円と初詣に行くのもこれで、何度目かの事。
恋人同士だから当たり前なのだけど、やっぱり納得いかない。



「撫子さん、何膨れてるんですか?」


びよ〜んと円が私の頬っぺたで遊ぶ。


「ちょっ」


「よく伸びますね、新記録です」


「はっ?何言ってんのっ痛いじゃないっ」


私が、半泣きにうったえると、円はパッと頬っぺたを摘まんでた手を離す。
そして、いつもの細目でじーっと私の顔を覗き込む。


「朝から機嫌が悪いあなたが悪いです」


「ううっだって、毎年初詣に行くけど、一言いう事があるじゃない」


「・・・・・・・・・・」


「何でそこで沈黙!?」


「もの凄く苛つくんですが」


円は言葉と裏腹に、私の手をギュッと握る。


「!円!?」


「何ですか?いつも手を繋いでるじゃないですか、あなたが嫌がっても離しませんけど」


「べっ別に嫌じゃないわよ」



恋人なんだし、円の事大好きなんだから、嫌なわけない。
唯、今年初挑戦の着物を着てきたのに、一言の感想もないのが納得いかない。
円の性格は分かってるつもりだけど、ほんと意地悪なんだから。



「似合ってますよ」


「!え?」


「似合ってると言ったんです、2回も言わせないで下さい、面倒くさい人ですね」


「なっ面倒くさいってっ」



私が抗議の眼差しを向けると額に柔らかいのが触れた、円の唇だ。



「ななっ」


「何、惚けてるんですか、早くお参りに行きますよ」



この恋人には、一生勝てる気がしないと心底思った、今年初めのお正月。










2011,1,4 初の円撫がお正月ネタって・・・・・・まぁいっか。
でも、自分の小説では萌えは補給できませんよっ円撫大好き過ぎるっ

勝てる気がしない