機動警察Kanon第059話

 

 

 

 謎の正体不明レイバーとの捕り物を終えて祐一たちは帰ってきた。

ちなみに名雪は完全に熟睡してしまっている(笑)……勤務中なのに。





 

 「祐一さん、私名雪さんをとりあえず連れて行きますね」

小さい体なのに名雪を背負った栞はそう言ったので祐一は頷いた。

本来ならば祐一が運ぶべきなのだろうが今日はそうも言ってはいられない。

秋子さんにしっかりと報告しなければいけないからだ。

「重かったらその辺にほっぽいておいて構わないぞ」

祐一がそう言うと名雪は寝言でつぶやいた。

「わたし、重くなんかないんだぉ〜」

その言葉に栞はつぶやいた。

「…本当に名雪さん、寝ているんでしょうか?」

「たぶん間違いないだろう。

こいつは立ったままでも、歩きながらでも、走りながらでも、食べながらでも、夢の中でも寝られる女だ」

「…なんだかすごいですね」

栞はそう言うと名雪を背負ってオフィスへと歩いていった。

ちなみに名雪の体で栞の体は全く見えず、なんとも間抜けな後ろ姿であった。





 

 

 二人を見送った祐一はすぐに隊長室へと向かった。

そう大きくはない二課のこと、一分足らずで隊長室に着いた祐一はノックすると隊長室のドアを開けた。

するとそこには秋子さんが一人、椅子に座っていた。






 

 「ごくろうさま。今回の件は大変だったそうね」

秋子さんの言葉に祐一は頷いた。

「本当に大変でしたよ。まったく見た事もないレイバーでしたけど……、あれって一体?」

すると秋子さんはクリップで留められた書類を一束取り出した。

そして祐一へと手渡す。

そこで祐一が書類に目をやるをそこには先ほどまで死闘を繰り返した相手の姿があった。





 

 「シャフトエンタープライズヨーロッパの最新軍用レイバー『ブロッケン』。

つい先だってEU軍で採用されたばかりのぴかぴかの新型よ」

秋子さんの解説に祐一は安堵の溜息を漏らした。

「…よく勝てましたね、俺たち」

「そうね、今回は私のミスだったわ。取り押さえることは出来たけど二号機も送り込むべきだったわね」

「真琴が来てもあまり状況が変わらなかった気がしますがね。市街地だから銃もぶっ放せないし」

祐一の言葉を聞いた秋子さんは「あらあら」と祐一をたしなめた。

「真琴ちゃんがいれば充分状況が変わりましたよ。

たしかに発砲は無理ですけど常に戦いは数が要、ランチェスターの法則、研修で習ったでしょう?」

「まあ習うには習いましたが……。

うちの場合、下手にコンビネーションを組むより単独の方が上手くいくと思うんですがね」

「そうなのよね。その点、第一小隊がうらやましいわ」

 

 

 いつのまにやら今日の反省会から第二小隊の現状を憂う会へと代わってしまった(笑)。







 

 

 

 そしてその翌日。

滅多に部外者が訪れない特車二課に珍しくお客さんが二人現れた。

一人はぼさぼさの髪の毛に黒ずくめ男。

もう一人は長い髪の毛をポニーテール?にした女であった。

 

 

 「警察庁広域犯罪捜査官の国崎往人部長刑事だ」

「にはははは〜、その相棒の神尾観鈴巡査だよ〜」

二人の客は秋子さんの目の前でそう名乗ったので秋子さんも丁寧に挨拶した。

「これはどうもご丁寧に。私は警視庁警備部特車二課第二小隊隊長の水瀬秋子警部補です」

秋子さんの挨拶を聞き終えた国崎部長刑事はさっそく本題を切り出した。

「おたくの第二小隊が昨日取り押さえたブロッケンの件で今回は訪ねさせてもらった」

 



 そして国崎部長刑事は話し始めた。

「昨夜のレイバー、ブロッケンといったか。実は今朝になってその素性が判明したんだ。

実はブロッケンなんだが・・・、ボスニア紛争の処理のためEU軍が先月配備したばかりだったそうなんだが……」

「…盗まれた?」

秋子さんの言葉に国崎部長刑事は一瞬驚いたものの頷いた。

「ああ、その通りだ。現地の部隊の連中が合コンで基地を出払っている隙に盗まれたらしい。しかも三機もだ」

国崎部長刑事の言葉に秋子さんは珍しく溜息をついた。

「…それって後二回、同じようなことがあるという可能性があると?」

「警察庁に公安に外事課、それに警備部はそうふんでいる」

そう言うと国崎部長刑事は相棒の観鈴に目で合図した。

すると観鈴はにっこり笑った。

「まかせてよ、往人さん」

そして観鈴は手にした鞄から一枚の書類を取り出し、秋子さんに手渡した。

「これは…命令書ですね。」

「そうだ。これよりしばらくの間、俺たち二人は特車二課と共に行動を共にする。構わないか?」

国崎部長刑事の言葉に秋子さんは頷いた。

「命令書付きなんですから断れませんからね。構わないですよ」

「それではよろしく頼む。俺たちはちょっと他にも用事があるのでこれで失礼するが夕方にはまた来るから」

「了承です。それでは捜査の方、頑張ってくださいね♪」

 

 

 

 こうして特車二課にしばらくお客さんが滞在することになったのであった。

 

 

 

あとがき

「Air」から主人公国崎往人とヒロインの一人神尾観鈴の登場です。

はじめは往人一人のつもりだったんですが観鈴の出番が考えつかなかったのでここで一緒に出してしまいました。

ちなみに遠野美凪・みちる・霧島佳乃・霧島聖のキャスティングは決定しました。

あとは登場をお待ちください。

 

ちなみに往人の台詞はいかがだったでしょう?

まだAir、未プレイなのでいまいちよく分からないんだが・・・。

DC版をやったら少しは違うと思うんですけどね。

 

 

2001.07.08

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