つい、受け取ってしまったなんて・・・。
どうしたんだろう?自分でも驚いている。
物欲なんてないのに。


左手の薬指にはめられた指輪、本人は「高価じゃなければ受け取ってくれますよね?」
なんて、言い出すものだから・・・。


エドワルド様の即位が決まって、いろいろと不安らしい。


「浮気なんてしないって言ってるのに・・・」


遡る事、2日前の夜
私は、マーシャルの部屋にいた。


「今日は月が綺麗・・・・・・」


「・・・珍しいですね、あなたが月を見て神妙な事を言うのは」


「ちょっと、それ喧嘩売ってる?私だって月を見て普通の感想ぐらい言うわよ」


「・・・そうですね、まぁ貴重かもしれない、あなたの愁いな横顔は」


そう言いながら、マーシャルは私をそっと引き寄せる。
何度も抱きしめられてるけど、未だにドキドキする、きっとマーシャルも顔を真っ赤にして
いるかもしれない、鼓動が聞こえてきそう。


「シエラ・・・・」


イキナリ名前を呼ばれてビクっとなる。


「これを受け取ってもらえませんか?」


マーシャルが小さな箱から何かを取り出す・・・指輪。


「!マーシャル、知ってるでしょう?私が物になんて興味ないって・・・困るわ」


「ええ、十分承知の上です」


「だったら!」


「高価じゃなければ受け取ってくれますよね?」


「え?」


「この指輪は安物です、何処にでも売ってます、壊れたら捨ててくれてもかまいません
 受け取ってくれますよね?」


「・・・マーシャル・・・まぁ・・・高価じゃなければ・・・別に受け取ってもいいけど・・・」


「では、はめさせて下さい」


マーシャルは器用に私の薬指に指輪をはめた、しかも左手。


「あっちなみに男よけです」





最後の一言は余計だったけど、2日前は嬉しいような複雑なような心情だったのに
今では嬉しいのが大方しめているなんて。


物欲なんてないのにもらって後悔していない自分がいる。
時々マーシャルからもらった指輪を眺めてる自分がいるのも事実、怖いくらいに。


後に、ハルキアからこの指輪は凄く高価な物だと知らされるのはもう少し後だったりする。



2009,4,7 シエラは物欲がないけど、安いのなら受け取るかもしれないと勝手な解釈
から思いついたネタです、マーシエは良いなあ!

高価じゃない指輪