私は、マーシャルから必死に逃げていた。
あの出来事を白紙にしたいと、なかった事にしたいと。
でも、摑まってってしまう、摑まれた手首から伝わってくる熱さ。
これは、マーシャルの強い想いなのか?
私は、それを振り解けないでいた、振り解こうと思えばいつでも振り解けたのに。
私は迷っている、なかった事にしたいハズなのに・・・・・
どうして・・・今更躊躇しているのだろう・・・。
「何故、逃げるのですか?」
「アンタが諦めが悪いからでしょ」
「私は諦めが悪い男なんです、あなたこそ諦めて下さい」
「何よ、それ」
観念しろってこと?
どうしてなの?分かってるでしょ?私達は同じ主には仕えていない。
しかも、王位争いをしているエドワルド様とジャスティン様のメイド長と侍従長なのに。
「手・・・痛い」
「あなたが逃げないと言うならこの手を離します」
マーシャルは真剣だ、私の抗議も無視して私の手を掴んだまま離さない。
でも、掴んだ手は少しだけ緩められたが、それでも力強い。
「アンタは間違ってる」
「・・・そうかもしれません・・・でも間違っていてもあなたを諦める事は出来ない
まして、なかった事になど私には無理です」
「アンタって本当に・・・・・呆れた男ね」
「ええ、だからこの手は離しません」
ズルイでしょ、そんな開き直りは。
そんな事言われたら、余計に摑まれた手を振り解けないじゃない。
本当に・・・・・・諦めが悪い、アンタも私も。
だから・・・私はマーシャルに顔を近付けた。
途端にマーシャルの顔がみるみるうちに赤くなる。
「シッシエラ!?」
「アンタって、見てて飽きないわ」
私達は軽くキスを交わした。
なかった事にだなんて、私だってしたくないのよ。
2009,2,19 あのシエラがマーシャルから逃げるイベントが凄く好きなので。
マーシエ万歳!(結局そこ)