
40 アイ
「アイっていうのは一番大切なことだから、最初の二文字で言い表すんですよ」
八戒あたりなら、そんな歯の浮くような台詞の一つも吐くンだろうが。 いや、俺だって女相手になら言うかも知ンねーけど。
三蔵には言えない気がする。 なんで? それって、この気持ちがアイってヤツじゃねえからか?
いや、多分。 こんなものはまだ、アイじゃないと。 三蔵を見ていると、勝手にそんなことを思ってしまうから。 三蔵の知ってる、アイは。 三蔵の知っていた、アイは。 そこらに転がってるような、こんなちっぽけなモンじゃなく。
もっと、こう。 なんていうか。 夜空にただひとつ瞬く
――星のような。
思い出にココロのゲージをMAXまで振り切られてしまっている人間の。
針をそれ以上、どうやって震わせろと言うのか。
アイなんて。 分からないまま抱き締めて。 アイなんて。 そんな短い言葉じゃ表わせなくて。 いや、いくら言葉を重ねても表わせやしないから。
――いっそ短く告げるのか。
分からない者同士が、分からないまま。
呑み込んだ言葉ごと、ただ――
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