機動警察Kanon第121話

 

 

 

 「にらみあいになったな」

SSSの鮫島は双眼鏡でグリフォンとKanonの様子を見ながら口の中でつぶやいた。

レンズの向こう側ではライアットガンを構えたKanonがグリフォンを牽制している。

そこへ周囲の様子を偵察してきた部下が鮫島に報告した。

「隊長!! 警察車両が増えてきています。追跡車でグリフォンに接近するのは無理かもしれません」

「そうなのか」

「はい。こいつはどうします?」

そういって部下は手にした金属ケースを鮫島に示す。

そのケースを見た鮫島は頷いた。

「いざとなったらキュマイラにやらせる」

「キュマイラですか?」

「そうだ。まだ一号機が無傷だろう、用意をさせておけ」

「はい!!」

その時鮫島の傍らにいた副官が叫んだ。

「グリフォンが動き出したぞ!!」

 

 

 

 そのころ特車2課では。

非番であった第一小隊の面々をも招集して第二小隊の援護へと回るところであった。

 

 「酷いですよ、由起子さん!!」

祐一の抗議に由起子さんは首を傾げて尋ねた。

「あら、何がひどいのかしら?」

「何がじゃないですよ!! 寮の奴に起こされてテレビを見て初めて事件を知ったんですよ。

電話の一本もくれたっていいじゃないですか!!」

憤然と抗議する祐一、しかし由起子さんは取り合ってはくれなかった。

「あら、だって怪我人を酷使するわけにはいかないもの」

「たいした怪我じゃないです!!」

「あら。たいした怪我でないならば早く治すことね」

「そんなこと言う人、嫌いです」

祐一のその言葉に由起子さんは眉をしかめた。

「相沢巡査、あなたがそれをやったって可愛くも何ともないわよ」

「うぐぅ」

「だから……」

「あう〜っ」

「………」

「だぉ〜」

「…いい加減にしなさい!!」

さすがに由起子さんも怒った。

するとそこへ由起子さんの甥である折原浩平巡査が現れた。

「由起子さん、出撃準備できたぜ」

「あらそう。それじゃあ一号機から順次出発してちょうだい」

「お、俺も行きます!!」

第一小隊出撃の話を聞いて祐一は我慢できなくなったのであろう、由起子さんに懇願する。

しかしその答えは芳しい物ではなかった。

「相沢巡査、あなたの行動を私が決めるわけにはいきません。

あなたが必要ならば先輩からお呼びがかかるはずです!!」

「俺は黒い奴との格闘の経験者ですよ。経験者の意見は求めるべきだと思います!!」

「……相沢巡査。あなたは持ち場を離れて勝手に格闘したのが上層部で問題になっているのよ」

「そ、そうだったんですか……?」

初耳な事実に思わず目を丸くする祐一。

そしてそんな祐一を見て由起子さんは頭を抱えるのであった。

(第二小隊には規律というものが存在しないのかしら……)

 

 

 「出発する!」

由起子さんの合図とともに第一小隊の面々が次々に出撃していく。

 

「久しぶりの出番だね、雪ちゃん」

「本当に長かったわ」

『そうなの』

一号担当の川奈みさき巡査部長・深山雪見巡査部長・上月澪巡査。

 

「なめないで!! 私七瀬なのよ」

「そんなこと言っているか、このドアホウ!!!」

「浩平も七瀬さんも出撃前だよ!!」

二号担当の七瀬留美巡査・折原浩平巡査・長森瑞佳巡査。

 

「う〜ん、やっぱり出番があるって良いわね♪ あれ? 茜なんか気が乗らないみたいだけど」

「これしかない出番は嫌です」

「みゅ〜(同意)♪」

三号担当の柚木詩子巡査・里村茜巡査・椎名繭巡査。

 

みんな名前だけとはいえ久しぶり出番に張り切って出撃したのであった。

 

 

 「はぁ〜、俺だけ置いてきぼりかよ……」

第一小隊の出撃を見送った祐一は大きなため息をついてうなだれた。

するとその背後から香里が声を掛けた。

「あら相沢君、仕事熱心ね。確か謹慎中じゃなかったの?」

「そんな話は聞いていないぞ」

祐一の返答に香里は首を傾げた。

「あら、そうだった? 課長はそう言っていたし由起子さんもそう言っていたから決まりだと思っていたんだけど」

「秋子さんが何とかしたんだろ」

祐一のその言葉に香里は大きく頷いた。

「そうね、秋子さんだものね。謹慎処分ぐらい簡単に撤回できるわよね。

ところで相沢君、妙に不機嫌だけどどうかしたのかしら?」

「俺一人だけ置いてけぼりだぞ。機嫌が良い訳ない!」

「やはり指揮者としては名雪の戦いっぷりが気になる?」

「気にならない訳ないだろ!」

祐一のその言葉に香里はくすっと笑った。

「あたしたち整備班は予備の電池持って現場に行かなくっちゃ行かなければいけないんだけど……一緒に乗ってく?」

「乗ってく!! 乗ってく!!!」

 

 

 

 

 「と、止まるんだよ!!」

突然動き出したグリフォンに名雪は叫んだ。

しかしグリフォンは動きを全く止めようとしない。

そこで名雪はグリフォンにライアットガンの照準を合わせる、とある光に気がついた。

「ひ、人がいる!!」

それは現場でカメラを回しているTTVのクルーの手にした懐中電灯の光であったのだ。

 

 「よーし。良い絵が撮れたぞ」

「ここは危ないぞ。避難しよう」

 

 「人がいたんじゃこんな武器は使えないよ〜。どうしよう?」

名雪は非常に困った。

ただでさえ銃を使うのは気が進まないのに人がすぐ側にいては絶対に使えない。

しかし銃を使わずに単独でグリフォンと戦い、これを捕縛する自信もまた無いのだ。

(どうしよう?)

すると目の前の黒いレイバーがスッと右手を挙げた。

(何をするんだろう?)

すると突然黒いレイバーの右腕が光った!!

「わっ! まぶしいよ!!」

目がちかちかして何も見えない名雪、がすぐに目の前のモニターを見つめた。

これをきっかけに黒いレイバーが襲いかかってくるのは明白だったからだ。

しかし目の前のモニターには黒いレイバーの姿は映っていなかった、否何も映ってはいなかった。

「し、しまった!! モニターに焼き付きが!!!」

スクリーンセイバーを働かせていないのでモニターが焼け付いてしまったらしい(笑)。

 

 「にゃはは〜、もらったよ〜」

みちるの駆るグリフォンは疾風のごとく襲いかかってくる。

 

 

 「名雪さん!! 相手が突入してくるよ!!!」

「えっ!? どこどこ?」

あゆのありがたい指示だが今のモニターではその姿を捉えることは出来ない。

そんな現状を知ってか知らずかあゆはさらに叫んだ。

「左前方から突っ込んでくるよ!!」

「だぉ〜!!」

もう訳の分からなくなった名雪は思わずライアットガンの銃身をつかむとあゆの指示した左前方に振り回した。

「この辺かぁ〜!!」

 

 

 「わっ!!」

いきなりライアットガンで殴られかかったみちるは驚いた。

あわててグリフォンの左腕でその一撃を受け止める。

 

ズドォ〜ン!!

 

 「だぉ〜!!」

名雪はいきなりの事態に思わずたまげた。

なぜならばライアットガンの銃口からレイバーのFRP装甲をもズタズタにするOOバックの銃弾が発射されてしまったからだ。

そのまま弾丸は埠頭のアスファルトをズタズタに引き裂く。

「暴発した! 暴発した!! 暴発した!!!」

思わず叫ぶ名雪に冷静な秋子さんの声が届いてきた。

『えーっと名雪、一言言っておきますけど装填したライアットガンでチャンバラはしないほうがいいですよ』

「わ、わかったぉ……」

どうやら秋子さんの忠告は痛いほど名雪に届いているようであった(笑)。

 

 

 

 「キュマイラ。次にグリフォンが止まったときに組み付け」

『了解しました。ところでどこに仕掛けてやったら良いでしょうか?』

そう聞き返すキュマイラ一号機パイロットの言葉に鮫島は一瞬考え込んだ後、頷きながら言った。

「爆薬は奴の背中にでも仕掛けてやれ。それならASURAもパイロットのガキも木っ端みじんだ」

そしてキュマイラパイロットへの指示を終えた鮫島はその他の隊員たちに向かって命令した。

「手の空いた者はさんぐりあ号へ。倉田を引き出すのに手を貸してやれ」

「「「「「「はい」」」」」」

そしてSSS隊員たちはワラワラとさんぐりあ号へと向かったのであった。

 

 

 「それじゃあ佐祐理………」

「あははは〜っ、行きますか♪」

さんぐりあ号船上では佐祐理さんと舞がSSS制服を着て準備万端整えていたのであった。

 

 

 

あとがき

グリフォンとの格闘シーン……まだまだ少ないですね。

もっとあると思ったんだが。

まあこれは次回以降と言うことで。

 

 

2002.05.02

 

 

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