機動警察Kanon第048話

 

 

 

 犯人の身柄・およびレイバーを確保した三人はさっさと埋め立て地へと帰還する。

もちろんこの際に特車二課の命の綱である買い出しは決して忘れたりはしない。

大型スーパーにて箱単位で多量の食い物を買い込み、キャリアで運ぶのだ。

というわけで二課に到着したときには整備員たちが歓声で出迎えてくれた。

もっともこれはサターンの初陣の成果を祝してなのか。

それとも買い込んできた食料に向けられていたかは定かではなかったが。




 

 

 みさきがキャリアの助手席から降りると出撃時に何かとせわしなかった北川が出迎えた。

「どうでした? サターンの調子は」

するとみさきは小首を傾げて考え込み、そして言った。

「う〜んと良かった、かな?」

「それだけ?」

「うん、それだけ」

みさきの言葉を聞いた北川は思わず天を仰いだ。

「せっかくの新型への感想がそれとは張り合いがないではないですよ!!」

その時、まだ朝にもなっていないというのにガヤガヤと人が十数人、ハンガーの中に入ってきた。

誰一人として特車二課では見かけたことがない顔ぶればかりだ。

あわてて北川はその連中を阻止した。

「ちょっと貴様ら!! ここは仮にも警察の敷地なんだ。勝手に入らないでくれ!!」

すると北川の言葉を聞いた責任者らしき人物がにこやかな顔で北川の前に立った。

「君は?」

北川の前に立った男が尋ねてきたので北川は堂々と胸を張って叫んだ。

「俺は美坂整備班長から留守を任されている北川潤だ!!」

すると男はますますにこやかな表情を浮かべた。

「そうか、それなら話は早い。我々はトヨハタオートの者でね。

今日サターンが出動したと聞いてね、整備しに来たんだ。話は聞いていないかい?」

すると北川はとたんに弱腰になった。

「い、いや確かに話は聞いているが……」

「なら我々を通してくれ。サターンの整備は我々がやる。これは契約条項にも載っているからな」

そう言い放つと男は部下であろうつなぎの男たちに命令した。

とたんに十数人の男たちが一斉にサターンに群がる。

そして次々と機体を弄くり始める。

それを見た北川は思わず叫んだ。

「やめろ〜!! 俺のサターンをさわるんじゃない!!」




 

 

 それから数時間後の朝、いつものように第一小隊隊長小坂由起子が出勤してきた。

「みんな、おはよう」

すると第一小隊のオフィスで川名みさき・深山雪見両巡査部長は昨夜の出動に関する報告書を

まとめているところであった。

二人は由起子さんに対しいつものように元気に挨拶する。

「「おはようございます」」

すると由起子さんはにっこり微笑んだ。

「ふたりとも元気ね。ところで昨夜出動したそうだけどサターンの調子は?」

そこでパイロットのみさきは考え込みながら言った。

「はい。え〜っとやはりONEに比べるとパワーは断然上がっています。もちろんスピードも。

ただ少々荒削りなようでKanonのような繊細な動きは無理みたいだよ」

由起子さんはみさきの言葉にうんうんと満足げに頷いた。

「まあ予想通りの結果よね。ところで発砲したそうだけどどうだった?」

「実戦での発砲は初めてでしたがまあ上手くできたんじゃないかと思うよ。

ただ火器管制システムのできばえはイマイチで威嚇射撃の際、狙いがかなり外れたかな?」

「あら? そうだったの」

脇から話を聞いていた雪見はみさきの言葉に以外そうな表情を浮かべた。

「うん、そうだよ雪ちゃん。気が付かなかった?」

「…そういうのは指揮者に速やかに報告するものなのよ。」

「知らなかったよ。今度からはそうするね♪」



 

 「もういいかしら?」

「「あ、はい。どうぞ」」

脱線していた報告もようやくと本題に戻った。



 

 「つまりはサターンはまだ十分な火器運用ノウハウを得ていないということね」

「はい、そうだと思います。

もっともこれはこれから二課で運用し続けることで解消できる問題だと思いますが」

みさきがそう言うと雪見はつぶやいた。

「それにしては随分強力な火器を積んでいるわね」

雪見の言葉に由起子さんは同意した。

「確かにそうね。42mmオートカノンに20mmバルカン砲。

十分なノウハウを積んでいるはずのKeyですらKanonには37mmリボルバーカノンしか搭載していないのに

全くノウハウの無いトヨハタオートでこれは重武装すぎるわね」

「案外、うちでデータを取るつもりだったりして♪」

二人の話を聞いていたみさきはふざけたように笑いながら言った。

すると第一小隊の切れ者二人は真剣な眼差しを浮かべた。

「案外そうかも知れないわね」

「はい、もしかすると……」

「? ? ?」

分かったように頷き合う二人に、核心を突いた意見を言ったみさきは一人分からずとまどい続けるのであった。

 

 

 

あとがき

アニメとは随分違う展開になってきました。

というのも第二小隊の相沢祐一、彼が篠原遊馬まんまではないからなんですよね。

Key重工業の御曹司ではないからそれほど裏の情報が入手出来ないようになっているし。

それに原作さと後藤さんのカミソリっぷりはわかるんですがどうも南雲さんの実力が高く見えないし。

だから彼ら第一小隊に気が付いて貰うことにしました。

いかがでしょうかね?

 

2001.05.12

 

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