「何ですかこれは!?」
本庁から帰ってきた秋子さんの乗っていたミニパトを見て北川は思わず叫んだ。
運転席の真上に割れた鉢植えが突き刺さっていたからである。
「一体何があったんです?」
「空から降ってきたのよ。本当、ビックリしたわ」
そう言う秋子さんであるがやはりちっともビックリしているようには見えなかった。
「冗談じゃないですよ、洒落にもなりません。一体どこでです? 安っぽいサスペンスドラマではないんですから」
「そこの高速の上から落ちてきたのよ」
秋子さんの言葉に北川は整備員たちにその犯人を追わせようとした。
しかし秋子さんは首を横に振った。
「今更追っても無駄ですよ。トラックが走り去ったのが見えましたからね」
そういうと秋子さんはミニパトの運転席から降りて北川に頼んだ。
「警察官が事故車に乗っていると格好が付かないので修理しておいてくださいね」
そう微笑むと秋子さんは二課構内へと歩いていった。
「隊長!! 犯罪者はどこ!?」
ミニパト襲撃事件から数日後、通報を受けて出動した現場で真琴は興奮したように叫んだ。
すると秋子さんは手を振りながら第二小隊の面々に叫んだ。
「ちょっと待っていてね、話聞くから」
秋子さんはそう言うと現場に先行していた警察官たちに話を聞き始めた。
そんな秋子さんを見ていた祐一・栞・あゆは思わず語った。
「うぐぅ、ミニパト襲撃事件といい秋子さんって本当、謎だよね。」
「我が叔母ながらあの人は一体何をしているんだ?」
「ただ者ではありませんね」
やがて秋子さんは警察官の側を離れるとみんなの元に寄ってきた。
「どうやらガセだったみたい。というわけで撤収しましょう」
「「「は〜い!!」」」
と言うわけで第二小隊は撤収することになった。
「うぐぅ、デッキがおりない?」
あゆは二号機を収容するためにスイッチをカチャカチャいじくったがいくらやっても収容できない。
そこへ真琴が怒ったように叫んだ。
「あゆあゆ!! さっさと収容しなさいよ!! ただでさえガセネタで引き回されて怒っているんだから!!」
「うぐぅ、ボクあゆあゆじゃないよ……」
「さっさとしなさいよ!!」
真琴の凄い剣幕にあゆはあわててスイッチをめいいっぱい力強く押した。
するとデッキはとんでもないスピードで一気に二号機を収納してしまったのだ。
そのあまりの衝撃に真琴は目をひんむいて気絶した。
「真琴ちゃん!! 大丈夫!?」
あわててあゆはキャリアから飛び降りて真琴に声をかけた。
しかし気絶しているのだから声をあげられるはずもない。
そこへ美汐もやってきた。
「一体どうしたんですか?」
「うぐぅ、油圧ジャッキの調子がおかしくって」
そう言ってあゆは車体の下をのぞき込んだ。
するとそこには黒いドロリとした油がしたたり落ちていたのであった。
「一体誰がこんなことを……?」
「うぐぅ、ひどい…」
そのとき秋子さんはちょっと遠い目をして野次馬たちを眺めていた。
「ずいぶん乱暴な手口よね。気がつかなかったの?」
車体の下から顔を出した整備班長美坂香里はあゆにそう言った。
するとあゆは申し訳なさそうに頷いた。
「うぐぅ、気がつかなかったんだよ。それで香里さんちょっとききたいことがあるんだけど」
「あら何かしらね」
そこであゆは今の第二小隊の関心について尋ねてみることにした。
「近頃秋子さんの回りに続けておかしなことがあると思わない?」
しかし香里は首を横に振った。
「そうかしら? 特に何かおかしなことがあるとは思わないけど」
「そうなんだ…、香里さんなら知っていると思ったんだけど」
「それなら秋子さんに直接聞きなさい。名雪だっているしね」
そう言うと香里は再びキャリアの下に潜り込み、油圧ジャッキの修理を始めたのであゆの質問は
不発に終わったのであった。
「何らかの関連があるのは間違いないはずなんだ」
祐一の言葉に全員は頷いた。
ちなみに第二小隊全員(秋子さんを除く)がオフィスに集まり、顔をくっつけんばかりに近づいて
相談しているところである。
ちなみにこの前のこともありオフィスの入り口には鍵をかけてある。
「そうでなければこのごろのトラブル続き、説明できませんからね。
やはり何かしら関連があると見るのが自然というものです。
ミニパト襲撃事件・偽の110番・キャリアの油漏れ・無言電話も数回ありましたし、すべて悪意ある仕業としか思えません。
またこのごろ特車二課周囲にもなにやら怪しい人物の影が見え隠れしてるし。
そしてその全てが秋子さんの様子がおかしくなってから起こっているんです」
美汐の言葉にあうぐぅコンビが情けない声をあげた。
「あうっ〜、話が難しくて分からないよ〜!!」
「うぐぅ、ボクも難しい話は分からないよ〜!!」
「こうなると解決の糸口は一つしかないな」
話には加われないあうぐぅを無視して祐一は言った。
するとその他3人(名雪・美汐・栞)は驚きの声をあげた。
「一体何をするというのですか?」
美汐の言葉に祐一は胸を張った。
「美汐が言っていただろ、例の怪しい人物だよ。俺の考えではその人物が深く関係しているのは確実だね」
祐一の言葉に栞は素朴な疑問をぶつけてみた。
「でも祐一さん、どうやってその怪しい人を見つけるんです?第一顔知っているんですか?」
「うっ!!」
「あ!私その怪しい人物見たことあるよ。門の影でこっそりのぞき込んでいたの」
「本当か!? 名雪」
「うん。でもその後どっか行っちゃったからどこの誰かなんて分からないよ」
「うぐぅ……」
「祐一くん…それボクの台詞」
「祐一、そのこと考えずに言っていたでしょ?」
「あうっ……」
真琴のつっこみに祐一は言葉を失った。
その間に栞は平和そうな話題を続けた。
「一体何なんでしょうね? 私はドラマみたいで格好良いので構わないんですが」
「…そういう問題じゃないと思うよ、栞ちゃん」
結局、事の真相が全然見えてこないので六人は腕を組んで悩むのであった。
とその時、第二小隊の出動を告げるサイレンが鳴り響いた。
むろんこれで第二小隊のミーティング(仕事とは関係ないが)おしまいだ。
「やった、出動よ!! これでうっぷん晴らしができる!!」
真琴のやばい発言を無視して第二小隊は直ちに現場に直行することとなったのであった。
あとがき
何だかアニメからちっとも逸脱していないな。
部分部分省略しただけだよ。
やはりおもしろい話をそれ以上にするのは難しいですね。
2001.09.02