ルーアン |
Rouen/ France |
撮影: 2014/7, 制作: 2016/4/26, 改訂: 2019/12 |
北フランス、オート・ノルマンディー地方の中心都市、ルーアンを訪問しました。15~16世紀にかけて英仏両王国が戦った百年戦争で活躍した、ジャンヌ・ダルク終焉の地として知られています。ここにはトラムの他に、ハンドル操作を自動化した不思議なバスが走っています。 |
ルーアンの玄関口、リヴ・ドロワット駅です。パリのサン ・ラザール駅から1時間20分ほどで到着します。 |
町の中心、グロ・オルロージュ通りにある大時計。1525年 に造られて以来、500年近くも時を刻んでいます。 |
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ルーアンの路地裏です。後方は、サン・マクルー寺院。 |
旧美術学校への入口。古い木骨組みの家が素晴らしい。 |
Gare Rue Verte 国鉄ルーアン・リヴ・ドロワット駅に隣接して、トラムの地下駅があります。駅名は駅前ヴェルト通りです。 ルーアンのトラムは旧市街区域で地下を走っていますので、地元ではメトロと呼ばれています。立派な駅ですが単なる電停ですから、駅員もおらず改札装置もありません。 |
Boulingrin 駅前から東へ行くと、2駅で終点のブーラングランに着きます。西行きのトラムが地下区間へ入って行くところを撮影しました。 |
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終点のブーラングランです。2面4線のホームと電留線があります。駅の構内がアンツーカー舗装されているのが特徴的です。水はけを良くする他に、専用敷を識別する効果があります。 ルーアンのトラムは1994年の開業で、ルーアン都市交通 (TCAR)が運営しています。 |
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車両はアルストム・シタディスの402形、100%低床構造の7車体連接車、全長は43mあります。パリ市内を走るトラムのT3系統と同じ車両ですが、先頭車の顔立ちが異なります。 小さな規模の町には不釣り合いなほど、堂々たる編成が数分おきに走っています。 |
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Théâtre des Arts トラムは国鉄駅前からジャンヌ・ダルク通りの地下を走り、セーヌ川の手前で地上に出ます。PCコンクリート製の軌道を見ていると、確かにメトロという感じがします。 |
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芸術劇場の前で、トラムは地下区間から地上に出てきます。 銅像は仏三大作家の一人、ピエール・コルネイユ。後方にノートルダム寺院の尖塔が見えます。 |
Honoré de Balzac 19世紀のフランスを代表する小説家、バルザックの名前を冠した電停です。通り雨が上がって、アンツーカーの専用敷きが美しく輝いていました。 |
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バルザック電停の東側です。芝生を敷き詰めたラウンドアバウト(信号のないロータリー)をトラムが横切って行きます。電柱のないカーブなので、編成全体を捉えることができます。 |
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Voltaire 屋根に出窓を設けた古風な造りの民家が並んでいます。上海の街中で良く見かける「ドーマー窓」ですが、もちろんこちらが本家です。 |
Garibaldi ガリバルディの電停です。ルーアンの市街地はセーヌ川の北にありますが、近年南側にも住宅地が広がっています。 |
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ルーアン中心部のトラムとBRTの路線図です。Google maps に、路線と撮影場所を書き込みました。 赤色がトラムで、セーヌ川の南で2方向に分岐しています。系統番号がないので、終点名の行き先表示を見て区別します。 緑色はBRTで、東西方向の輸送を担当しています。開業は2001年、運営しているのはその名もルーアン東西都市交通(TEOR)です。 トラムよりも建設費が安く、郊外区間に坂道が多いため、BRT(Bus Rapid Transit)を採用しました。 |
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Place Saint-Marc ルーアン旧市街地のサン・マルク広場に停車中のBRTです。アンツーカー舗装のバス専用道路の上に、白線のパターンが描かれています。この模様を光学式のカメラで読み取って、バスは決められた通路を自動で進行します。 レールに拘束されるトラムをバスに置き換え、なおかつ道路に拘束するシステムですから、ガイドウェイバスの一種です。 |
初めて実物を見た自動操舵には、恐れ入りました。ハンドルが勝手に回転し、ドライバーは手をそっと添えているだけです。 また、市内中心部の道路をバス専用にして、一般車両を完全に閉め出していることにも、感服しました。 フランスでは政府が主導してトラムの新設、拡充が進められていますが、BRTもトラムの一種と位置づけられています |
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専用道を走るBRTです。後方にノートルダム寺院とサン・マルコー寺院の両尖塔が見え、古都の雰囲気が漂う街並が続いています。 道路を良く見ると、白線が途中で切れています。実は、自動操舵を行なっているのは、主にバス停の前後などの限られた区間なのです。白線のない区間に入ると運転席の警報が鳴り、手動に切り替えます。 現時点での使い方は、長尺のバスを停留所の定められた位置にぴったりと停車させる「正着制御」が目的です。その精度は5 cm ±3 mmで、どのドアからでも車椅子やベビーカーが段差無しに乗降できます。上掲の写真でホームとの間隔が実感できます。 |
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Théâtre des Arts 以下、BRTの車両です。 こちらは欧州の多国籍バスメーカー、Irisbus(イリスバス)の Citelis、18mの連接車です。前面屋根上に大きなカメラが載っています。尚、イリスバスは2013年に伊イヴェコに吸収されました。 |
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イヴェコの新型バス、Crealis Neo の連接車です。カメラを収める機器が車体の一部として設計されているので、Citelisに比べて目立たなくなりました。斬新な丸みを帯びた車体は欧州のデザイナーならではの感性に満ちあふれています。 黒い窓にルーアンの観光地が白色の線画で描かれています。↓ |
References: http://www.reseau-astuce.fr/presentation/?rub_code=1054&thm_id=538 https://www.systra.com/IMG/pdf/fiche_bhns_rouen_angl-2.pdf |