ようやく、砂漠から出れたものの天竺への道程はまだ先のようです。


「これは・・・とても綺麗な川ですね」




「やっと砂漠から解放された!ったく延々と続くかと思ったぜ」


「八戒、まだ気を抜くな、夕方になるまで宿を取る為に街を探さなければ」


「へいへい、分かってるって・・・アレ?姫さんは」


「お師匠様なら、近くの川で顔を洗いに行った・・・砂を落としに」


「おいおい、玄奘を一人にして大丈夫か?」


「心配・・・僕が様子を見てくる」


「ああ、頼む・・・玉龍なら安心だな」


「悟浄、何で俺の顔見て言うんだよ」


「気のせいだ」



パシャパシャ
冷たいですが、綺麗な水ですね・・・心が表れるようです。
私が水面を眺めてると、羽根が一片目の前に舞い落ちる。


「これはっ・・・二郎真君!」


「やぁ、三蔵、旅は順調かい?」


「あの・・・悟空なら向こうにいますが」


「ははは、いきなりボケ倒しかい?今日は君に会いにきたのだよ」


「・・・・・は!?私ですか?」


「そう、君にね・・・・一つ聞きたい事があってね」


二郎真君が私に聞きたい事とは・・・これは珍しいですね。


「・・・何でしょう?」


「・・・・君は自分が1番正しいと思ってるかい?」


「・・・・それは・・・・自分が1番正しいかどうかは分かりませんが、間違った行いを
 してきたつもりはありません・・・・」


「・・・へーぇ・・・そう」


二郎真君が凄く笑顔・・・でも目の奥が笑ってるように見えないのは気のせいでしょうか?
そもそも、この方の真意が見えないのですが・・・。


「そう答えると思っていたよ、君はね・・・・だからいっそ壊したい」


「二郎真君、今何かおっしゃいましたか?」


「いーや」

君は何処までも澄んだ目をしている、誰も恨んだ事がない君をこの絶望感で壊してやりたい。
そしたら、君はどんな顔をするんだろうね玄奘?

天竺のこの先で、私の本当の姿を知ったら正気でいられるのかどうか、面白そうだよ。


「・・・まぁ無事に天竺に辿り付けるよう、祈ってるよ」


二郎真君はそう言い残して去って行ってしまった。
一瞬、怖く感じたのは間違いなのでしょうか・・・?



「お師匠様、顔の砂はもう取れた?」


「あっ玉龍、わざわざ迎えに来てくれたのですね」


「?何かあった?」


「いえ、二郎真君と少しお話をしていただけです、皆の所へ戻りましょう」


「うん、分かった」


この先の、真実を知る事になるにはまだ先の話のようです。




2010年,1,27 真玄は少々歪んでる感じと言うか真君が歪んでる(笑)

底知れない闇