じ役割をしているのでしょう。この二つのたんぱく質飲料を冷蔵庫に絶えず準備しておくことが大切なことではないでしょうか。

 

掲載日 2019.7

 

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