加藤昇の(新)大豆の話
105. 大豆アレルギーについて
現在、いろいろな食品による食物アレルギーが大きな問題になっています。厚生省の発表によると食物アレルギーの原因となるアレルゲン(アレルギー原因物質)には次のような食品が挙げられています。頻度の高いものから羅列すると次のようになります。
@ 卵 28.2%
A 牛乳 22.6
B 小麦 10.9
C 魚類 6.6
D そば 4.2
E えび 3.2
F 果物 2.6
G ピーナッツ 2.4
H 大豆 1.4
I その他 17.9
食物アレルギーとはこれらの食品に含まれる抗原に対して過剰な免疫反応が起こる現象です。これらの免疫反応は体にとって異物と判断されたものに対する一種の防御システムですから、本来の我々の体に備わっている正常な働きですが、間違って反応を起こす場合もあり、これが食物アレルギーとして現れるのです。これら体に起こる過剰反応には、免疫グロブリンEという抗体が体のたんぱく質に対して起こす「即時型アレルギー反応」と、これらのメカニズムに関係しない「非即時型あるいは遅延型アレルギー反応」の二つのタイプがあります。特に後者については現時点ではよくわかっていないところもあり、これからの研究に期待がかかっています。
「即時型アレルギー反応」は食物を摂取して2時間以内にアレルギー反応が認められるのがほとんどです。子供の頃は鶏卵、牛乳、小麦、米、大豆が五大アレルゲンと言われていますが、米、大豆はそれほど多くはありません。成人するとエビ、カニ、魚類、貝類、果物が五大アレルゲンになるようで、大豆に対するアレルギー反応は成長とともに徐々に消えていくようです。
大豆については熱加工をしたり発酵工程を経ている味噌、醤油ではアレルギーは認められませんが、熱のかかり方がやや少ない豆乳でいくつか事例が見られています。このように熱や発酵などによってアレルゲンとなるタンパク質が切断される工程があるとアレルギー症状は起こらないようです。大豆は生で食べられる機会はほとんどなく、加熱処理や酵素処理が施されている場合がほとんどであり、大豆でアレルギーが起こるのは非常にまれであるとされています。
掲載日 2019.7